mix color   作:御沢

38 / 97
親友

“レジスタンス”

―――反フィフスセクター勢力の、影の中心的存在。

私―――空野葵たちは、まだその存在を知らない。

 

 

「一体、帝国に何の用なんだ?」

「また、何かされるんだ」

などと、恐怖におびえている雷門イレブン。そりゃあそうだろう。急に呼び出され、先日戦ったばかりの帝国学園に、私たちは来ている。

「おまけに、楓は来ていない・・・」

そう、楓も来ていないんだ。楓以外のメンバーは、皆来ているのに・・・。楓、どうしたの?

「心配ない。楓のことは聞いているし、これは鬼道からの招待だ」

それを聞くと、皆はちょっと安心したようだった。でも、帝国学園は、その雰囲気が何というか・・・おっかない。

 

 

長い動く道を通ると、そこに待っていたのは、帝国学園の人だった。確か、コーチとGKだったはず。

簡単な歓迎の言葉を述べ、2人は私たちをある場所に迎える。

近未来的なエレベーターに乗り、私たちはどうやら地下へと連れていかれているらしかった。

一体・・・一体、どこへ?

 

 

とうとうついたのは、大きなドアの前。

そこにいたのは、帝国学園の監督と、久遠監督だった。選手たちは、一気にうれしそうな顔になる。元監督との再会。うれしいことだろう。

さらにそのドアが開くと、信じられない光景があった。

「「えっ!?」」

円堂監督と音無先生が、びっくりしたような声を上げる。私たちも驚いた。だって、そこにいたのは・・・

「かっ、かえっ、楓っ!?」

思わず大きな声をあげてしまった。でも、しょうがないだろう。驚いた。だって、いなかった楓が、なんでかは分からないが、ここにいるんだから・・・。

「ごめんなさい、実は私は・・・」

楓は、思わず声がでないほど驚きの事実を、今この場で語った。

 

 

「私は、京介と同じシードでした。でも、立場はちょっと違います。私は・・・シード内のトップでした。そして・・・この組織・レジスタンスの一員です。

レジスタンスのメンバーは、響木正剛監督―――聖帝立候補者をはじめとし、雷門理事長、火来校長、久遠監督、佐久間さん、鬼道監督が主なメンバーです。学生ですが、私と麗一君―――雅野麗一君・帝国サッカー部のGKも、メンバーです。

この組織は―――」

そこまでいいかけて、帝国の監督―――鬼道さんが遮った。

「楓、いいよ。ありがとう。此処からは俺が話そう。

レジスタンスは、反フィフスセクター勢力の影の中心だ。おまえたち雷門が、表の中心だ。

俺たちは、響木さんを聖帝選挙で勝利させる、そのことを目標としている。聖帝が変われば、サッカー界だって変わるだろう。

だから、おまえたちには・・・勝ち続けてもらう」

まっすぐにこちらを見つめていることは、眼鏡越しでもわかる。おそらく監督は、そのことを分かっている。

もちろんそのことを了承し、私たちはレジスタンス本部を後にした。帰りは、楓も一緒だ。

 

 

私としては、楓に聞きたいことがいくつかあった。

「楓ーっ!久々にゆっくり話せるっ!!あのね、聞きたいことがいくつかあるんだけど・・・」

「ん?何かしら?」

意を決して、私は尋ねる。

「あのさ・・・ちょっと前になるけど、楓・・・キャプテンと授業サボって、サッカー塔にいたでしょ?C組の窓から、見えててね・・・えっと・・・なんで?あと、いつの間に剣城君の呼び方、“京介”に変わったの?」

楓は、あちゃー・・・とでも言いたげな顔。でも、私の頭の中には、はてなマークがいくつも浮かぶ。

「えっと、質問の答えね。最初のは・・・えっと・・・私とキャプテン―――拓人さんは、実は・・・い、許婚?婚約者?で・・・まぁ、財閥のつながりね。次のは、先日。京介のほうから・・・“京介でいい”って言ってきたから・・・」

へぇ・・・って・・・

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

帝国学園に、私の声が響いた。一斉に、皆が私を見る。キャプテンが、代表して私に尋ねる。

「そ、空野?大丈夫か?」

・・・ダメ!今、キャプテンがここに来ちゃったら・・・!

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!許婚ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

―――言っちゃった。しかし、もう遅い。楓とキャプテンは、顔を真っ赤にしている。そして、俯く。

本当、2人ともわかりやすいなぁ・・・。

「許婚・・・?」

霧野先輩が、怪訝そうな顔で聞いてくる。キャプテンが、言いづらそうに真っ赤な顔で言う。

「えっとな・・・楓と俺は・・・その、それなんだ・・・許婚という奴だ・・・」

しばしの沈黙。そして、皆の叫び声が響いたことは、言うまでもない。

 

 

「もう・・・葵ったら・・・」

「本当にごめん・・・っ!あ、でも、剣城君とのことは言ってなi―――」

「そっちのほうは、言ってもよかったのよッ!!」

“むすっ”・・・否、“むっすーっ”とした楓を、私はなだめる。ちょっと罪悪感があったけど、私は言っちゃったら、もうしょうがないというタイプ。しかも、楓は可愛い。

こういう場合、どうすればいいんだろうか・・・。

「クスッ・・・」

私が悩んでいるのに、楓は笑う。戸惑う私。そんな私に、楓は下をちょっと出して、ウィンクしながら言った。

「ごめんなさい、怒ってないわよ?」

私は、若干怒りが込み上げてきたが、その楓がかわいすぎて、怒りなんかすぐにおさまってしまった。

「ちょっと・・・楓ぇ、かわいすぎッ!!」

「へ?」

 

 

―――こんな子が友達なんて、私にはもったいないかもね。

「・・・葵は、私の大切な親しい友―――親友よ?」

楓はまるで私の心を読んだよう。ドキッとして、私も笑顔で言う。

「あったり前!!私にとっても、楓は親友!!」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。