mix color   作:御沢

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あいつが帰ってくる!

輝君が入部した翌日。

―――ホーリーロードの次の相手が決まった。北海道代表の白恋中だ。

 

 

私―――楓は残念ながら、怪我のため、試合には出れない。それに、今の白恋と戦ったって・・・。

天馬たちは、名門だとか、でももうフィフスセクターに堕ちたとか、いろいろ言っている。

でも、キャプテンは何か見つけたらしい。

「いや、希望はあるぞ」

微笑みながらキャプテンが見つめる、その先には・・・

「ここに、白恋中のコーチの名前が書いてある。・・・吹雪士郎とな」

―――やっぱり、それを見つけてしまった。

「吹雪って・・・」

「イナズマジャパンの、あの吹雪さんですか!?」

「あぁ。円堂監督や鬼道コーチたちと戦った、親友だ」

―――やっぱり、皆は“イナズマジャパン”だと・・・

サッカーが好き=サッカーは自由なものと考える=その人が所属するチームも味方・・・と考えるらしい。

確かにその考えは、あっていなくもない。否、あっている。でも、今の白恋は・・・

 

 

私の心の中とは裏腹に、皆は自由なサッカーができる、と盛り上がっている。

だから、言えるはずがない。

―――吹雪さんは、白恋から追い出されてしまったって。行方が知れていないって。

 

 

「楓・・・?」

瑠奈が、心配そうにのぞきこんできた。

「あ・・・ごめん、どうしたの?」

「ううん、楓が怖い顔していたの。だから、どうしたのかなって思っただけよ。あ、それじゃあ、私もマネージャーだから・・・楓は・・・」

「動けるから、大丈夫。ほら、早くいっていいよ」

私は、瑠奈の後ろ姿を見つめながら、手に握った白恋のデータを、強く握った。

―――このことは、お兄さんも知っていたはずだ。

 

 

「みーんなー!がんばってくださいねー!」

輝君の元気のいい声が、グラウンドから聞こえた。私は、グラウンドへ行こうと、松葉づえをつきながら歩いていた。すると、少し遠くに人影があった。

近づくと、それが誰なのか、はっきりとわかった。

「ッ!吹雪さn―――」

叫ぼうとして、私は躓いてしまった。杖は宙を舞い、私の体は、前へと倒れていく。

すると吹雪さんは、私の体をお姫様だっこした。しかし、そのすぐ後、倉間先輩の蹴ったボールが、私たちの真正面に。

私は、とっさに目をつぶった。しかし吹雪さんは、軽々とボールを止めた。さすが、元イナズマジャパンなだけはある。

「大丈夫だよ、楓ちゃん」

「・・・ありがとうございます」

 

 

「うん、気持ちのこもった、いいシュートだったね」

私を抱きつつ、ボールを足で押えながら、吹雪さんは言う。私は、降りたいのだが、なかなか下りられない。

「吹雪・・・」

誰かの声がした。

「吹雪じゃないか!」

円堂監督の声だ。吹雪さんは、笑いながら

「久しぶりだね、皆」

といった。

「吹雪って・・・えぇ!?この人が、吹雪士郎さん!?」

天馬、信助、葵が驚きの声を上げる。

「・・・心配していたぞ。白恋中のコーチを外され、行方が分からなくなったと聞いていたからな」

「「えぇ!?」」

一同が、空気を飲む。私は、吹雪さんを見つめた。吹雪さんは、苦笑するだけだった。

「・・・吹雪さん、何があったの・・・?まさか、白恋も・・・?」

かすかな不安を覚えつつ、私は尋ねる。吹雪さんは、苦笑を深め、うなずく。

「白恋中は・・・白恋中は、フィフスセクターの手の中に堕ちた」

やっぱり・・・。皆は、驚きを隠しきれない、といった感じだ。

 

 

私は、吹雪さんに降ろしてもらい、2人でベンチに座る。

吹雪さんは、深刻そうな顔をして、事情を話し始めた。

「フィフスセクターのサッカーは間違っているって、僕たち白恋中も、勝つことでそれを証明しようとしたんだ。だけど、ひそかに白恋中を侵食していて・・・気付いた時には、ほとんどのメンバーは、フィフスセクターに取り込まれていたんだ。そして僕は、聖帝にはむかう反乱分子として、白恋中を追放された。だけど、白恋中にはまだ、フィフスセクターに取り込まれていない選手たちがいる。彼らと、白恋中を何とかして救いたい。お願いだ、雷門中の皆!白恋中を・・・フィフスセクターから解放してほしい・・・!」

頭を下げながら、一生懸命な吹雪さん。その姿は、とても切ないものだった。

「吹雪・・・」

「吹雪・・・さん・・・」

「・・・君たちの力が、必要なんだ。革命の風を起こしている、君たちの力が・・・!」

皆は、一瞬とまどったような顔をして、すぐに決意が固まったらしく、きりっとした顔になった。

「俺たち、やります!必ず勝って、白恋中を解放します!」

「ありがとう、皆・・・」

私は、吹雪さんのコートの裾をつかみ、付け足した。

「雷門は強いですよ?白恋中よりも、ね・・・でも、白恋中には“絶対障壁”があるけど・・・」

最後のほうは、吹雪さんにしか聞こえないようにだけど。

吹雪さんは、うん、と無言のままうなずいた。そして・・・

「だけど・・・」

話を切り出した。

「まだ何かあるのか?」

「・・・今の雷門では、おそらく白恋中に勝つことは難しい。あの絶対障壁を破らない限り・・・」

―――やはり、突破のカギは“絶対障壁”を如何にして攻略するか・・・か。

 

 

 

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