コズミック・イラ異伝『輝きのアマナ』   作:残響楽団和太鼓担当

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日常の終わる

 C.E.71年1月25日

 

 メンデルで起こった研究所の爆発事故から15年、あの日以来様々な事件が起こった。

 

 中でも、連合とプラントの確執を決定づけた『血のバレンタイン』はあまりにも有名だ。 

 

 だが、その事件の生存者は口を揃えて言う。

 

 あの日、連合とプラントがぶつかり合った戦場で、巨大な赤い何かを見たと。

 

 核の光が全てを焼き尽くす直前、その赤い巨体は現れたという。

 

 それを機に、各地でその赤い何かは目撃され続けている。

 

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【オーブ資源コロニー『ヘリオポリス』】 

 

 

「キラ、今日はお前のお姉さんが会いに来るんだろ?」

 

「うん、久しぶりに許可が出たらしくてね、政務の勉強ばかりで息がつまるってぼやいてたよ」

 

 あの日、アウラ・マハ・ハイバルと共にメンデルから脱出したヴィア・ヒビキは自分と共にいれば子どもたちに必ず危険が生じると判断し、キラとカガリをそれぞれ別々の場所に預けると決断したのだ。 

 

 キラのほうは自分の妹であるカリダ・ヤマトのもとへ、カガリは夫の学友で自分も面識のあったウズミ・ナラ・アスハの元へそれぞれ送り、己は2人に危険が及ばぬように身を隠す。

 

 キラとカガリには両親が死んだと説明され、お互いのことも知らされている、今では定期的にどちらかの家に泊まり、姉弟間の交流を深めている。

 

「そういや最初のころはよく兄妹で言い合いしてたよな」 

 

「最初のころはどっちが兄か姉って言い争ってたんだけどね、なんか最終的に僕が丸め込まれちゃったんだよね」 

 

 ちなみにカガリはキラのことを弟として溺愛しており、会えない時も次はどうやってキラを可愛がってやろうかと画策している。

 

 1度キラを女装させようとして散々追い回し、最終的に女装させられたキラを見てアスランが血を吐いて倒れたことがある。

 

「せめてもの抵抗でお姉さん呼びだけは避けてるんだよな!でもキラ身内には甘いからそのうちつい姉さん呼びしそうだよな」

 

「うん、最近はますます圧が強いからね...でも1度言ったらずっと言わされそうで怖いから」

 

 いっぽう、カガリはなんとかしてキラに自分を姉さん呼びさせられないかと政務やマナー講習の合間に日々作戦を練っている。

 

「ところで今連合とプラントは何してるんだろうな?俺らオーブは中立だけど、あっちはバチバチにやりあってるんだろ?」

 

「ちょっと前にカガリから聞いたんだけど、あちこちで謎の襲撃が起きて戦争どころじゃないらしいよ」

 

 血のバレンタイン以来、激化した連合とプラント間の戦争は未だ膠着状態が続いている。

 

 そこにきて謎の襲撃によって基地や戦艦が破壊され、そのうえ物資が消失しているのだ。

 

 もはや連合もプラントも戦争どころではない、というより戦いたくても決定打が存在しないためにどちらも攻めきれないでいるというのが正しいか。  

 

「それなら良かったよ、あんまり戦争がひどくなるとこのコロニーやオーブにも被害が出るかもしれないしな」

 

「うん、でも最近プラントが怪しい動きをしてるって噂があるらしいから警戒しておくに越したことはないってウズミさんが言ってたよ」

 

 トールと話していたその瞬間、それは唐突に訪れた。 

 

『...キラ』

 

「えっ?」

 

 頭の中で何かが弾けるような感覚がして、誰かの声がする。

 

『久しぶり、大きくなったんだね』

 

「君は誰?」

 

 それは何処か懐かしさを感じさせるもので、そして酷く悲しげな声。

 

「キラ、どうしたんだ?」

 

「ごめんトール、ちょっと疲れちゃったのかな?」 

 

『ごめんね、もう始まっちゃうの』

 

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「そういやキラって、卒業後はどうするつもりなんだ?やっぱり本国に戻ってお姉さんを手伝うのか?」 

 

「何事もなければその予定だね、ウズミさんからもお誘いしてもらってるから」

 

 ウズミ・ナラ・アスハ、キラの姉であるカガリの養父でありオーブの現代表首長でもある。

 

 ちなみに、本来の歴史であればこの後代表首長を辞任するのだがこの世界においてはそれはない。

 

