「楓に・・・試合を・・・!?」
「・・・はい」
私は、ひたすらまっすぐな視線を送り、キャプテンを見つめた。キャプテンは、チームの司令塔でもある。ゲームメーク力は、私も見習いたいところが、山ほどある。
私は、キャプテンほど頭が切れるわけでもないし、剣城ほどキック力がある訳でもない・・・。それでも、今は私の方が、出来るような気がする。
「・・・俺は、楓を信じる。楓は、頭もいいしストライカーとしての素質もある。いくつも役割を果たすのは、大変だろうが・・・いいか?」
微笑みながら、キャプテンが言ってくれた。嬉しかった。それを皮切りに、他のメンバーも、同意してくれた。
「・・・私、絶対に勝ってみせる・・・!」
私も笑みを浮かべ、ガッツポーズをした。そんな私を見て、キャプテンが背中をたたく。
「頑張れよ」
「・・・はい!」
「分かってると思いますけど・・・帝国はあついディフェンスが特徴です。ですから、攻略するにはやはり・・・アルティメットサンダーしかないと思うんです」
周りが騒然とする。無理だ、成功はしない、などの声が上がる。
「私が思うに、成功するか否かは・・・剣城にかかっていると思うの。でも、あいつが来るまでに完成させたい。可能性は、0ではない。なら、ボールが来たらすぐに、アルティメットサンダーです!」
私は真剣なまなざしで、みんなを見つめた。しかし、倉間先輩が言う。
「あのタクティクスは、未完成だぞ?フィニッシュは、だれが蹴るんだ?」
しばしの沈黙。私は、決心する。
「・・・私です。私が蹴ります」
パンパンッ
三国先輩が、グローブをたたく音だ。
試合が再開する。
「みんな、ゴールの事は心配するな!いけっ!」
「「はいっ!!」」
天馬と信介の元気のいい声。私の中の緊張が、ちょっとほぐれた。
「それじゃあ、行きますよっ!!」
「「あぁ/おぅ!!」」
試合が、いい方向に変わればいいんだけど・・・。
俺―――剣城京介も、意を決して兄さんの病室に入る。
試合の展開は、携帯で見ていた。病室から、同じ音が聞こえてくるのもわかっていた。でも、タイミングは今しかない。
「おはよう、兄さん」
今さっき来たように、兄さんの病室に入る。
「京介、お前・・・何故、此処に・・・?」
兄さんは、驚いたような顔をする。当たり前か。試合に出ていると思っていた人が、出ていなかたんだから。
テレビを観て、やっぱり気まずい、と思う。
「あぁ・・・」
「京介・・・?」
兄さん・・・ごめん。
俺だって、コイツラと戦いたいけど・・・。
今は、兄さんの体を、ただ直したいんだ。
俺のせいだから・・・俺のせいで、兄さんのサッカーは・・・無くなったから・・・。
これが、例え―――“マチガッタミチ”だとしても・・・!