mix color   作:御沢

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味方も敵

「今のはやりすぎだ」

剣城の声が響く。辺りは静寂に包まれている。

「さっきのスライディングが当たっていれば、あいつの足は確実につぶれていた」

確かにそうだ。さっきのスライディングが決まっていれば、天馬の足はつぶれていた。サッカーが、2度とできなくなっていた。

磯崎は言う。

「だったらどうした?」

そして、決定的なことを言う。

「あんな奴、一生サッカーが出来ない体になりゃいいんだよ!」

私の中で・・・剣城の中で、何かが切れる。

 

 

「「貴様ぁ・・・本気で言ってるのか!!」」

 

 

私と剣城の声が重なる。剣城だけでなく、私のほうにも視線が向く。でも、そんなの関係ない。ふらつく体で、私は剣城の隣まで歩いてゆく。

「楓、おまえ・・・」

「今なら、あんたと同じ考えよ。サッカーが出来なくなる体なんて・・・絶対に嫌だもの!!」

私たちは、顔を見合わせる。そして、剣城お得意のあの冷たい笑みを私は浮かべる。

「私は、反フィフス側の人間よ?ボーっとしといていいのかしらね?」

「何っ!?」

万能坂中の選手たちが、急いで各ポジションへと戻る。しかし、遅い。

「デスッソードッ!!」

剣城がシュートを打つ。もちろん、万能坂のゴールに向かってだ。しかし、キーパーは気づいていない。そのボールのそばへ、私はダッシュする。そして

「デスアームズッ!!」

シュートチェインをした。そのボールは、万能坂のゴールに突き刺さる。

観客は盛り上がる。しかし、選手たちは騒然とする。

ピッピーッ!!・・・此処で、前半が終了した。結果は、1-1の同点だ。

 

 

キャプテンが剣城と私に近寄ってくる。

「剣城・・・おまえ、サッカーを潰すんじゃなかったのか・・・?」

「・・・つぶすさ。こんな腐ったサッカー、俺がこの手でぶっつぶすッ!」

キャプテンが、驚いたような、何かを悟ったような顔をする。

「剣城・・・」

きっとキャプテンも気がついたんだろう。円堂監督が、初めからそれを狙っていたということを。サッカーが好きな人に、悪い奴はいないらしいから。

続いてやってきたのは、天馬。

「楓っ!剣城っ!・・・ありがとう!!」

屈託のない笑み。こんな顔、私も1度はしてみたい。しかし、剣城は天馬のことを無視して、歩いて行った。

「天馬、あいつのことは放っておいて・・・あげて」

私はそう天馬に告げ、ベンチへと向かった。

 

 

私はドリンクを取り、剣城とは逆のベンチの端へと向かった。ちょっと横では、霧野先輩がキャプテンに足を見てもらっている。さっきのラフプレーで、足を痛めてしまったらしかった。結構腫れていて、後半は出れそうになかった。だから、車田先輩が出ることになった。

「神童・・・後半もやるのか?」

倉間先輩が、キャプテンに尋ねる。場の空気が、ピンと張り詰める。

「やるなら勝手にやれ。ただし、俺たちはいっさい試合にはかかわらない」

それを皮切りに、不満の声が上がる。私はただ、黙ってそれを見ている。否、口出しできる雰囲気ではない。

「わかった。おまえたちをまきこんでしまったことは、謝る。・・・でも、俺たちは戦う!たとえ、5人になっても!!」

倉間先輩とキャプテンのににらみ合いが続く。

「勝手にしろ」

そう言い残し、倉間先輩たちフィフス側は、ちらばった。雷門の雰囲気は、最悪と行っても過言ではない。

 

 

後半が始まる。雷門は、試合に勝つ気のない選手たち―――倉間先輩、浜野先輩、速水先輩、天城先輩、車田先輩をサイドに置いた。FWの2トップに、天馬とキャプテン、その後ろのMFのところに私と、今回だけは味方らしい剣城、私の後ろに信助、そしてGKの三国先輩というフォーメーションだった。

しかし、剣城はやっぱり信用できない。私は信用しているほうだけど、キャプテンとかは信用しきれていない。迷いが顔に出ている。

天馬が最初のほうは、ボールをキープしていた。しかし、すぐに剣城にパス。そして剣城は、1人で上がっていく。私も上がろうとしたけれど、後半戦開始前に剣城にいわれた言葉を思い出す。

“1人で・・・行く!”

拳を握り、私はその場に立つ。剣城は、華麗なボールさばきで、相手陣内へと切り込む。そして、とうとうゴール前だ。でも、確か万能坂のGKは・・・

「さっきは油断したが、今度はそうはいかないぜ」

剣城が、デスソードをくらわせる。その瞬間だった。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!“機械兵ガレウス”」

やっぱり、私の記憶は正しかった。万能坂のGK―――篠山は化身使いだ。そして、デスソードを止めると、光良にパスを出す。

やばい、こいつも私の記憶が正しければ・・・

「ハハハハハッ!奇術魔ピューリム!!」

やっぱり、化身使いだった。つまり、万能坂にシードは3人。化身使いは2人だ。化身使いの数で言うと、雷門のほうが多いが・・・。

「ハハハハハッ!マジシャンズボックス!」

光良がシュートを決める。三国先輩は、必死に耐えるが、ゴールにボールが突き刺さり、2-1に。

磯崎が、剣城のほうを向き言い放つ。

「さぁ剣城。俺たちを潰してみろ。おまえの言う本当のサッカーで!!」

 

 

―――フィールド中の敵。今となっては、味方も敵だ。

この状態で、私はゴールを決めなくては・・・本選に進まなくては・・・!

 

 

 

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