mix color   作:御沢

32 / 97
跳べッ!

帝国の勢いが、また一段と大きくなってきた。

私―――楓は、いまだに攻略法を編み出せていないし、アルティメットサンダーさえ成功しない。

そうしている間にも、帝国のチャンス。

ふと見渡すと、信助が止めようとしている。信助の中で、何かが変わればいいけれど・・・。でも、そんなこと、今の私が言えることではない。

ボールは、キャプテンの御門にわたる。霧野先輩と天城先輩が、サイドからスライディングする。しかし、2人ともかわされてしまう。

ボールは車田先輩にわたり、ピッチアウト。ふと見ると、DFたちは息切れが激しい。体力を、相当消費しているらしかった。

 

 

「さっきから、攻められっぱなしだド」

「守るので精いっぱいだ・・・」

「僕がボールを止められれば・・・」

「ちゅーか、監督は何で黙ったままなの?」

「何か指示はないんですか?」

仲間たちは、困惑する。円堂監督は、確かに一向に指示を出してこない。私は、どうすればいいの・・・?

「円堂監督・・・」

円堂監督の視線の先には、信助がいる。監督を不安そうに見つめるのは、音無先生。先生だって、実のお兄さんと戦うのは、辛いはずなんだ。

私だけが、辛いんじゃない。頑張らないと・・・。

 

 

「楓さん、雷門はなかなかしぶといな」

「生ぬるい・・・こんなやつら、俺たちなら一撃で出来るって・・・聡明なあなたにはわかりますよね?」

帝国の御門と逸見がそういってくる。脅迫みたいだ。―――負けてくれ、とでも言いたいのだろうか。

「御門、逸見、私たちはいつでも本気よ。あなたたちが何を言おうと、私たちは負けたりしないわ。あなたたちの望むことは、八百長なの?そんなサッカー、もう雷門には必要ないの」

2人の瞳をまっすぐ見つめ、言い放つ。2人は、ひるみ言葉を失う。

「そうですか・・・でも、つぶすとしたら、今だ。監督は、何を考えているんだ・・・」

お兄さんも、円堂監督と同じみたいだ。

「総帥には、総帥のお考えがある。俺たちは、総帥の命令通りに動く。それが、帝国のサッカーだ」

「俺に命令するな、雅野。帝国のキャプテンは俺だ!」

「鬼道総帥のサッカーを1番理解しているのは、俺だ」

帝国学園も、仲間割れしているみたいだった。そりゃあ・・・シードとはうまが合うわけがないわね。

 

 

雷門のみんなは、やっぱり帝国の強さに圧倒されていた。

天馬が私に言う。

「帝国学園総帥、鬼道有人。イナズマジャパンを世界一に導いた、天才ゲームメーカー。そして、円堂監督の親友。そんな人が帝国の監督なんてね」

「驚いたわね。鬼道総帥は、怖いほどの頭脳の持ち主よ。そんな人の率いるチームが、帝国サッカー部。並大抵の相手じゃないことは、もうわかっていると思うけれど・・・勝つのも難しいわ。戦術もさっきのみたいに、並みのチームじゃできないものもあるわ」

私が本当に怖い顔をしていたのだろう。天馬は微笑みながら、私に言ってくれた。

「大丈夫だよ。楓なら、キャプテンにも鬼道さんにも負けないゲームメークが出来るよ!鬼道さんだって、本当のサッカーを思い出してくれると思うし!」

天馬の優しい言葉で、私の緊張は少しほぐれた。

 

 

雷門のピンチはまだまだ続く。

ボールはすぐに奪われ、優勢に立つことも無理そう。でも、天馬も信助もあきらめない。この姿勢があれば、絶対に勝てるだろう。

ディフェンスラインをいとも簡単に抜き去り、御門にパスが渡ってしまう。御門は、ゴールに向かって走る。シュートは軽めのノーマル。三国先輩は、かろうじて止めた。

そのボールは、高く高く上がる。このままだと、また御門にわたってしまう・・・。この流れを変えられるのは・・・信助しかいない!!

「「信助ッ!!」」

私とキャプテンの声が重なる。信助は、困惑した表情。その時だった。監督が言った。

「信助!空だ!相手に向かってじゃない!空に向かって・・・とべっ!!」

私もはっとした。そうか、相手じゃなくて・・・空!信助は、ボールを止める事ばかり気にしていた。だから、ジャンプが十分でなかったのだ。

「はいっ!」

「信助ーッ!」

天馬の励ましの声にこたえるように、信助は跳ぶ。

 

 

「ぶっとびジャンプ!!」

信助が跳ぶ。ボールはカットされる。

私の心の中に、一筋の光が見えてきた・・・!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。