“レジスタンス”
―――反フィフスセクター勢力の、影の中心的存在。
私―――空野葵たちは、まだその存在を知らない。
「一体、帝国に何の用なんだ?」
「また、何かされるんだ」
などと、恐怖におびえている雷門イレブン。そりゃあそうだろう。急に呼び出され、先日戦ったばかりの帝国学園に、私たちは来ている。
「おまけに、楓は来ていない・・・」
そう、楓も来ていないんだ。楓以外のメンバーは、皆来ているのに・・・。楓、どうしたの?
「心配ない。楓のことは聞いているし、これは鬼道からの招待だ」
それを聞くと、皆はちょっと安心したようだった。でも、帝国学園は、その雰囲気が何というか・・・おっかない。
長い動く道を通ると、そこに待っていたのは、帝国学園の人だった。確か、コーチとGKだったはず。
簡単な歓迎の言葉を述べ、2人は私たちをある場所に迎える。
近未来的なエレベーターに乗り、私たちはどうやら地下へと連れていかれているらしかった。
一体・・・一体、どこへ?
とうとうついたのは、大きなドアの前。
そこにいたのは、帝国学園の監督と、久遠監督だった。選手たちは、一気にうれしそうな顔になる。元監督との再会。うれしいことだろう。
さらにそのドアが開くと、信じられない光景があった。
「「えっ!?」」
円堂監督と音無先生が、びっくりしたような声を上げる。私たちも驚いた。だって、そこにいたのは・・・
「かっ、かえっ、楓っ!?」
思わず大きな声をあげてしまった。でも、しょうがないだろう。驚いた。だって、いなかった楓が、なんでかは分からないが、ここにいるんだから・・・。
「ごめんなさい、実は私は・・・」
楓は、思わず声がでないほど驚きの事実を、今この場で語った。
「私は、京介と同じシードでした。でも、立場はちょっと違います。私は・・・シード内のトップでした。そして・・・この組織・レジスタンスの一員です。
レジスタンスのメンバーは、響木正剛監督―――聖帝立候補者をはじめとし、雷門理事長、火来校長、久遠監督、佐久間さん、鬼道監督が主なメンバーです。学生ですが、私と麗一君―――雅野麗一君・帝国サッカー部のGKも、メンバーです。
この組織は―――」
そこまでいいかけて、帝国の監督―――鬼道さんが遮った。
「楓、いいよ。ありがとう。此処からは俺が話そう。
レジスタンスは、反フィフスセクター勢力の影の中心だ。おまえたち雷門が、表の中心だ。
俺たちは、響木さんを聖帝選挙で勝利させる、そのことを目標としている。聖帝が変われば、サッカー界だって変わるだろう。
だから、おまえたちには・・・勝ち続けてもらう」
まっすぐにこちらを見つめていることは、眼鏡越しでもわかる。おそらく監督は、そのことを分かっている。
もちろんそのことを了承し、私たちはレジスタンス本部を後にした。帰りは、楓も一緒だ。
私としては、楓に聞きたいことがいくつかあった。
「楓ーっ!久々にゆっくり話せるっ!!あのね、聞きたいことがいくつかあるんだけど・・・」
「ん?何かしら?」
意を決して、私は尋ねる。
「あのさ・・・ちょっと前になるけど、楓・・・キャプテンと授業サボって、サッカー塔にいたでしょ?C組の窓から、見えててね・・・えっと・・・なんで?あと、いつの間に剣城君の呼び方、“京介”に変わったの?」
楓は、あちゃー・・・とでも言いたげな顔。でも、私の頭の中には、はてなマークがいくつも浮かぶ。
「えっと、質問の答えね。最初のは・・・えっと・・・私とキャプテン―――拓人さんは、実は・・・い、許婚?婚約者?で・・・まぁ、財閥のつながりね。次のは、先日。京介のほうから・・・“京介でいい”って言ってきたから・・・」
へぇ・・・って・・・
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
帝国学園に、私の声が響いた。一斉に、皆が私を見る。キャプテンが、代表して私に尋ねる。
「そ、空野?大丈夫か?」
・・・ダメ!今、キャプテンがここに来ちゃったら・・・!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!許婚ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
―――言っちゃった。しかし、もう遅い。楓とキャプテンは、顔を真っ赤にしている。そして、俯く。
本当、2人ともわかりやすいなぁ・・・。
「許婚・・・?」
霧野先輩が、怪訝そうな顔で聞いてくる。キャプテンが、言いづらそうに真っ赤な顔で言う。
「えっとな・・・楓と俺は・・・その、それなんだ・・・許婚という奴だ・・・」
しばしの沈黙。そして、皆の叫び声が響いたことは、言うまでもない。
「もう・・・葵ったら・・・」
「本当にごめん・・・っ!あ、でも、剣城君とのことは言ってなi―――」
「そっちのほうは、言ってもよかったのよッ!!」
“むすっ”・・・否、“むっすーっ”とした楓を、私はなだめる。ちょっと罪悪感があったけど、私は言っちゃったら、もうしょうがないというタイプ。しかも、楓は可愛い。
こういう場合、どうすればいいんだろうか・・・。
「クスッ・・・」
私が悩んでいるのに、楓は笑う。戸惑う私。そんな私に、楓は下をちょっと出して、ウィンクしながら言った。
「ごめんなさい、怒ってないわよ?」
私は、若干怒りが込み上げてきたが、その楓がかわいすぎて、怒りなんかすぐにおさまってしまった。
「ちょっと・・・楓ぇ、かわいすぎッ!!」
「へ?」
―――こんな子が友達なんて、私にはもったいないかもね。
「・・・葵は、私の大切な親しい友―――親友よ?」
楓はまるで私の心を読んだよう。ドキッとして、私も笑顔で言う。
「あったり前!!私にとっても、楓は親友!!」