ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#九十八話

「……みんな、なんでここに?」

ドラえもんの呟きは、驚きと困惑に満ちていた。

開いたハッチの向こう。

「ドラえもんさん! 本当にドラえもんさんですよね!?」

真っ先に駆け寄ってきたのは、小さな宇宙人だった。

いや、正確には小さな宇宙人が誰かの頭の上から顔を覗かせていた。

「もちろん私もいますよ!」

そう言って身を乗り出したその姿を見て、ドラえもんはさらに目を丸くする。

「パピまで!?」

パピは嬉しそうに頷いた。

その下では、犬をそのまま人間にしたような少年が苦笑している。

「急に身を乗り出さないで、パピさん」

「すみません、イチさん」

どうやら頭の上は特等席らしい。

その光景を見たナツメの肩がぴくりと震えた。

「か、可愛い……」

ぼそりと漏れた声は意外と大きかった。

パピの耳がぴくりと動く。

「か、可愛いって言わないでください……」

「ごめん!」

即座に謝るナツメだったが、パピの耳は真っ赤になっていた。

トウマが吹き出しそうになる。

緊張感のある状況のはずなのに、妙な空気になってしまう。

そんな様子を見ていたゴリ郎の父が苦笑した。

「積もる話もありますが、まずはこちらへ」

彼が示した先には長い通路が続いていた。

「事情を説明します」

一行は避難船の内部へ足を踏み入れる。

通路を進む間も、#朔夜は周囲を観察していた。

船内は決して広くはない。

だが、多くの人々が生活している痕跡があった。

簡易ベッド。

積み上げられた物資。

壁際に座る子供たち。

疲れ切った大人たち。

避難船。

その言葉が自然と頭に浮かぶ。

ここは軍艦ではない。

人々が生き延びるために身を寄せ合う場所だった。

[newpage]

やがて一行は大きな部屋へ案内された。

メインルーム。

壁一面が巨大なスクリーンになっている。

その前には多くの人々が集まっていた。

ドラえもんの姿を見るなり、あちこちから驚きの声が上がる。

だが、その表情に明るさはない。

皆どこか疲れ果てていた。

「まずは見てください」

ゴリ郎の父が静かに言った。

スクリーンが点灯する。

最初に映し出されたのは豊かな森だった。

どこまでも広がる緑。

しかし次の瞬間。

画面が切り替わる。

爆発。

黒煙。

巨大な樹木が次々と倒れていく。

#朔夜は思わず息を呑んだ。

「これが……」

「俺たちが住んでいた星です。」

ゴリ郎の父が答える。

かつて平和だった星。

その景色は見る影もなかった。

映像はさらに切り替わる。

今度は都市。

高い建物。

広い道路。

そして避難する人々。

悲鳴。

崩壊。

瓦礫。

「ワンニャン国……」

イチが俯いた。

さらに映像が変わる。

宇宙港。

戦艦。

光の奔流。

爆発。

次々と沈黙する艦隊。

「ピリカ星系です」

パピの声は震えていた。

誰も言葉を発しない。

あまりにも酷い光景だった。

そこに映っていたのは戦争ではない。

一方的な破壊だった。

[newpage]

「最初は事故かと思いました」

ゴリ郎の父が語り始める。

「隕石か何かだと」

「だが違った」

イチが続ける。

「警報が鳴った時には、もう都市部が壊滅していた」

パピも頷く。

「艦隊を出す時間すらありませんでした」

三人の言葉には共通点があった。

誰も戦えていない。

反撃すらできなかった。

「我々は逃げるしかありませんでした」

ゴリ郎の父の声が重く響く。

「宇宙へ脱出し、漂流している途中で他の避難船団と遭遇しました」

「そこで協力体制を築いたんです」

イチが説明する。

「そして救難信号を発信し続けていた」

パピが付け加えた。

その結果。

ミステリートレインが信号を受信した。

静寂が部屋を包む。

やがてマリンバが腕を組んだ。

「で?」

全員が彼女を見る。

「犯人は?」

単刀直入だった。

しかし誰も否定しない。

聞かなければならないことだった。

ゴリ郎の父は頷く。

「記録映像があります」

スクリーンが切り替わる。

監視カメラの映像だろう。

激しく揺れる画面。

逃げ惑う人々。

崩れる建物。

そして。

そこに現れた。

丸い球体。

巨大な機械。

その表面には、人間の生首をそのまま映し出したかのような不気味な顔。

無機質なのに。

どこか生きているように見える。

異様な存在感。

背筋を寒くする威圧感。

[newpage]

#朔夜は知らない。

ナツメも。

トウマも。

アキノリも。

誰一人として知らないはずだった。

だが。

その瞬間だった。

ドラえもんの表情が凍り付く。

目を見開く。

信じられないものを見るように。

「そんな……」

かすれた声が漏れる。

全員の視線がドラえもんへ向いた。

ドラえもんはスクリーンから目を離せない。

そして。

震える声で、その名を口にした。

「ディアボロ……!?」

その場にいた誰もが息を呑んだ。

ドラえもんだけが知っている。

この機械の恐ろしさを。

そして。

避難船団を襲った悪夢の正体を。

スクリーンの中で、ディアボロの不気味な顔が静かにこちらを見つめていた。

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