「3回戦の相手が・・・帝国学園!?」
今日のミーティングで、音無先生が、発表したことだ。
メンバーたちも、ざわつき始める。私―――山吹楓も、ちょっとだけ動揺した。
帝国学園と言えば、あのお兄さん・鬼道有人さんが総帥の学校。そのサッカー部と雷門サッカー部は、10年前・・・いや、もっと前からライバル関係。
帝国は、今やフィフスの手の中だ。しかし、それはお兄さんの意図したこと。本当に落ちたわけではない。
それよりも、私は帝国学園がやりにくい。知り合いは多いし、特にキーパーは麗一君。麗一君の守ゴールに、シュートを打ち込むなんて・・・やりにくすぎる。
「化身を使う選手が、何人もいるらしいぞ」
「もう駄目ですね・・・。フィフスセクターが本気になったんです。おしまいです・・・」
先輩たちが落ち込む中、天馬が立ち上がる。
「でも、帝国学園と戦えるなんて、すごいじゃないですか!雷門対帝国!ワクワクします!!」
さすが天馬、この雰囲気を変えてしまう。いや、変えてはいないが、その心意気は見習いたい。
「・・・その帝国に、俺たちはどうやれば勝てると思ってるんだ?」
倉間先輩の、痛い一言。でも、確かにそうだ。必殺タクティクスも、キャプテンの神のタクトしかない。化身使いだって、キャプテンと私だけだ。
「勝ち目はある!この11人で、頑張ろう」
キャプテンが、立ち上がりみんなに言う。キャプテンも、最近は思考が前向きになった。私も、シードだとキャプテンに打ち明けられた。
みんな、少しずつ前向きになっている。
円堂監督が、笑いながらみんなに呼びかける。
「よく言った、神童!このメンバーで、勝利に向かって突っ走るぞ!!」
「「「はいっ!!」」」
所かわって、サッカー塔内の、サッカーグラウンド。
移動の間、私はずっと考えていた。そのことを、みんなに打ち明けた。
「帝国学園は、並の相手じゃないわ。練習をよく見るから・・・わかるの」
最後の方が理解できたのは、霧野先輩、円堂監督、音無先生くらいだろう。
「確かにそうだな・・・」
円堂監督も考え込む、と、そこに・・・
「監督、考えがあるんです」
キャプテンがやってくる。
「アルティメットサンダーを使ってみたらどうかと・・・思うんです」
先輩方は、はっとしたようなかおをする。そのアルティメットサンダーというのは、以前、久遠監督の時代に考え出したもので、帝国にも通用するんじゃないか、というものだった。しかし、難点もあるようで・・・
「でも、あれって、何回トライしても、成功することがなかったじゃないですか・・・?」
「ちゅーか、強力なストライカーがいないと、難しいタクティクスだからなぁ」
そう、強力なキック力のストライカーが必要なのだ。
なんだかんだで、アルティメットサンダーの練習が始まった。
1stキッカーは浜野先輩、2ndキッカーは速水先輩、3rdキッカーは霧野先輩、4thキッカーは天城先輩だった。いったい、どんなタクティクスなのだろう。天馬たちが横で、ワクワクしていた。
浜野先輩が蹴り出すと同時に、ラストキッカーのキャプテンが、DF側に向かって走り出す。私はそれで、どんなタクティクスか大方見当がついた。まぁ最も、天馬と信介とマネージャーは、全く理解していないみたいだったが。
次々と蹴られ、パワーが大きくなっていくボール。そのボールを、キャプテンが蹴るのだ。しかし・・・
「うわぁ!!」
キャプテンは、蹴り返すことができなかった。私たちは、吹き飛ばされたキャプテンのところへ、かけてゆく。
「ダメだ・・・ボールの力に・・・負けてしまう・・・」
悔しそうにキャプテンは言う。しかし、めげない。
「もう1度だ!!」
「今度は俺がやる」
キャプテンを遮るように言ってきたのは・・・倉間先輩だった。確かに先輩なら、FWだし、キック力もあるだろう。
「よしっ、みんな!ポジションに着け!!」
キャプテンの掛け声で、またポジションに着く。―――今度は、成功するか否か。
「私、ちょっと休憩するわね」
私は、水分補給のため、いったんベンチに戻った。
「楓ちゃん」
その時だった。音無先生に呼ばれた。
「はい?なんですか?」
「ちょっと・・・いいかな?」
怪訝に思ったが、私は先生の後についてゆく。先生が向かったのは、監督のところだった。
「円堂監督・・・」
「ん?どうした、春奈、楓」
「これを・・・」
そういいながら音無先生は、私と監督にとある紙を見せる。そこに書いてあったのは・・・
「帝国サッカー部の、メンバー・・・?」
「えぇ・・・。帝国学園の・・・データです」
音無先生がそう言うと、円堂監督が、はっとしたような顔をする。その意味は、私にもすぐに理解できた。そこに書いてあったのは・・・監督・鬼道有人。
「鬼道・・・イタリアのプロリーグで、プレイしているはずじゃなかったのか?」
「最近連絡が取れなくって・・・私も気になってはいたんです」
「お兄さんなら・・・この前のパーティー・・・いえ、もっと前にも会いましたけど・・・春奈さんとか円堂さんには、帝国学園の総帥になったこと、言ってなかったんですね・・・」
私たちは、俯く。
アルティメットサンダーは、倉間先輩もダメだったようだった。