透明な捕食者は、今日も退屈な日常を蹂躙する 作:味噌汁ちゃん
どんなのみたい??
二階堂美咲の、あの乱れた表情が脳裏に焼き付いて離れない。あの日以来、彼女は少しだけ変わった。講義中にふとした瞬間に背後を気にするような仕草を見せたり、鏡で自分の後ろを確認したりするようになった。俺はそれを、隣の席で瀬戸のくだらない動画を眺めながら、最高級の娯楽として観察している。
「おい零、最近の美咲さん、ちょっと変じゃないか? なんだか常に何かに怯えているような……」
「そうか? ただの疲れじゃないのか」
「だといいんだが。……まあいい、ターゲットは次だ。次は西園寺麗華だ」
瀬戸がスマホで麗華のスケジュールを表示する。彼は俺が超常的な能力者であることは知らない。俺たちが行っているのは、単なる男子特有の「理想の妄想トーク」である。周囲の学生から見れば、俺たちは「また女の話で盛り上がっている阿呆なコンビ」にしか見えないだろう。この日常に溶け込んだ仮面こそが、俺にとっての最大の防具であり、最大の武器だ。
「昼休みの図書室、あそこなら麗華が一人で読書に没頭しているはずだ。あの静寂、お嬢様を独占する舞台としては完璧だぞ」
「なるほどな。静寂の中で、あのお嬢様の無防備な顔を拝めるわけだ」
俺たちはいつもの「普通の学生」という仮面を被り、図書室へと向かった。廊下ですれ違う女子学生たちに軽く会釈を返す俺の姿は、周囲からは社交的な男子にしか見えない。図書室の奥、陽光が差し込む特等席に麗華が座っていた。
彼女は窓際で、陽光を浴びながら上品にページをめくっている。その姿は絵画のように美しい。彼女の家庭環境を考えれば、こんな場所で無防備に過ごすのは、彼女にとって数少ないリラックスの時間なのだろう。だが、今の俺にとっては、最高の狩り場に過ぎない。
俺は瀬戸に「ちょっと本を探してくる」と告げ、死角へ移動する。
――全細胞、光学透過。気配遮断。
風景に同化し、俺は彼女の背後に立つ。彼女の体から立ち昇る甘い香りが、俺の欲望を直撃する。今日は彼女の身体的な詳細をじっくりと堪能させてもらおう。俺は液体状に質感を操作した指先で、彼女のブラウスの隙間から、その滑らかな素肌へとそっと触れた。
(視点:西園寺麗華)
静寂の中で、私は本を読んでいました。――ふと、背筋に奇妙な感覚が走りました。誰もいないはずの空間。なのに、背後に誰かが立っているような、熱い気配。
(……あら? 誰か、いらっしゃるのでしょうか)
恐怖よりも先に、得体の知れない感覚が胸をくすぐります。突然、ブラウスの隙間から、ひやりとした空気が肌に触れると同時に、それ以上の「温かな指先」が私の背中をなぞりました。
(……何かしら。服の中を、誰かが……?)
ブラウスの合わせ目から、指先が強引に侵入してきます。それは非常に滑らかで、それでいて力強い触り方でした。
(そんな、まさか。誰もいないはず……なのに)
指先は私の肩から胸元へと移動し、服の上から私の胸の膨らみを確かめるようにゆっくりと押し当てられます。少し小ぶりながらも弾力のある、柔らかな感触。Bカップほどの、可憐で愛らしい形。指先はその頂点を探るように、執拗に輪郭をなぞりました。
(あ、ぁ……っ! や、やめて……っ!)
私は身を捩り、机に突っ伏して肩で激しく息をしました。今まで味わったことのない、痺れるような違和感。本を握る指先から力が抜け、床へと滑り落ちます。誰かに触れられているという事実が、私の理性を壊していくようでした。
(どこを触っているのか、全部……わかってしまう……)
指は脇の下の敏感な部分へと滑り込みます。そこをくすぐるように、なぞるように、容赦なく蹂躙されていく感覚。私の身体のライン――華奢な肩幅、引き締まったウエスト、そして丸みを帯びた腰の曲線――そのすべてが、見えない誰かの手に掌握されている。
(あぁっ! そこ、は……ひゃぁああんっ!)
突如、胸元を掌で包み込まれ、強く押し潰されるような刺激に、私は喉を鳴らして喘ぎ声を上げました。知らないはずの快感に、意識が白濁していきます。身体が言うことを聞きません。
(だれか……たすけて……ぁっ、ぁぁんっ……!)
