透明な捕食者は、今日も退屈な日常を蹂躙する   作:味噌汁ちゃん

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エロ路線でストーカー気質のセクハラをするので苦手な人は見ない方がいいともいます
色々な能力で少しでもえっちな描写を書いていくのでよろしくです!



第1話:透明な捕食者の退屈な午後

相馬零という男は、極めて凡庸だ。

 学内どこにでもいるような、少しだけ愛想が良く、少しだけ不真面目な男子大学生。講義の半分はサボり、残りの半分は親友の瀬戸とくだらない話をして過ごす。誰もが俺を、将来の危機感に欠ける「普通の学生」として認識している。

 実際、俺は普通だ。……たった一つの能力を除いては。

 生まれた時から、俺の体は自由自在だ。肉体の分子を操作し、光を屈折させ、気配を完全に遮断する。だが、この圧倒的な力を世界を救うためや、支配するために使うつもりは毛頭ない。そんなことはあまりに面倒で、退屈だ。

 俺の望みは、誰にも知られることなく、日常のわずかな隙間を突いて己の欲望を満たすこと。それだけだ。

「なぁ零、今日の午後の講義、サボらねえか? 西棟の資料室、今の時間は人がいなくて穴場なんだよ。二階堂美咲が教授の手伝いで篭もってるって噂だぜ」

 ラウンジで瀬戸がニヤニヤと笑いかけてきた。

「お前、相変わらず情報が早いな」

「高嶺の花、二階堂美咲。あの完璧な顔立ちとスタイル、一度でいいから独占してみたいと思わないか? まあ、俺たちは妄想するしかねえんだけどな」

 俺と瀬戸は「理想の妄想トーク」で盛り上がる。周囲から見れば、ただの阿呆な男子コンビだ。俺の正体など誰にも知られていない。瀬戸の放つ際どい言葉の数々が、俺の欲望を刺激するスパイスになる。

「悪い、瀬戸。ちょっとトイレ行ってくるわ」

「おう、戻ったらまた続きを聞かせてくれよ」

 ラウンジを出て、誰もいない長い渡り廊下を歩く。

 ここから先が俺の戦場だ。俺は歩きながら、意識を自分の肉体の境界線に集中させる。

 ――全細胞、光学透過。気配遮断、最大。

 一瞬にして、俺の体は空間に溶け込んだ。透明になった俺は、風景の一部として歩き出す。この万能感こそが、俺の人生を彩る甘美な毒だ。

 二階堂美咲が一人でいる資料室の重い扉を、液体のように変質させた指先で隙間を作り、スルリと抜ける。

 薄暗い部屋の中、美咲は背伸びをして高い棚の書類を整理していた。

 (視点:二階堂美咲)

 美咲は静寂の中でため息をついた。周囲には誰もおらず、古い紙の匂いと、閉ざされた空間の重苦しさが漂っている。彼女は自分が「完璧な高嶺の花」として振る舞うことに、少しだけ疲れていた。

 (誰にも見られていない、この瞬間だけが唯一の救い……)

 誰もいないはずの部屋で、彼女はふと、背筋に奇妙な「気配」を感じた。

 (……誰か、いる?)

 気のせいかと思い、もう一度書類に目を落とす。しかし、確かにそこに「誰かの存在」の気配が、肌をなぞるように漂っていた。

 (視点:相馬零)

 美咲の鼓動が速くなるのが分かる。彼女の緊張感と、微かな恐怖。その高揚感が俺の欲望を限界まで引き上げる。

 俺は透明な姿のまま、彼女のすぐ背後に密着した。彼女の柔らかな髪の香りが、俺の鼻腔をくすぐる。

 俺はためらうことなく、彼女のブラウスの襟元へと手を伸ばした。

 強く、執拗に。

 俺の指先が、彼女の白い肌の上をなぞる。ブラウスのボタンを指で弄び、あわよくば中を覗こうと強引に手を差し入れる。

「……っ……んんっ……!」

 美咲が短く声を上げ、その場に崩れ落ちそうになった。彼女は真っ赤な顔で、自分の胸元を隠すように抱きしめる。

「な、なんなの……今の……」

 彼女は周囲を必死に見回した。誰もいない。扉は閉まったままだ。

 (誰かが、触れた……? そんなはずない、ここは私一人なのに)

 彼女の脳裏に、羞恥心と恐怖が混ざり合った感情が渦巻く。その表情は、普段の「高嶺の花」としての凛とした美しさとは対極にある、無防備で乱れたものだった。

 俺はその一部始終を、至近距離で見つめていた。

 彼女が困惑し、震える姿。自分の意思とは裏腹に反応してしまう身体。俺は彼女の耳元で小さく息を吐きかけ、その反応を楽しむ。

 十分だ。満足だ。

 俺は彼女が振り返るよりも早く、霧のように部屋の隅へと移動した。

 美咲は「誰か! 誰かいるの!?」と叫び、部屋中を走り回るが、そこに俺の姿はどこにもない。彼女は荒い息を吐きながら、自分のブラウスを強く握りしめ、混乱の中で立ち尽くすことしかできない。

 俺はそんな彼女を背に、ゆっくりと資料室の扉を開け、そのまま校舎へと戻っていった。

 廊下に出たところで能力を解除する。

 いつもの「平凡な相馬零」に戻る。心拍数を整え、平静を装って歩き出す。

 すれ違う学生たちに軽く会釈をしながら、俺はラウンジへと戻った。

 ラウンジでは瀬戸が待っていた。

「おう、遅かったな。何してたんだよ?」

「いや、ちょっと色々とな」

 俺はコーヒーを一口啜る。唇にはまだ、彼女の微かな残り香が残っているような気がした。

 瀬戸は俺が何をしてきたかなど知る由もない。ただの「面白い話を期待する相棒」の顔で笑っている。

 誰も何も知らない。俺だけが、あの乱れた美咲の表情を知っている。

 この秘密の快感。この「誰にもバレない」という圧倒的な優越感。

 俺の平凡な大学生活は、今日もまた、誰よりも濃密で、誰よりも低俗な愉悦に満ちている。

 明日もまた、誰を狙おうか。

 俺の欲望は、まだ底を知らない。

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