私の感じた恐怖は、現実のものとなったようだ―――。
シュウと白竜は、何かいいあった後、和解したようで、再び試合に戻った。
「豪炎寺さん・・・シュウは、化身を出しますよ」
その時思ったのは、そんなことだった。豪炎寺さんは、目を見開いて、私のことを見つめた。
「なんだと?」
私は、視線をそらした。
「予想ですけど」
試合は、化身を出して、3VS3の状態。―――その時だった。
「暗黒神ダークエクソダス!!」
私の予想は、当たったみたいだった。シュウの化身は、ものすごいオーラを出しながら、雷門の前に立ちふさがった。
京介がシュウを止めようとするものの、一回も化身を遣っていないシュウの化身は、まだまだ力が有り余っているようだ。
そして、
「魔王の斧!!」
化身シュートで、4-5に追いつかれる。そして、さらにもう1点。つまり、5-5の同点だ。
京介が、皆に言いかける。
「まずいな・・・化身を出せるのは、あと1回くらいか・・・」
「キャプテン・・・」
「しかし、状況はゼロも同じはずだ・・・」
3人はそう思っている。
―――そう思いこんでいる。
雷門に行く前―――
私はゼロ計画を知らなかったけど、白竜が化身ドローイングを成功させたがっているのは、知っていた。
私だって、何度か手伝いをした。そして、ほぼ完成まで持ち込んだ。
私がゴットエデンから去った後、ほぼ間違いなく完成しただろう。だったら、化身は半永久的に持続できるはずだ。
後半も残りわずか。
「白竜!!」
キャプテンが叫ぶ。
「ディフェンス止めろ!もうゼロは、化身を出せないはずだ!!」
白竜が、不気味に笑う。
「フフ・・・はたしてそうかな?」
白竜の背中から出てきたのは、シャイニングドラゴン。ほかの青銅やカイのパワーが、すべて白竜に注がれている。
信頼がないと、自分のパワーを注ぎたい、なんて思わない。それくらい、この技は大変なのだ。
雷門は動揺している。―――あれ、と私は思う。
―――私は一体・・・
―――ライモンノミカタ・・・?
―――ゼロノミカタ・・・?
心がボーっとなった。自分がわからなくなった。
「楓」
現実に呼び戻す、豪炎寺さんの声。
「お前は、唯一無二の存在だ。どちらの見方でもある。辛いだろうが、必ずお前の力になる」
「豪炎寺・・・さん・・・っ」
豪炎寺さんを見て、今度は私が目を見開いてしまった。でも、すぐに笑顔になれた。昔から、お世話になりっぱなしだ。
「わかってますって」
「・・・生意気な」
苦笑いしている豪炎寺さん。私は、小悪魔のような笑みを浮かべた。
再び外を見た瞬間だった。急に目の前がまぶしくなった。
「アー・・・サー・・・っ!」
この光は、間近で見たことがある。聖騎士アーサー発動の時の光だ。シャイニングドラゴンと、ダークエクソダスの合体化身。
雷門は、キャプテンの掛け声で必死に戻る。しかし、もう遅い。
「ソードエクスカリバー!!」
必殺シュートで、再び逆転される。胸がドキドキする。こんな興奮する試合、初めてだ。体中がわくわくを押さえられていない。
天馬の叫び声が、こだまする。
「勝利の女神は、あきらめない奴が好きなんだ!!」
ボロボロの雷門イレブン。まだあきらめない姿はかっこいい。
そのあと、天馬たちが話しあっている。京介とキャプテンは、動揺しているようだったけど、天馬が強く推していて、納得したようだった。
「何する気だろう・・・?」
しばらくして、天馬のペガサス、京介のランスロット、キャプテンのマエストロが出てくる。そして、キャプテンが声を上げる。
「化身よ!!1つになれ!!」
天馬の声が、なぜか耳元で響いた。
「シュウ達が並列つなぎで合体したなら・・・こちらは直列つなぎだ!!」
そして、3人の声がきれいにハモる。
『魔帝グリフォン!!』
びっくりして、息が出来なかった。感動で、言葉が出てこなかった。
―――最初は、あんなにバラバラだった3人が、化身合体できるようになるなんて。グリフォンから、目が離せなかった。
さらに、アーサーとグリフォンとの対決は、さらに目が離せなかった。
円堂さんの声が聞こえた。
「天馬たちのあきらめない心が、一つの大きな力になったんだ!」
その言葉に、怖いほど同意できた。
「シュウ!サッカーは、人の価値を決めるものじゃない!俺たちを元気をくれたり、支えてくれたりする、絶対に楽しいものなんだ!!」
「違う・・・!」
シュウの悲痛な叫び声が聞こえる。
―――どうやらこの声は、なぜか私の耳元にしか聞こえないようだ。なぜかは分からないけど、私には聞こえた。
「だったら取り戻す。シュウ達のサッカーを取り戻す」
そして、3人の声がさらにハモる。
『ソード・オブ・ファイア、イグニッション!!』
皆の声が聞こえた気がする。―――“いっけぇぇっ!!”
「うおおおおお!負けるかーっ!」
「あきらめない!俺たちが、サッカーを取り戻すんだ!」
そして、そのシュートはゼロゴールに突き刺さる。
―――友情の勝利。
6-6の同点。
悔しがる白竜に京介が歩み寄る。そして、見せたのはあのタイムカプセルだった。
「白竜!これを、楓から預かった」
「楓から・・・?」
私たちは、色紙に大きくこう書いたのだった。
―――“ずっと3人で、仲良くサッカーやろうぜ!”
私のミニレターには、こう書いた。
“ずっと一緒に、サッカーやりたいよ”
京介は、動揺する白竜に伝える。
「サッカーは強さを求めるだけのものじゃない!絆や勇気が大切だって、気づくことが出来る・・・それがサッカーの素晴らしさなんだ!」
「くだらん!俺は認めないぞ!」
私はたまらなくなって、聖帝のいる部屋から、白竜の耳についている超小型インカムに対して叫んだ。
「白竜!此処で野特訓は大変だけど、頑張れたのはだれのおかげっ!?私は、京介や白竜やシュウ・・・青銅やカイたちのおかげよっ!貴方と仲間で・・・ライバルだったから、サッカーが好きでいられたの!貴方とのサッカー、楽しかったわ・・・!」
白竜の表情が変わった。そして、白竜は気がついてくれた。―――自分の本当の気持ちに。
そして、此処から試合が再び始まった。
―――最高に楽しい、最高の試合が―――・・・。