エピローグ
「それで、グレイ。イエローと正式に付き合うようになったってことで…いいんだよな?」
「は、はい…あの、ヒデノリさん?これは、いったい…?」
グレイとイエローたちの住む家にて。
イエローの叔父、ヒデノリとグレイがイエローとの関係性について話していた。
「まぁまぁまぁ。で、キスはイエローからって聞いたが…告白はどっちからしたんだ?」
「誤魔化さないでくださいよ…告白は…どうなんだろ。先に好きって言ったのは俺だけど、アレって告白に入るのか…?お互い向き合って言ったのはイエローだし…」
「なんでキミまで分かっていないんだ…つっても、どうせだいたいイエローからだとは思ってたがな」
「はぁっ!?さすがにそれは酷くないですか…」
「いやだって、昔からグレイは引き気味だったろ。イエローはやるときゃやる子だし。…ま、ハメを外し過ぎないよう気をつけろよ〜」
結局言いたいことを言うと、ヒデノリは家の外へと出ていった。
部屋に残されたグレイだったが…イエローとの待ち合わせに向かうべく、町近くのトキワの森まで歩いていく。
「悪い、イエロー。待たせちゃったな」
「あっ、グレイ!ううん、ボクもちょうど来たところ。それに…おじさんに呼ばれてたんだから仕方ないよ」
大きな樹の下に、スケッチブックを開いたイエローが待っていた。
グレイが呼びかけると、それを閉じて彼を笑顔で迎える。
「ちょっとイエローとのことで聞きたいことがあるって言われてさ…それにしても、ここで休むのも随分と久しぶりだな…」
「ずっと、旅してたもんね…そうだ、ボクもグレイに言いたいことがあるんだ」
「言いたいこと…?なんでも聞くけど、なにかあったのか?」
どうやら、イエローも何かグレイに言いたいことがあるらしい。
なんだなんだと思っていたが…
「ほら、最後の戦いのとき。無理しないでって前からずっと言ってるのに…それに、ボクに任せてって言ったのに、リリに乗ってきたよね?」
「あぁ、アレか…。いやでも、俺の腕に巻いてくれたギブスが最後の一撃に繋がったんだし、結果良ければ…ってやつじゃないかなーなんて…」
最後の戦い…幻のポケモンを巡る空中での戦いについて、イエローは少し文句があるらしい。
結果良ければなんとやらと、なんとか誤魔化そうとするグレイだが…?
「むぅ…グレイはいつもそう。そうやってボクに心配ばかりかけて…すごく、格好いいけれど」
「ん、ありがと。でも、心配かけさせるのはイエローもじゃんか。大怪我にはなってないけど…可愛いイエローが怪我したらコッチも心配なんだよ」
「もう。あまり無理ばっかしてると、いくらボクだって怒るんだからね?」
「怒るって…どんな風に?」
「え?え〜っと…ん」
「あ、あまり言うこと聞いてくれないと…」
「グレイのこと、食べちゃうよ?」
「」
「が、がお〜…なんて。あれ?グレイ、どうしたの?顔、すごく赤いけど…熱でもあるの…?」
顔を赤らめながら、グレイへ迫るイエロー。
それを間近で見たグレイは…気絶でもしたのか、耳まで赤くして突っ伏している。
最後には少し誤魔化しを入れたイエローだが、冗談だという気配はない。
次に許してもらえないような無理をすることがあれば…まぁ、うん。
ノリのいい先輩方が、会場の用意をしてくれるだろう…特にブルーあたりが。
『うおおおぉぉぉ!そのまま抱け!抱けえええぇぇぇ!』
(ウルサイゾ、ララ殿。耳元デ騒グナ、イイ加減寝サセテクレ…)
二人を守るべく手持ちのままでいるララと、ボールの中で休みたいがために残ったケーシィさんも、ボールの中からそれを見守っていた。
相変わらず、ララは気ぶり爺と化しているが…これも、平穏な光景だと言えることだろう。
グレイが目覚めた後、二人は森の奥を目指し歩き続けていた。
目的は、野生へと帰っていったキング、カブキに会いに行くため。
リリはレッドへのリベンジを伺うべくグレイの下に残っていたが、他の二匹はそうではない。
キングは再び森の頂点を示すため、カブキは第三回トキワロワイヤルでキングに負けたそのリベンジをすべく、森に帰っていた。
「おーい、二匹ともー。会いに来たぜ」
「こんにちは、キング、カブキ。今日は美味しい木の実を持ってきたんだ。はい、どうぞ!」
開けた場所で戦っている二匹だったが、グレイたちが来ると一時休戦とし、傷を癒すために木の実を食べ始める。
キングは木の実を丸ごと頬張り、カブキはその管で中果汁を吸い取り…各々の方法で、美味しそうに木の実を食べる。
「で、今はどんな感じなんだ?『危ない場面も増えてきた』?へぇ、キングがか…」
「ん〜、でも『まだ勝ち越すのは遠い』だって。カブキは頑張りやなんだね…!」
毎日のように稽古をしているキングとカブキ。
随分と仲良くなったようで、当分このライバル関係が無くなることはなさそうだ。
もしグレイが森から遠出するときはついて行くつもりらしく、手持ちから離れた後もグレイとキングたちの関係は良好なようだった。
キングとカブキと別れ、トキワシティに帰ってきたグレイとイエロー。
二人を出迎えたのは、偶然町まで来ていたレッドだった。
レッドは二年前の約束を守るために、トキワジムのジムリーダーを目指していた。
まだジムリーダーの資格は取れていないが…今日は、二人の様子を見に来たらしい。
「こんにちは、レッドさん!」
「今日はどしたんです?なんなら家まで歓迎しますけど…」
「よっ、二人とも。今日は近くまで用事があってさ。せっかくだから、顔を見に来たんだ。」
顔も見れたりちょっとしたら帰るかな…と言うレッドにグレイたちは少し残念そうにしている。
プテを呼び、帰る支度を始めていたが…思い出したかのように、グレイに内緒話をする。
「グレイなら大丈夫だろうけど…いや、大丈夫か?とにかく、イエローを泣かさないようにな?」
「…そんな心配しないでくださいよ…泣かせるつもりはないし、絶対幸せにしますよ」
「そっか。じゃ、二人ともまたな〜!」
内緒話を終え、今度こそレッドが帰っていく。
レッドへ別れの挨拶を済ませ、家に戻ろうと歩いている最中。
何を話していたのか気になったのか、前を歩くイエローが聞いてきた。
「ねぇ、なに話してたの?」
「あ〜…イエローを泣かすなってさ。ちゃんと幸せにするって言っといたよ」
「そうだったんだ…あ、でも。幸せにするっていうのはちょっと違うんじゃない?」
「え?」
「支え合いたいって、言ったでしょ?グレイがボクを幸せにするとか、ボクがグレイを幸せにするとかじゃなくて…」
そう言いながら、イエローはグレイへと振り向く。
そうして、とびっきりの笑顔で…
「二人で幸せになる、でしょ?」
ほん、とうに。
初めて会ったときから、そうして。
キミが笑顔を見せてくれたから…
俺は、こう思えるようになったんだ。
「あぁ…そう、だな…!」
『
そんなわけで、日常を取り戻す旅はこれにてお終い。
これからも事件に巻き込まれることはあるだろうけど、それはまた別のお話。