ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#九十九話

「ディアボロ……!?」

ドラえもんの呟きは、展望デッキの空気を一瞬で凍らせた。

その単語に、即座に反応した声がある。

「ヤツを知っているのか!?」

ゴリ郎の父だった。

ドラえもんは小さく息を吐き、視線をホログラムへ戻す。

「……倒したはずなんだ」

その言葉には、確かな記憶があった。

かつて、月面探査機を介した戦いで出現した人工知能兵器――ディアボロ。

その暴走は確かに止められ、機能も停止したはずだった。

だが今、スクリーンに映るのは“同じ名前の別物”だった。

「でもこれは……あの時のディアボロじゃない」

ドラえもんの声が低くなる。

ホログラムには、複数の星の崩壊記録が映し出されていた。

どの星も共通しているのは、“抵抗の痕跡が極端に少ない”こと。

まるで、戦う前に終わっている。

ナツメが小さく呟く。

「これ……戦争じゃない」

トウマも頷く。

「戦争、だね」

その時、軽い声が割り込んだ。

「じゃあさ」

マリンバが画面を指差す。

「記憶装置は壊したの?」

一瞬、沈黙が落ちる。

ドラえもんの目がわずかに揺れた。

「……完全に、だったかと言われると」

その言葉を聞いた瞬間、マリンバの表情が変わる。

「それ、壊したんじゃなくて……回収されてない?」

その一言で、空気が変わった。

ドラえもんは、すぐには否定できなかった。

(回収……)

――誰がそれを扱った?

その疑問が、喉の奥で引っかかる。

マリンバは肩をすくめる。

「軍用レベルのAIなら、破片一つで復元できることもあるからね」

その言葉に、ドラえもんの背筋が僅かに冷えた。

「誰がそんなことを……」

その声は、疑問というより“嫌な確信”に近かった。

[newpage]

同時刻。

マリンバは、端末を操作する。

「ねえ、警部さん」

通信先はマスタード警部。

ノイズ混じりの声が返る。

『……!なぜお前が私の回線を知っている!?』

「説明は後。ヤバいことなった」

その単語で、空気が変わった。

数分後。

ミステリートレインの通信回線に、重いノイズが走る。

そして――

「こちらタイムパトロール。受信確認」

タイムパトロールの介入だった。

車内の空気が一段重くなる。

マスタード警部が短く言う。

「やはり来たか……」

だが続く言葉は予想と違った。

『本件は通常案件ではない。危険度S相当』

その一言で、全員の認識が変わる。

ディアボロは“過去の敵”ではなく、

“現在進行形の時空災害”として扱われた。

だが問題はまだ終わらない。

『なお、難民受け入れには上限が存在する』

通信の声は淡々としていた。

『避難先の選定を行う』

スクリーンに二つの候補が表示される。

一つは極低温環境の星系。

もう一つは戦闘適性を持つ王国圏。

ナツメが眉を上げる。

「分けるの?」

ドラえもんは短く頷いた。

「一箇所じゃ守り切れない」

その言葉には、重みがあった。

避難ではなく、分散。

戦場を想定した配置だった。

マリンバが小さく笑う。

「とうとう戦争の準備ってわけか」

誰も否定しない。

外の宇宙では、静かに光が揺れていた。

まるで何かが“観測している”かのように。

そしてそのどこかで――

失われたはずのディアボロの視線だけが、再び目を開き始めていた。

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