俺が起きたのは、菫の咲く広場だった。
「ここは・・・?」
「気付いたか、てんま・・・」
近くには、キャプテンやほかの人もいた。
「いつのまにか、眠っちまったらしいな・・・」
「ここが合宿所?」
「皆、そろっているな?」
キャプテンが問いかけた時、俺は気づいた。
「あれ、葵たちは・・・?」
続くようにして、信助も言った。
「あ~っ!!鬼道監督や水鳥さんや茜さんや葵ちゃん、瑠奈ちゃん、楓ちゃんに音無先生もいませんよ!!」
皆が戸惑う中、
「おそらく鬼道監督や楓や瑠奈たちは、やつらの手の中だ・・・」
剣城の声が聞こえた。キャプテンが剣城についていくと、目の前に広がっていたのは・・・
「これは・・・」
剣城が、見ていたのは、変なオブジェのようなとてつもなく巨大な建物だった。
「ここは通称“ゴットエデン”・・・“神の楽園”という名を持った地獄だ!」
この言い方からすると・・・
「しっているのか?剣城・・・」
「あぁ・・・シードを生み出すための訓練施設がある、孤島だ・・・」
「孤島だって!?」
皆の声が、広場に響く。
―――剣城の話によると、剣城はここに少ししかいなかったからよくわからないらしいが、ここで行われている特訓は尋常じゃない。シードになた者は、ここに来ることを恐れている、ということだった。
「そんな危険な島で、鬼道監督たちもとらえられていて・・・俺たちは完全に、孤立したということか・・・」
その時だった。
ものすごい音がして、数台の車が止まった。
私―――楓が目を覚ましたのは、フカフカのベットの上だった。このベットは、見覚えがあった。
「・・・私の、部屋・・・」
そう、ここは、私がゴットエデンにいた時に使用していた部屋だ。小4くらいの時にここに連れてこられ、中1で雷門に行くまで、私はここに住んでいた。お母さんには、お兄さんのところへ数年住む、と言っておいたのを覚えている。
「なんで・・わたし・・・」
痛む頭を押さえ、私は起き上った。
フィフスセクターのよくやる手口だ。睡眠ガスなんて、そんな初歩的なこと、なんで忘れてたんだろう・・・。
「とにかく、ここからでないと・・・」
「そうはさせない」
そんな声が聞こえて、はっとドアの方を向く。そこにいたのは、ピンク色のスーツ。忘れもしない、強烈な個性の持ち主。
「牙山・・・久しぶりね」
「前は、教官と呼んでいたのに、ずいぶん偉くなったな?」
―――そこにいたのは元教官の牙山だった。
「アンリミテッドシャイニング・・・白竜のチームね」
「あぁ。今からそこと雷門には、勝負をしてもらう。まぁ、勝負は見えているがな」
牙山にいきなり手を縛られたかと思うと、車に乗せられて、そんな話を聞かされた。
―――勝負は見えている・・・。反論したかったが、今は確かに、白竜たちの方が上だろう。雷門に勝機は、ほとんどない。
「お前には、雷門がボロボロになる姿を、見てもらう・・・」
にやりと薄気味悪い笑い方で、牙山は笑った。私は、きりっと睨みつけた。
「悪趣味ね・・・」
「教育だからな」
そう言い終わると、車は急停車した。そして、牙山は降りた。
ふっと外を見てみると、皆がいた。出ていきたいけれど、後ろには怖そうな人がたくさん待機している。私だけでは、逃げられそうにない。とりあえず今は、タイミングを見よう。
俺―――剣城たちの目の前にやってきたのは、見覚えのある姿だった。個性が強くて、忘れられなかったのだ。牙山だ。
俺の担当ではなかったが、楓や白竜の担当の教官だった。
「鬼道監督や音無先生、他の皆をどこへやった!?」
牙山は、にやりと笑って、言い放つ。
「我々がほしいのは、選手のみだ・・・」
その言葉に、俺は違和感を感じた。ほかのみんなも、同じらしい。―――選手だけなら、楓はなぜ・・・?
元シードだからか?しかし、それなら俺もだ。
女だからか?否、楓が強いことは、フィフスセクターが一番よく知っているはずだ。
「・・・なら、楓はどこだ?」
俺がきくと、牙山は豪快な笑い声をあげた。
「楓か。あいつには、さらなる再教育を施すのだ。さぁ、君たちはシードになるんだ!剣城君、君はもう1度だがな・・・グァッハッハッハ!!」
そういうと、広場の中央が空き、中からサッカーグラウンドが出てきた。そして、そこにいたのは―――。
「彼らは究極の光を放つ者”アンリミテッドシャイニング”・・・君たちにはこれより、彼らと試合をしてもらう!」
相手キャプテンを見た瞬間、過去がプレイバックしてきた。あいつは・・・
「君たちが雷門イレブンか・・・会えてうれしいよ・・・」
「アイツ・・・」
「剣城、知ってるの?」
松風がきく。しかし、そんなことはどうでもいい。こいつは・・・俺の・・・ライバルだ。
「剣城!ここから逃げ出したやつが、のこのこ戻ってきたとはな!!」
俺は悔しくて、言い返す。
「俺は命令に従っただけだ!」
「今のお前と俺では、次元が違う・・・」
そして、アンリミテッドシャイニングとの試合が始まった。
私―――楓が見る限り、アンリミテッドシャイニングと雷門の試合は、悲惨なものだった。
雷門はボロボロにされ、完敗してしまった。
また、白竜と京介の関係も、前みたいにいいものではなくって、悲しくなった。
―――私たちは、前みたいに戻れないのかしら・・・。
「全員ゴットエデンへ運べ!」
牙山の命令に従い、雷門イレブンをゴットエデンに運ぼうとした、その時だった。
ボールがどこからともなく飛んできて、次の瞬間、雷門イレブンは消えていた。
「一体、どこに・・・?」