信助の守ったボールは、そのままコロコロ転がる。
そのボールを抑えたのは、キャプテンだった。
可憐なボールさばきで、ボールをキープし続ける。私は、指示を出す。
「皆さんっ、反撃です!大丈夫、行けるわ!」
「「あぁ/うんっ!」」
「楓!アルティメットサンダーだ!お前が頑張ってるのに、俺がこのままでいられるかよ?」
倉間先輩が、そんなことを言う。心の中で、暖かいモノが広がる。私はふっと微笑み、キャプテンと相槌を打つ。
「キャプテン・・・やりましょう!」
「そういうと思ったよ、楓」
さらに倉間先輩が言う。
「心配するな!最後は・・・俺が蹴る!」
「倉間・・・!」
「倉間先輩っ・・・!」
雷門の雰囲気は、最高へと向かっている。
そんなころの、稲妻総合病院―――・・・。
俺―――剣城は、自販機の前にいた。兄さんの部屋から出て、1人になりたかった。
買ったジュースの缶を見つめ、これでいいのだろうか・・・と、心の中でモヤモヤを感じる。
「なぜおまえは、試合に出ない?」
後ろから聞き覚えのある声がした。振り返ると、そこにいたのは
「剣城京介」
―――黒木さんだった。
俺は、ちょっと睨みつけた。そのまま、時間が流れた。
それから俺たちは、病院の外へと出た。
「我々フィフスセクターは、お前に使命を与えたのです。雷門を敗北へ導く、という使命を・・・」
そんなこと、わかっていた。でも、松風の笑顔が、俺には眩しすぎて、近寄れなかった・・・そんな感じだ。
「心配いりません。あの試合、俺が手を下さなくても雷門は負けます」
思ってもないことだけど、今はそういうしかなかった。
「帝国学園は、厳しい特訓で鍛え上げられています。雷門が勝てるわけがありません」
そういうが、黒木さんは信じていないみたいだ。
「もし帝国が負け、雷門が勝つようなことがあったら・・・お前の兄の手術費、諦めてもらうぞ」
その言葉は、俺の中に迷いを消し去った。そうだ、兄さんの為だ。俺は、ジュースの缶を強く握りしめた。
そよ風が、吹き始めた。俺の髪と学ランが揺れる。
―――俺は知らなかった。兄さんがその話を、陰で聞いていたことを・・・。
キャプテンのキープしたボール。今回は、浜野先輩じゃなく、キャプテンが1stキッカーだ。そのボールは、速水先輩、霧野先輩、天城先輩へと渡る。
私―――楓は、今回はその様子を、敵をマークしながら見ていた。
「倉間ーっ!」
「俺がアルティメットサンダーを決める!」
そんな意気込みとともに、倉間先輩がボールを蹴る。お願い、決まって・・・!
しかし、そんな願いは、すぐに途絶えてしまった。龍崎が、化身を出した。その勢いに巻き込まれ、またしてもアルティメットサンダーは失敗してしまった。
「竜騎士テディス!」
来た。来てしまった・・・龍崎の化身。先輩のダメージも、かなり大きそうだ。どうしよう、こういう時・・・。
「総員!オペレーションアルファ1」
その時だった。佐久間さんが、指示を出す。たしか、この指示は・・・
「破壊・・・する・・・は、破壊するっ!?」
お兄さんがそういっていたことを思い出し、顔から血の気が引く。破壊・・・って、いったい、お兄さんたちは何を・・・?
その後からだ。
パスが通らなくなった。否、ボールに触れられることもなくなった。
御門は言った。―――これが、本気になった帝国の攻撃だ、と。
そのすぐ後、見たことのある動きをした。
「まさかっ・・・!」
「皇帝ペンギン7!」
そのボールは、七色に光り、信助を突破する。ゴールへと一直線のそのボール。三国先輩は、バーニングキャッチで止めようとする。が、それもむなしく・・・ゴールは決まる。
チームの雰囲気は、また最悪になっていく。
お兄さん、円堂監督、私はどうすれば・・・?