再び試合が始まる。
「天馬っ!」
キャプテンの、俺を呼ぶ声が、ピッチに響く。キャプテンの指示、絶対に見逃しちゃいけない。俺は、絶対に勝つんだ。そして、サッカーを・・・取り戻す!
「はいっ!」
そして、キャプテンの神のタクトがでる。必死に、俺はボールを追いかける。
「楓っ!」
「分かってますっ!」
俺に続き、FWの楓に指示が出る。シュートの指示なのだろうか。
必死に走って、走って、走って・・・ボールに追いついた!俺は、ヘディングで楓にパスを出す。
「ナイスパスっ!」
そう微笑みながら、楓は言う。そのまま、ゴール前に持ち込む。
「決めて・・・みせるっ!」
そういいつつ、楓は勢いをつける。しかし、前に帝国の選手が出で来る。それ以前に、楓は本気を出せないでいる・・・様に、俺には見える。
楓は、ボールをとりあえず蹴る。神のタクトのラインに沿って、ボールは弧を描く。しかし、相手DFに止められる。
「これが、我が帝国学園の守り!いかがですか、楓さん?」
「・・・フッ、さすがね」
―――え・・・?楓と帝国組は・・・知り合いなのか?
「でも、雷門もなめちゃだめよ?こっちには神童キャプテン―――天才ゲームメーカーがいるのよ?」
楓は、相手の瞳をまっすぐに見つめ、真剣なまなざしで言い放つ。―――そうだよな、こっちには、天才ゲームメーカー・神童拓人キャプテンがいるんだ。
「でも、本気で行かせてもらいますよ?」
そういうと、相手はボールをける。意表を突かれたのか、楓は反応できず。俺もキャプテンもボールを追いかけるが、その先にいたのは、帝国のキャプテンだった。
―――これが、帝国の実力とでも言いたいのだろうか。
またボールが、高く蹴り上げられる。
それを追いかける俺たち。やっぱり、俄然帝国ペースだ。帝国のあついディフェンスに阻まれ、思うように攻撃もできなければ、パスもできない。
「攻撃開始!」
相手キャプテンの掛け声とともに、帝国学園の攻撃が始まる。
―――俺は、知らなかった。剣城のお兄さんが、この試合・・・剣城の出ていない試合を、見ていることなんて・・・。
「なぜだ・・・なぜ、試合に出ていないんだ?京介」
俺―――剣城京介は、病室の外で、兄さんのつぶやきを聞いた。いずれはばれると思っていたが、いざばれると気まずい。
でも、これが兄さんの為になるんなら・・・俺は・・・!
「止めろーッ!!」
キャプテンの声が響く。私―――山吹楓は、必死に“遠慮”という感情を捨てようとした。しかし、なかなか捨てきれずにいた。
でも、向こうが本気で行くなら、こっちだって・・・本気で行かせてもらう事にしよう。
それが、お兄さんの望みでもあり、雷門のみんな―――仲間たちの望みでもあり、私自身の望みでもあるんだから・・・。
ディフェンスラインがあがる。相手は、一瞬ひるむ。しかし、佐々鬼がフリーだ。キャプテンの御門が、佐々鬼にパスを出す。
「しまった!!」
霧野先輩が叫ぶが、時すでに遅く、パスは通った後だった。
佐々鬼がドリブルで攻め込む。しかし、雷門はDFが薄くなっている。
「このままじゃ・・・クソッ、何か方法はないの・・・!?」
思わずピッチを、強く踏み込む。そこに、スパイクの跡が付く。
その時だった。
「させるかぁーっ!エイッ!」
いつの間にか、天馬が戻っていた。そして、スライディングでボール外に出す。やっぱり、この子にはサッカーの神様が、見方をしてくれているんだ。
「やっぱりどうしても、差があるな・・・」
「これは厳しいド」
「守ってしのぐしかないか・・・」
DF陣は、そこが悩みどころらしかった。差・・・か。
私は、帝国の戦術を、少なからず知っている。それは、間違いなく他の仲間たちよりも、ずっと知っている。
どんな特訓を、毎日しているのか。メンバーの癖は、どんなのがあるのか。常日頃から、私の家に来て帝王学を学んだりもしている。性格だって、知っているつもりだ。
この知識、みんなの勝利に、役立てることができるなら・・・!
「いや、守っていても勝てない」
私の考えを代弁するかのように、キャプテンが歩み寄ってきた。続けて、私も発言する。
「キャプテンの言う通りです。私は・・・」
もう、この際だ。言ってしまおう。
「・・・私は、帝国サッカー部の、戦術を知っています。だから、力になれると思うんです」
みんなが驚く。驚いていないのは、霧野先輩くらいだろうか・・・。
もしかしたら、キャプテンも財閥のつながりで、山吹財閥が帝国学園とつながっていることは、知っていたかもしれない。が、その真意は不明だ。
「・・・それは、本当なの?楓」
天馬が来る。私に、みんなの視線が集中する。私は、意を決していう。
「だから・・・この試合、私に預けてくれませんか!?」