後半が始まる。
私の心の中に、何か強いモノが宿った。それは、隣りにいる彼―――剣城のおかげだ。
「・・・あんたと、またこうやって一緒に戦えるなんて・・・思ってなかったわ」
「・・・俺もだ。楓、シュートは俺に任せろ。お前は・・・ゲームメイクに集中しろ」
ちょっと冷たいけれど、知ってる。照れ隠ししてる。本当は、雷門でみんなと戦えること、とてもうれしいんだろう。
「剣城、頑張りましょ?」
笑顔で言えた。剣城も、若干笑った。
「・・・京介でいい。もう俺だって・・・恥ずかしいなんて、ガキじゃないんだ。・・・頑張ろう」
真っ赤な顔の剣城。私の瞳より真っ赤だろう。なんか、かわいかった。
「・・・ふふっ、わかった。じゃ、頑張ろ、京介!」
そして、試合が始まる。
点差は2点。体力は回復済み。
点差だって“たった2点”。―――これはいける!
私は御門に言う。
「雷門のFWの力、なめちゃ苦しむわよ?」
「・・・帝国の勝利も同然。今更来たところで、剣城の仕事はない」
そんなことはない。京介なら、絶対に試合の流れを変えてくれる。そう、アルティメットサンダーだって完成する。
ピ―――ッ!!
帝国のキックオフで、後半が開始した。
始まってすぐに、京介がボールを奪う。華麗で見事だ。帝国のシードは、京介が裏切ったとわかったみたいだ。でも、それがどうしたという感じだ。
それが、雷門にとってどれほど大きなことか、そのうちわかるだろう。
「楓、シュートは任せる」
「分かりました」
私は京介のアルティメットサンダーの後のシュートのため、上がっていった。
「剣城、やり方はわかっているな?」
「あぁ」
いよいよだ。成功するか否か。
キャプテンにパスをする京介。そのボールをしっかり受け取り、掛け声。
「行くぞ!」
キッカーたちがうなずく。1stキッカーのキャプテンが、速水先輩にパスを出す。私も身構える。
京介は、後ろへと走る。
「速水っ!」
「霧野くんっ!」
「天城さんっ!」
黄金の稲妻が、コートに出来る。
「剣城っ!」
天城先輩のパスするボール。かなりのパワーがこもっていて、蹴り返すのにかなりのパワーがいることは、私たちが一番分かっている。
「アルティメットサンダー!」
京介はこのボールを、蹴り返すことができた。後は、私がシュートするだけ。雷門の仲間たちも、唖然としている。
―――私だって、みんなだって、信じていたわ。
しかし、そのボールは相手陣地のど真ん中に落ちたが、そのまま勢いを失い、相手にボールはわたってしまった。
「えっ!?」
いったい、どうして・・・?そんな顔をするキャプテンと天馬。私も最初は謎だった。でも、すぐに分かった。
―――京介、優一さんの事で悩んでいる・・・。
この試合に本気で挑むことは、フィフスを裏切ること、つまり優一さんの手術費が出ないことになる。
「・・・もう一度だ。今度は決める!」
悔しさと決意のこもった声が、ピッチに響く。私たちはうなずき、またアルティメットサンダーの形に戻る。
キャプテンがボールを奪い、速水先輩にパスをする。そして、また京介にボールが渡る。
しかし、今回も失敗。やっぱり、優一さんの事はこたえているみたいだ。
先輩たちは、京介が手を抜いているんじゃないか、なんて言ってる。違うってわかっているけど、そう見えても仕方がない。
京介だって、あんな悔しそうな顔をしている。その顔は、手を抜いている顔じゃない。
霧野先輩がザ・ミストでボールを奪い、京介にパスをする。なのに、京介は反応しない。否、考えているからできなかったんだろう。どうして、成功できないのか・・・。
京介が気が付いた時にはすでに遅く、ボールは再び敵にわたっていた。
「どうしたんだ、剣城!今のお前、ちゃんとサッカーと向き合っていない!」
天馬がスライディングしながら、京介に喝を入れる。私も、たまらなくなった。
「優一さんに京介が・・・本当にしてあげなきゃいけないことって何!?償いができるとしたら、何が出来るの!?」
天馬が吹き飛ばされ、京介の目の前に落ちる。
「そんなんじゃ・・・そんなんじゃ・・・サッカーが泣いてるよ!!」
その言葉に、京介ははっとしたみたいだった。ちゃんと気づけた京介は、絶対に強い。
天馬がボールをキープしている奴から、ボールを奪おうとする。その後ろから、ものすごい速さで追いついた京介が、ボールを軽々と奪う。
そして、キャプテンにパス。
「神童っ!」
京介からのボールを、ちゃんと受け取ったキャプテン。そして、また始まる。
「行くぞ!みんな!!」
「俺は・・・俺と兄さんのサッカーをする!!」
そういうのと同時に、ボールが蹴られ始める。
大きな黄金の稲妻ができ、京介にわたるボール。もうパワーの事なんて、気にしない。
「アルティメットサンダーッ!食らえッ!!」
ボールは、敵陣の真ん中に落ちた。
―――果たして、結果は・・・!?