政府の人間と宇宙人の話

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未知とのありふれた邂逅

我々が辿ってきた歴史にはわずかな歪みがある。

それは人類史に大した影響を与えないものがほとんどだが、中には大きな影響を与えたものもある。

「宇宙人とのコンタクト」、それが今回の案件だ。

はるか昔……コンタクトをとった宇宙人曰く、地球が生まれた時から彼女?は存在していたらしい。

さて、宇宙人とのコンタクトなんて聞いたら真っ先に浮かび上がるのが地球外技術を用いた人類の進化だとか、技術を伝承し文明を発展させただとか、そんなことが脳裏に浮かぶが彼女は地球生命に極力干渉しなかったらしい。

ただ、自力で道を切り開くのを見続けた。

死の星が生命で溢れるまでずっとずっと見守るだけ。

例えるなら星の観察者といったところか?

だが、彼女はある時動き始めた。

人類が文明を作り上げたその時に介入を始めた。

その時代の権力者に取り入り、財を積み上げていったそうだ。

そうして彼女は今、アメリカの荒野にあるボロ小屋に住んでいる。

財を成したはずなのに何故ボロ小屋なのかと考えたが、先輩職員に話を聞かされて納得した。

ボロ小屋はあくまでカモフラージュ、実態は地下に続く巨大な宇宙船兼居住施設らしい。

そして私は今その居住施設に向かっているところだ。

この仕事についてから色々な任務を受けたが、地球外存在と接触するというのにたった1人だけ派遣されると言うのは、どうにも不安だ。

先輩の話では、彼女は普通の人間と変わらないというが……

そうして5時間ほど経っただろうか、彼女が住むボロ小屋についた。

小屋は簡素な木製の作りで、ところどころに隙間がある。

一見したらただの廃墟だ。

そんな廃墟に入り、事前に指示された合図を送る。

瞬間、光が私を包み込む。

次の瞬間には銀色の壁と人工的な灯りで灯された廊下に立っていた。

 

「やぁ、キミが今回の調査員だな?全く、こんな僻地までよく来たものだ。着いてこい、立ち話は疲れるだろう?冷たい飲み物も用意しよう」

 

そう言って現れたのは黒いコートに身を包んだ小学生くらいの金髪の少女だった。

話には聞いていたが、見た目は完全に人間だ。

 

「ほら、早く。キミも仕事があるのだろう?さっさと終わらせてしまおうじゃないか」

 

そう言って少女に着いていくと豪華な部屋についた。

天井からはシャンデリアが吊るされ、床は赤いカーペットが一面に敷かれ、家具はどれも古いが手入れが行き届いている。

 

「さて……で、今回はなんだ?ワタシとしては特段思い当たる節もないのだが」

 

「今回は貴方の技術を提供をしていただけないかと言う話でして……」

 

「却下、キミたちに与えるものは無い。正確に言えばキミたちに与えてもキミたちが使えるものがない。ワタシの持つ技術を使える奴がいたとしたらそれは万能の天才か狂人だけだ」

 

「使えなくとも結構です。貴方の持つ理外の技術が我々は欲しいのです」

 

「使えない技術を得て何をする?まぁ、それでいいなら……そうだな……空間転移技術の基礎でもくれてやる。キミたちが使いこなせるようになる日をまた待つとしよう。資料はこれだ」

 

「ありがとうございます」

 

「さて、これで仕事は終わりか?なら後は休んでいくといい。どうせ使えない技術だ、すぐ渡そうが後で渡そうが変わらんだろうよ」

 

彼女はそう言ってコーヒーを二杯注ぎ始めた。

 

「いえ、せっかくですがコーヒーをいただいたらすぐに戻ります。仕事なので」

 

「そうか……まぁ、いい」

 

そうして、コーヒーを一杯飲んだ後、私は本部に帰って今回入手した資料を提出した。

意外だったのは宇宙人の彼女だ。

見た目こそ幼いが中身は普通の人間と大して変わらない。

宇宙人といえば、もっと超常の存在とした感じのを想像していたがうちの上司より接しやすい。

ある意味、それが私の中での認識の歪みなんだろうな。

創作上の宇宙人と比べて、本物の宇宙人は案外普通の人間と変わらないのかもしれない。

とにかく今回の調査はこれで終了、彼女に会うことももうないだろう。

そう思うとかなり勿体無いことをしたな。

もう少し、彼女の話を聞いてみてもよかったかもしれない。

そうすれば、この歪な感覚も少しは楽になったかもしれないが、終わってしまったことだ。

とにかく、この話はこれでお終いだ。

奇妙な1日だったが案外楽しかったな。


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