俺たちは、その子―――シュウたちのチーム、エンシャントダークと戦うことになった。
・・・でも、彼らの動きは、俺たちの動きをすべて読んだような動きで、思うようにはできなかった。
試合も終盤、そんな時だった。―――1匹のヤギが、フィールドに入ってきている。やばい・・・このままじゃ、シュートが・・・!
「そよかぜステップ!!」
俺は、ヤギを抱え、そよかぜステップをした。何とかヤギにシュートは当たらず、とりあえずセーフ。
そのあと、シュウは気が変わったように、俺たちに森の使用を許可した。
―――一体、何があったのだろう・・・?
「やつらの動きは、やっぱり凄いな・・・」
私―――楓の横で、白竜が唸っている。私はそうでもない。もちろん、私がもともとこのチームに所属していたのもある。
「シュウは、キャプテンが板に付いている。いい感じね」
木の上に座って、2人で雷門VSエンシャントダークの試合を見ていた。もちろん、天馬がそよかぜステップで、ヤギを助けた所も。
そういうところ、シュウは心揺さぶられるだろう。―――シュウは、この島の守り神の幽霊だ。この島のことなら、なんだって知っている。
「・・・シュウに任せて、正解だった。さぁ、帰ろっか。離したいこと、まだあるし・・・」
私はそういうと、木の上から飛び降りた。それに続いて、白竜も飛び降りてきた。
ゴットエデンに戻った私たちは、とある会議室へ向かった。―――白竜と2人きりで、話したいことがあったからだ。
「ここに来たのは、聖帝からのご指示。雷門が、反旗をひるがえしているから、聖帝・・・というよりは、千宮路が黙ってないと思うの。・・・雷門のみんなとともに戦っているのは、聖帝からの指示。・・・それは、話したこと、あるよね?聖帝からの指示だから、私はみんなとは違うけれど、一応シード。そのことは、ゴットエデンにいるものなら、皆知っているらしいね。だから、シード長なの。でもそのことは、雷門のみんな―――京介にも秘密。もちろん、お兄さんにも。詳しく言ってるのは、白竜とシュウくらい。・・・ねぇ、ゼロ計画について、教えて」
私の話が一段落して、今度は白竜が話す。
「ゼロ計画は、アンリミテッドシャイニングとエンシャントダークの、選抜戦士の混成チーム。―――究極の光を放つものと、闇をまとうもの、プラスとマイナス、それが合体すれば、究極のチームとなる。そのことを狙って、牙山が行っている計画だ」
私は、そのことに納得する。
「・・・プラスとマイナスが合わされば、ゼロ・・・ってことね」
その時だった。会議室のドアが開いて、ピンク色のスーツの牙山がいた。そして、あり得ないことを言い始めた。
「・・・お前にチャンスをやる。仲間を、助けてやればいい。チャンスは、今夜7時から7時半までの30分だ。助け出せるかは、お前次第だ。―――わが身を犠牲にするなら、他の方法もあるが、それは後日話す」
必要最低限のことだけを言い、牙山は去る。私の瞳に、力が宿ったような気がする。
白竜と向かいあい、私ははっきりといった。
「助けに行くわ」
すると白竜は、予想外の発言をしてきた。
「・・・手伝うよ。剣城は気に入らんが・・・やつの妹に、罪はないだろう」
「瑠奈のこと、知っているのね。でも、確かにそう。・・・手伝ってほしいことは―――」
―――私と白竜の、秘密会議が始まった。
「場所はわかる?あの、一段と警備の厳しい、あのドアよ。あそこの廊下には、沢山の檻があるもの。そこの監視が外れるのが、おそらく7時から半の間」
「その間を狙えば、いいということだな」
白竜の部屋へと向かい、私たちは今夜の計画を練っていた。白竜の部屋は整っていて、白と銀と金色を基調としている。この部屋も、私のモノクロの部屋と変わらない。
「白竜には、廊下の突き当たりで時間を見ていて。きっとこのことは、牙山しか知らないと思うの。だから、休憩が終わる10分前にだって、監視が戻ってくる可能性だって、十分にある」
ゴットエデンの見取り図を見ながら、私は檻のあるところを指差す。それを見て、白竜がうなずく。
「しかし、突き当たりはどうする?」
私は、自信ありげな笑みを浮かべ、指を3本たてた。
「30分?そんなにいらない。3分で十分よ」
白竜は、信じられない、と言わんばかりに目を見開いた。
「ゴットエデンの警備、甘く見ない方がいいぞ?」
「・・・わかってるわ。シード長だし。だから、3分で十分って言ってるの」
月明かりが差し込む中、私は天馬や信助のこと、葵や瑠奈やお兄さんのことを考えながら、白竜と廊下を歩く。
いつものジャージを着た私の横にいる白竜は、白地に金色のライン、胸元にはフィフスセクターのマークの刺しゅうされたジャージを着ている。
「ここで見張ってて。来るのが見えたら“何している!?”って叫んで。そしたら、私もあきらめる」
「・・・わかった。気をつけろよ?助け出せても、楓は解放されないんだからな」
私は苦笑して、うなずいた。
「わかってる。それじゃあ、お願い」
ドアの前に立つと、私は暗証番号を押す。するとロックは、簡単に解けた。しかし、それだけで済む警備じゃない。
私はカード―――シード長の証を出して、上のスキャンするところにスキャンした。さらに、下の指紋認証システムに、自分の指紋をかざす。
すると、いとも簡単にロックは解けた。横で驚く白竜に、舌をペロッと出して、ウィンクをして、親指をぐっと立てた。
中から、息をのむ音が聞こえた。私がドアをひくと、中から葵、瑠奈、お兄さん、春奈さん、茜さん、水鳥さんが出てきた。
「楓!なんで、ここに!?」
「いいから!今は・・・7時5分ね。私がここに残っているから、早く逃げて!そこに白いジャージを着た人がいるけど、そっちじゃない方に逃げてね。大丈夫、彼は味方だから」
そう一気に言い終えると、私は皆を外に出して、私が中に入った。
「ちょ、楓ッ!?」
「大丈夫だから、皆に・・・謝っといて」
私はそういうと、扉を閉めた。
足音が聞こえなくなって、私は外へ出た。もちろん、カギなんかかかってるわけでもない。外に出て、まだもとのようにカギを閉めて、私は白竜のもとへ走る。
「ね?3分で十分でしょ?」
「そうだな・・・さすが、シード長」
私たちは並んで、白竜の部屋へと向かっていた。その時だった。牙山とあってしまった。そして、私だけが呼び出された。
「さすが、シード長だな」
厭味ったらしく言われ、思わずいらっとくる。でも、そこは抑える。
「そうね。・・・で、用は何?」
睨みつけながら言うと、牙山はにやりと笑う。その笑みに、おもわず背筋が氷り、震えあがってしまった。
「雷門VSゼロの際、楓は聖帝の横で、試合を観戦するんだ。途中参戦など、させるわけない」
その言葉に、私は絶句してしまった。