mix color   作:御沢

77 / 97
夢の共演

「葵、今から瑠奈に電話するから、葵は走って皆のところへ行って」

檻からしばらく離れて、葵の肩をつかんだ私は、葵にいう。葵は困惑した表情だ。

「楓は・・・?」

「私は、まだやることがあるから」

そういうと、私はインカムの電源を入れて、瑠奈に電話をかけた。

 

 

prrrrr・・・prrrrr・・・

コール音ののち、瑠奈の声が聞こえた。

『もしもし』

「瑠奈、私よ」

『楓・・・!大丈夫なの!?今どこ!?』

瑠奈に質問攻めにされ、思わず苦笑してしまう。

「大丈夫よ。・・・今から葵が、そっちに行くわ。だからよろしく」

『え・・・あ、檻が開いてる!?』

その瑠奈の言葉に、向こう側がざわめくのがわかる。

「それじゃあ、そういうことだから」

またまた一方的に切り、葵の手を引く。

 

 

「楓・・・楓は、シード長なの?」

不安げな葵の声が、私の耳の奥に響いた。

「・・・えぇ」

しばらくの間の後、私は俯いて答える。

「シードなの?なんで?」

私は、葵のほうを向いて、瞳を見つめて、葵にいう。

「ごめんね。でも、誤解しないでほしいの。私は、雷門の仲間。皆の勝利を心から願っているし、なんだってできる。シード長だって、その1つだと思って」

すると葵は、私の瞳を見つめる。

「信じてる」

「っ!・・・ふっ、あなたらしい。ありがとう。ほら、もう着いたわ。このエレベーターを上にあがると、スタジアムよ。此処でバイバイっ!」

私はそういうと、踵を返し、葵に背を向けて豪炎寺さんの待つ部屋へ、全速力で駆ける。

 

 

「失礼します、試合は・・・っ!?」

豪炎寺さんのいる部屋に入り、巨大なガラスの奥に見えたのは、ボロボロにされた皆の姿だった。点差は2-3となっていて、きっとシュウか白竜が決めたのだと思った。

「どうする、円堂・・・」

豪炎寺さんが、円堂さんにたいして、つぶやくように尋ねる。返答など、絶対に返ってくるはずがない。

「このままでは天馬たちが・・・」

「見てられないっス・・・」

風丸さんたちも、絶句したようだ。そんな中、不動さんだけがベンチに深く腰掛けている。

「お前らわかってねぇな・・・俺たちがじたばたしても始まんねーだろ・・・これは天馬たちの試合だ!」

その通りだ。でも、こんな皆を見て・・・。

「こんなの絶対に許せない!サッカーが・・・サッカーが泣いてるよ!こんなのサッカーじゃないって・・・泣いてるよ!」

天馬の叫び声が、スタジアムに反響している。

しばらくの間が開いて、円堂さん―――円堂監督が出した答え。それは・・・

 

 

「監督として一番大切なこと・・・それは、何があってもチームを守ることなんだ!」

 

 

スタジアム中がどよめく。ベンチだってどよめいているようだったが、不動さんが立ち上がりいう。

「やれやれ・・・これだからサッカーバカは困るぜ・・・つきあうぜ、キャプテン!」

その言葉に、ほかの皆さんも同意する。

―――次の瞬間、皆さんの周りが光る。そして、現れたのは―――・・・

「円堂さん・・・否、あれは・・・“円堂くん”?」

・・・―――中学生時代の、皆さんだった。

「天馬、すまん!お前たちの勝負、いったん俺たちにあずからせてくれ!」

「キャプテン!」

春奈さんの声が、此処まで聞こえた。

「お互い6人の選手交代だ。認めてもらうぞ!」

円堂さんは、天馬の前にしゃがみ込む。

「天馬・・・雷門の力、見せてやろうぜ!」

「・・・はいっ!!」

そして、円堂さんが皆に呼び掛ける。

 

 

「さぁ、みんな!サッカーやろうぜ!!」

 

 

キックオフ早々、ゼロにボールを奪われる。しかし、壁山さんの完全進化した“ザ・ウォール”に阻まれる。

次は、風丸さんの“疾風ダッシュ”。そして、吹雪さんの”エターナルブリザード”。シュートかと思いきや、実はシュートチェイン。

不動さん、風丸さん、お兄さんの“皇帝ペンギン2号”。雷門イレブンは、その息の合った連携に息をのむ。

相手GKの抵抗もむなしく、シュートは決まり、3-3となる。―――さすが、イナズマジャパン。

しかし、ゼロだって負けていない。牙山の必殺技・風林火山デストロイヤーが雷門ゴールに向かう。

その直後、円堂さんが光る。そして・・・

「あれは、マジン・ザ・ハンド!?」

・・・いや、違う。あれは、私も何度か見たことがある。あれは・・・

「ゴットハンドV!!」

―――これが、ゴットハンドの進化系・ゴットハンドVだ。

 

 

そのあとも、攻防戦は続く。

霧野先輩が止めに行く。そこにアドバイスしたのは、同じDFの風丸さん。

ゲームメーカーのキャプテンにアドバイスするのは、同じゲームメーカーとして数々の試合を勝利に導いた、お兄さんだった。

DFの信助にアドバイスするのは、壁山さん。

信助からのパスを受けた天馬は、吹雪さんからアドバイスを受ける。天馬なら、風になれるはずだ。

最後は京介。仲間の大切さをある意味一番理解する不動さんが、京介に“仲間の大切さ”をアドバイス。

キャプテンと京介の連携必殺技・ジョーカーレインズが炸裂。ゴールに突き刺さり、4-3。とうとう追い越したのだ。

ベンチに戻った円堂さんが、天馬たちにいう。

「此処からはお前たちの戦いだ・・・お前たちは俺たちの“魂”を受け継いだ雷門イレブンなんだ!」

すると、豪炎寺さんが電話をかける。そして一言。

「もういい。・・・さがれと言っている」

電話を切りおわり、豪炎寺さんは私を見て、笑みを浮かべた。その笑みに答え、私も笑みを浮かべる。

 

 

再び本来の雷門VSゼロとなる。

白竜の顔は、とても恐ろしかった。何かに取りつかれたようだけど、逆を返せば、それだけサッカーが好きだということだ。

シャイニングドラゴンを出す。しかし、天馬のペガサスアークに倒されてしまう。そして、天馬にボールが渡り・・・

「ジャスティスウイング!」

「新しい化身シュート!」

「完璧に化身を使いこなしてやがる!!」

「天馬ならやると思ったわ!」

新たな化身シュートにより、さらに点差は開き、5-3。

 

 

シュウが何か白竜に声をかける。白竜の顔は、暗くよどんでいるものの、何か恐ろしかった。

―――此処から、次の悪夢が待っている。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。