私は椅子からずり落ち、床に座り込みました。膝を抱え、荒い息を吐きながら、自分の身体を自分で守ることもできず、ただ見えない何かに翻弄される恐怖と困惑に、全身を震わせていました。
(視点:相馬零)
麗華の反応は想像以上だった。彼女の肌は火照り、瞳は困惑に揺れている。服の上から胸を揉み上げると、彼女は床で身を捩り、激しく肩を揺らしながら、抗いようのない屈辱と戸惑いに溺れていく。俺は彼女の耳元に口を寄せたが、何も囁かない。ただ呼吸を合わせ、彼女の体温を奪う。
彼女は自分の名前を呼ばれたような気配に、頬を真っ赤に染めて濡れた瞳で空を見つめる。俺はさらに大胆に手を動かし、その柔らかな素肌を直接蹂躙した。彼女の胸は、手のひらに収まる絶妙なサイズだ。彼女はたまらず、床のカーペットを掻きむしるようにして、甘い嬌声を漏らした。その声は小さく、図書室の静寂に溶けていく。
彼女の華奢な指が震え、私の存在を感じ取ろうと空を掴む。その無力さが、俺の加虐心をさらに煽る。このままここで、彼女が完全に壊れるまで遊んでやろうか――そんな悪魔的な考えが脳裏をかすめた瞬間、図書室の重い扉が、音を立てて開かれようとしていた。
図書室の扉が、ゆっくりと重い音を立てて開いた。
俺は瞬時に指を離し、霧のようにその場を去った。ダクトの中へと身体を滑り込ませ、息を殺して下を見下ろす。床に座り込み、肩で激しく息をしながら震える麗華。その乱れたブラウスの襟元を直し、彼女の前に現れたのは、毒舌ヒロインの早坂結衣だった。
「西園寺さん……? あなた、こんなところで何を……って、その格好!」
結衣は目を見開き、信じられないものを見るような表情で麗華に駆け寄った。麗華はまだ快感の余韻と、何者かに蹂躙された恐怖に脳を支配され、うつろな目で結衣を見上げている。
「あ……結衣さん……」
「な、何があったのよ。誰かいたの? 相馬? それとも他の誰か……!」
結衣は部屋中を鋭い視線で見回す。俺はダクトの中で、音を立てないように壁に張り付いていた。彼女の鋭い勘は、今も図書室の空気に残る「俺の残り香」を嗅ぎ取ろうとしている。
(視点:西園寺麗華)
頭がうまく回りません。胸元が熱く、指の触れた感触がまだ皮膚の上に残っています。誰にも見られていないはずの空間で、誰かに全てを奪われたような……。
(あぁ……どうして。さっきの……あの温もりは、どこへ行ってしまったのかしら)
結衣さんに支えられ、立ち上がろうとしますが、足が震えて力が入らない。ただ、心の中には得体の知れない喪失感と、あの侵入者に対する甘美な恐怖がこびりついていました。
(結衣さんには、言えません。もし言ったら、あの……あの素敵な「マッサージ」が、二度と受けられなくなってしまう気がして)
私は自分の意志とは裏腹に、侵入者が去ったはずの空虚な空間を、愛おしげに見つめてしまいました。
(視点:早坂結衣)
西園寺さんの様子が、とにかくおかしい。
まるで、さっきまで誰かと、それも極めて親密なことをしていたかのような、そんな湿った空気。私は窓の方を見上げた。誰もいない。でも、窓の外の風が、不自然なほど静かに部屋を通り過ぎている気がする。
(相馬? まさか。あいつなら、瀬戸と一緒にさっきまでラウンジにいたはず……)
私の勘は、相馬零という男を常に「危険な変人」として捉えていた。だが、この状況を彼一人で作り出したのなら、それは変人の範疇を超えている。
私は西園寺さんの乱れたブラウスを整えながら、心臓の奥が冷たくなるのを感じた。
(視点:相馬零)
ダクトの中で、俺は静かに笑いを噛み殺した。
結衣が必死に推理を巡らせている姿も、麗華が俺を「見えない何か」として求めている姿も、すべてが最高だ。俺はダクトを伝ってラウンジまで戻り、窓から自然に降りた。
廊下ですれ違う学生に軽く会釈をしながら、いつもの「平凡な相馬零」に戻る。
心臓が早鐘を打っている。ラウンジに戻ると、瀬戸が「遅かったな」と笑いかけてきた。
「いい収穫はあったか?」
「ああ……予想以上に甘い収穫があったよ」
コーヒーを啜りながら、俺はニヤけそうになるのを必死に堪える。
誰も俺が何をしたか知らない。
誰にもバレない。誰にも気づかれない。
西園寺麗華が、あの図書室で今も震えているであろうことを思うと、指先が熱くなる。結衣が抱いた不信感すらも、俺にとっては最高のスパイスだ。
この秘密の快感。俺の日常は、誰よりも濃密で、誰よりも低俗な愉悦に満ちている。
明日もまた、誰を狙おうか。
俺の欲望は、まだ底を知らない。
美咲、結衣、そして麗華。
俺の遊び場は、今日もどこまでも甘く、静かに続いていく。たとえ誰かに正体がバレそうになっても、俺には記憶を消すという「最後の手」がある。だが、それを使いたくない。このバレるかバレないかのスリルこそが、俺が生きている証なのだから。
廊下の先から歩いてくるのは、誰だ?
美咲だ。彼女は何かを確認するように、俺の方を鋭く見つめている。
俺はいつもの「軽薄な笑顔」を浮かべ、軽く手を振ってみせる。
「相馬くん」
「よお、二階堂さん。また教授の手伝いか?」
「ええ……あなた、今日は何してたの?」
彼女の視線が、俺の指先をかすめた。俺はポケットに手を突っ込み、何食わぬ顔で歩き出す。
俺の日常という名のパズルを、誰にも気づかれないように一枚ずつ、崩していく。
そんな歪んだ時間が、今日も過ぎ去っていく。
この透明な捕食者の日常は、まだまだ始まったばかりだ。
次は、どのヒロインを、どのような「普通」の仮面の下で蹂躙しようか。
誰にも知られることのない、俺だけの最高に贅沢なゲーム。
俺は心の中で大きく息を吐き、また瀬戸との妄想会議へと戻っていった。
――さて、明日は、もう少し過激な「授業」でもしてやるかな。
もうちょいエッチくても18禁指定しなくていいかな?