pppppp・・・pppppp・・・
「イシドだ。何の用だ、山ぶk―――」
数回コールすると、豪炎寺さんは出てくれた。
「豪炎寺さんっ!聞きたいことがあるんです!」
イシドシュウジではなく、豪炎寺さんに切り替わり、すぐに対応してくれた。
「どうしたんだ、楓?お前だそんなに急いで」
「剣城っ、今来ていますか?」
単刀直入に、私は質問する。豪炎寺さんは、ちょっと間があった後、答えてくれた。おそらく、きているかどうか確認したんだろう。
「いや、きていないが・・・どうした?」
「いえ・・・ちょっと用があったんです。では」
私は電話を切る。フィフスにいたいとしたら・・・いるところは、大方見当がついた。
暫く走ると、そこに着く。
―――稲妻総合病院。
此処には、優一さんが入院している。すぅ・・・と息を吸い、病院の入口まで向かう。
途中、1回だけ剣城と一緒に、お見舞いにきたな・・・なんて思う。ずっと前の事のようなのに、実はちょっと前の事だ。
ウィィィィィィン・・・
そんな音とともに、自動ドアが開く。受付には、事務のおばさんが座っている。
「すいません、剣城優一さんの病室ってどこですか?」
この前は、剣城について行ったから、どこだったかは忘れてしまった。
おばさんに病室を教えてもらい、私は優一さんの病室へと向かった。
ドアをノックしようとして、ためらった。中には、人の気配。私も何度か感じたことのある、そんな気配。―――間違いない、剣城だ。
何もされていなかったことに、ホッとする。しかし、足音がだんだんと近づいてきたため、私は近くのエレベーターホールに隠れ、剣城とは会わないようにした。今は、私があいつと会いたくない・・・。
剣城が見えなくなると、私も帰ろうと思った。でも、優一さんの病室の前で、足が止まる。
「・・・まったく、自分で自分がよくわからないわ」
そう1人でつぶやき、私は優一さんの病室に入った。
優一さんは、ベットの上で寝ていた。
腕には、サッカー雑誌を抱えていた。サッカーが好きなんだな・・・とつくづく感じる。剣城3兄妹は、サッカーでつながっているの・・・昔、瑠奈がそんなことを言っていたのを思い出す。
「サッカー・・・いつか、一緒にやりたいですね」
私はそうつぶやき、部屋を後にした。
その後、私はお兄さんが気になり、ついでだから帝国学園へと向かった。
サッカースタジアムに入ると、佐久間さんが笛を吹くのに合わせ、ファーストチームの選手たちが、腹筋をしていた。セカンドチームは、立ってそれを眺めている。
「軍隊みたい・・・」
率直な感想だった。何の面白味もない、ただやるべきことをするだけ。
意を決して、私は佐久間さんを呼ぼうとする。その時だった。後ろから、見覚えのある人―――お兄さんがやってきた。いや、此処では鬼道監督か。
「やめっ!1軍メンバーのみ集合!」
佐久間さんがそういうと、みんなトレーニングをやめた。やっぱり、軍隊みたいだ。
「次の対戦相手は雷門中だ!雷門は我が帝国の長年のライバル・・・。いわば、因縁の戦いだ!勝つことが・・・我々の宿命!忘れるな!」
・・・こんなこと言っていると、本当にフィフスの手に落ちたみたいで・・・不安になる。別に、勝つための意気込みを言っているだけなのに・・・私って、ばかね。
「よし、腹筋はじめ!」
佐久間さんの指示により、また腹筋を開始する。私は、お兄さんにメールを送った。お兄さんは、メールを見ると、スタンドの上の方を見て、私を見つける。
「楓、なぜここに・・・?」
「ちょっと・・・お兄さんも、わかってますよね?」
微笑みながら、私は尋ねる。お兄さんは、相手チームの監督。すごくやりにくい試合だ。
「楓、やりにくいと思っているだろう?だが、思いっきりプレイすればいい。そして、雷門を勝利に・・・導け!」
お兄さんのいうことに、私は唖然とする。
本当にフィフスの手に落ちたわけではないのに・・・本当のサッカーをしようとするメンバーだっているはずなのに・・・。
「えっと・・・」
「あぁ、俺の言っていることはおかしいだろう。でもいいんだ。とにかく・・・勝つんだ」
「・・・わかってますよ」
ちょっといたずらっぽく笑う。お兄さんは、一瞬ひるんだ。しかし、すぐに笑う。
「あと、今から・・・円堂にはいうんだが・・・今日の夜、鉄塔広場に来れるか?」
去り際、お兄さんに言われた。私は、昼間の事を思い出す。
「分かりました、行きます」
静かにそう言い残し、私は外に出る。
「・・・迎えに来てもらう事にしよう」
私は、携帯を取り出し、家へと電話を掛けた。