mix color   作:御沢

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ホーリーロード全国大会、終盤
生徒会長


ゴットエデンの戦いから数日―――。

やっと、日常に戻ってきた今日この頃。そんな日の放課後―――。

・・・―――私はなぜだか、生徒会室に呼び出されていた。

そりゃあ、キャプテンの拓人さんは副会長だし、三国先輩も副会長だが・・・なぜ私?と思っているのが、本心。

 

 

「失礼します・・・」

恐る恐る扉を開けると、そこにいたのは、4人の人だった。キャプテンと三国先輩もいる。ほかにも、女子1人、男子1人だ。

実をいえば、あまり生徒会メンバーを知らない。そのことは、おそらく皆も同じ。集会が少ないため、あまりかかわる機会もない。

「楓、来たな」

「はい・・・キャプテン、何か私に・・・?」

扉を閉める。生徒会は・・・

 

――――――――――――――――

 

  □ ←会長の椅子(ソファ)

====←机

□ | □

□ | □

□ | □ (□=ソファ、|=机)

 

 

―トビラ―――

 

 

―――――――――――――――――

 

・・・と言った感じだ。

私は、普通のソファ(会長の椅子は、ちょっと豪華)にすわり、目の前に座るキャプテンと向かい合う。

「お話って・・・」

「・・・会長のことだ」

俯いたキャプテンが、誰も座っていない会長の椅子を見る。そこは、ちょっとさみしげだった。

「今日は、会長さんは・・・?」

皆が俯いてしまい、私はおどおどしてしまう。慣れないところは、どうも苦手だ。

 

 

「南沢さんが、月山国光に転校しただろ?」

キャプテンが、前置きもなくつぶやくように告げた。

「え、えぇ・・・会長さんと、南沢先輩、何の関係が・・・?」

すると今度は、女の子が話しかけてくる。おそらく、先輩だと思う。

「はじめまして、山吹さん。私は、3年の西原みかん」

なぜ私の名前を知っているのか、そこは不思議だったが、とりあえずこっちも挨拶だ。

「1年の山吹楓です。楓でいいですよ?それで、私には一体・・・?」

西原先輩は、私の瞳を見据えた。

「麗子ちゃん―――会長は、南沢君の幼馴染だったの。いろいろ過酷な過去があったんだけど、南沢くんに支えられて、今の麗子ちゃんになったの。でも・・・南沢君が転校しちゃって、仕事を放り出すような会長さんじゃなかったのに、麗子ちゃん、ずっと来てなくって・・・もう数週間」

それは、生徒会の抱える悩みだろう。でも・・・

「なんで私なんですか?同級生や、2年生の先輩のほうが、よっぽど・・・」

「楓じゃないと、いけないんだ」

三国先輩が、私の言葉を遮って告げてきた。続くように、キャプテンも告げる。

「楓は、過去にいろいろあったと山吹総帥に聞いた。あと、瑠奈さんにも聞いた。だからだ。俺たちは、幸せなんだ。楓が不幸かどうかは、楓が決めることだ。だから、俺にもわからない。でも、実の母親がいないところは・・・似ているような気がしてな。気を悪くしてしまったら、すまない。ただ、ダメもとでも・・・会長には復活してほしいんだ。会長がいてこその生徒会、いや、雷門なんだ」

私は納得した。成程、確かにそれなら、私のほうがわかるかもしれない。

「わかりました。難しいですけど・・・頑張ってみます」

私はそういうと、生徒会室を出て、とある教室に向かった。

 

 

―――あの後、会長さんの生い立ちについて聞いた。

私よりも、もっと過酷な過去だ。私は、今は恵まれた母親がいるものの、会長さんは今は孤児院で暮らしているそうで。

「そういう話を聞くと、行きたくなるのは1か所―――」

 

 

ガチャ・・・

ドアを開けた瞬間、強風が当たる。―――此処は屋上。

屋上は昼時になると、お弁当を食べる人でにぎわう。サッカー部だって、此処で食べることが多く、学年関係なく集まって、楽しく食べる。

しかし、放課後にもなると、人気はなくなる。部活へ行くか、自宅へ帰るかの2択になる。ちなみに告白は、今の時期だと、桜の咲く校門前や、意外と花がきれいに咲く誇る花壇、サッカー部の旧部室でする人もいるらしい。

―――・・・ということで、屋上は本当に人気はない。しかし、そこには案の定、今日は1人の女子生徒がいた。

長い黒髪は、かろうじてつやが出ているものの、ちょっと乱れ気味。お下げにしているが、分け目がはっきりしていない。でも、横顔だけで、美人だとはわかる。

何度かポスターや集会や、入学式でも見たことのある、その顔が此処にあった。

「如月会長・・・?」

後ろから呼び掛けると、ビクッとしたように振り返った。

 

 

「貴方は・・・?」

「はじめまして、1年C組の山吹楓です。えっと・・・会長さん、なんでここに・・・?」

偶然を装う。会長さんは、俯く。そして、あからさまに悲しそうな顔をする。

「いえ・・・ちょっと、そういう気分でして」

「そう、ですか・・・あの、敬語はいいですよ?私、2年も年下ですし」

そういって、笑ってみるが、会長さんは無言で首を横に振り、笑いもしなかった。

―――もともと笑わない、クールな会長だということは知っていた。しかし、本当にそうだとは・・・。ちょっと、接しにくい。

「会長さんは・・・笑えないんですか?笑いたくなくて、笑わないんですか?それとも―――・・・笑いたいのに、笑えないんですか?」

私のその言葉は、会長さんの胸に届いたのだろう。キッと私を睨みつけるように、振り返った。

「何をおっしゃるんです。私は、笑いたくないのです」

「そうですか?」

思うより先に、言葉が出ていた。これより先は、口から勝手に出てきた言葉だ。

 

 

「会長さん、すっごく悲しい瞳をしているんですね。すごくきれいな紫色なんですけど、なんだか、こう、うまく言えませんけど・・・悲しそうです。私にはわかります。そんな瞳、私も持っていましたから」

すると会長さんは、睨むのをやめ、私に向き直った。

「私、実母を亡くしているんです。飛行機事故でした。父はもともといなくって、孤児院で育てられました。その時の私の瞳と、一緒です。辛くって、何もする気になれないような・・・そんな瞳です」

会長さんは驚き、そしてまた私に背を向けた。

「・・・一緒ですね。貴方に何がわかるのでしょう、と思っていましたけど、よくわかっているんですね。私は、大切な人が、遠くへ行ってしまったんです。今の私があるのは、その人のおかげだと、よくわかっていました。でも、恥かしくてお礼も言えず、突然・・・。今、どこにいるのかもわかりません。・・・私は会長なのに、何をしているんでしょうね」

会長さんは、自嘲気味に笑い、また私のほうを向いた。笑ったものの、口角は上がっていなかった。

しかし次の瞬間、驚くことが起きた。―――会長さんが、笑っていたのだ。悲しい瞳ではなく、優しい瞳を私に向け、笑っていた。

私も答えるように笑った。

「よかったです。会長さんが、戻ってくださって。それじゃあ、失礼します」

私が踵を返し、屋上から去ろうとした時だった。会長さんが叫ぶ声が聞こえた。

「山吹さん!来年の生徒会執行部に、入ってください!神童君とともに、頑張ってほしいです。貴方のおかげで、私は私になれたんです」

驚いた顔になる。しかしすぐに、私は笑って見せた。

「考えておきます」

そして、本当に屋上から去った。

 

 

そのあと、キャプテンからメールがあった。

“会長が戻ってきた”とのメールが―――・・・。

 

 

 

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