「最近サハク家やモルゲン・レーテ絡みでスキャンダルが発生してね、五大氏族で会議を開いてるところらしいんだけど、どうもウズミさんに黙って他の氏族の人たちが色々やってたみたいで事態の収拾がつくまで辞任できないってぼやいてたよ」 

 

「なぁキラ、それ俺に話して大丈夫な内容?」

 

「今度公式声明を出すらしいから大丈夫だよ、それに...トールは喋らないでしょ?」

 

 キラ・ヤマト、笑顔ながら無言の圧である。

 

「はははっ...あっ、ついたぞ」

 

 カガリからはキラの通っているゼミで待っていると事前に連絡が入っていた為、合流するためにそこへ向かっている最中に偶然行き先が被っていたトールがキラに着いてきたというのがことの成り行きだ。 

 

「キラ!久しぶりだな!」

 

「うん、久しぶり」 

 

 ゼミに着くと今か今かとキラの到着を待ちわびていたカガリが飛び出してきた。

 

「最近政務を学ぶためと父様に連れ回されてばかりだったからな、ようやく許可を取れたが残念ながら今回はただ会いにきただけじゃないんだ」

 

「それはどういう?」

 

「着いてきてくれ、歩きながら話そう」

 

 カガリが普段しないような深刻な表情をしていることに気づいたキラは驚いたが、こういう時はだいたい黙って着いていったほうが良いと思い出した為に平静を装いトールへ声をかけた。

 

「ごめんトール、僕は行かなきゃいけなくなったからまた後で」

 

「そんな申し訳なさそうしなくて良いって、後から話聞かせてくれよ?」 

 

 キラはカガリがこちらへ目配せをしていることに気づいた。 

 

 それにより、これはあまり人に話せない機密事項なのだとキラは理解した。

 

「じゃあ、また後で」

 

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「それで、いったい何があったのカガリ?」

 

「サハク家とモルゲンレーテがやらかしたのはもう知っているな?おそらくまだキラには伝わってないと思うが、実は今回ヘリオポリスに訪れたのは、そのやらかしの後始末をするためにでもあるんだ」

 

 カガリは語る。

 

 中立を掲げるオーブにとって、戦争に加担する行為はどんなに些細なものでも見逃してはならない。

 

 だが、よりにもよって五大氏族の1つであるサハク家がとんでもないことをしでかし、それを巧妙に隠していたのだ。

 

「はっきり言おう、彼らはオーブに対する背信行為を働いた。よりにもよって連合側に与して兵器の開発協力をここヘリオポリスで行っているんだ」

 

「なんだって?それじゃカガリがここにきたのは」

 

「あぁ、その兵器『GAT-Xシリーズ』が連合の手に渡るのを防ぐ、もしくは完全に破壊するためだ」

 

 カガリの作戦はこうだ。

 

 自分が視察と称して時間を稼ぐから、僕にはGAT-Xシリーズのプログラムを破壊し2度と起動できないようにして欲しいと。

 

「本来お前を巻き込むべきではないとわかっている、でもこの作戦の成功にはお前が必要なんだ!やってくれるか?」 

 

「カガリ、僕が君からの頼みを断れないの知ってるでしょ...やろう。

 その兵器が投入されたらまた大きな戦争が起きるんだよね?そうなったらこのヘリオポリスだって巻き込まれるかもしれない。

 

 そうなったらトールや皆が笑顔ですごせる日常はもう帰ってこないかもしれない、そうならないためには僕たちがなんとかするしかない...そうだよね?」

 

 キラはこの話が始まってからとっくに覚悟ができていた。

 

 僕は皆と過ごすこの日常が好きだ。

 

 それを守るためなら僕はなんだってできる気がする。

 

「それじゃあ行こう、GAT-Xはこの先の工廠にある」

 

 カガリが歩き出そうとしたその時だった。

 

『カガリ様大変です!ザフト軍がヘリオポリスの外に現れ攻撃を始めました!」

 

 カガリの身につけていたトランシーバーから慌てた様子の声が聴こえてきた。

 

「なに!?もしや...GAT-Xが目的か!」

 

『おそらくそうかと、こちらでも確認しましたが奴らはどうやらそちらのほうに真っ直ぐ向かっています』

 

「ならば急がなかれば、キラ!走るぞ」

 

 ザフト軍による突然の襲撃、その目的は連合が開発したモビルスーツ『GAT-Xシリーズ』であった。

 

 急な事態に戸惑うしかないキラ、そんな彼に更なる脅威が迫る。

 

 次回、ヘリオポリス襲撃。

 

 未来を掴むため、立ち上がれ!ガンダム!

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