超次元ゲイムネプテューヌ 罪深き最終兵器と黒の女神 作:甘さん
序章 chapter 1-2 黒の女神との遭遇
「ここね.....付近で異常事態が起きたのは...」
付近の住民の報告を聞き、私は森の奥へ奥へと進んでいく。
工場地帯の横に広がる豊かな自然の中に私は一人で歩いていた。
早朝、付近の住民数人が森の奥から大きな物音を聞いたと言う報告を聞き
私は女神の仕事として異変の原因を調べに来ていた。
「今のところ異常はなさそうだけど一体何が起きたのかしら」
森の奥地と人里はとても離れているのにも関わらず、森の方向から音が聞こえたとすれば
音は非常に大きく、ただ事ではない事が起きたと間違いないだろう。
「この先には一体何があるのかしら....」
私は周りに神経を尖らせつつ森の奥へと歩み続けた。
______________________________
「随分と明るいな、寝すぎてしまったか.....」
脳のスイッチが入り、起床をしようとしたその時から俺は異変を感じていた。
瞼を開こうと目を擦り、目をゆっくりと開けようとする。
まだ蛍光灯も照らされず、カーテンを開けていないはずの部屋から光が差し込む。
この時点で俺は昨日酒を飲んでソファで寝てしまったとその異変を解決しようとするが、
開かれた視界にはどうにも解決する事の出来ない光景が広がっていた。
自分は部屋にいるはずなのにその光景は別物であり、そしてその光景は見た事はない事は勿論、俺の常識からは外れたものだった。
あまりの事に考えが止まり、ぽかんと口を開けて宙を見続ける事数分間。
俺は自分の置かれている状況をまだ目覚めきっていない自分の脳を目覚めさせつつ分析をしていく事にした。
まず俺のいる場所は高台の上であり、何故か自分の周りにその地形を抉り取ったクレーターの様な物ができている。
正面には身長の高い木でも高台より少し低い、森が目の前にあり、そして最も俺を驚かせた物はその奥にうっすらと見える街であった。
ここからでも見える巨大なアンテナ、黒を基調とした背の高いビルが幾重にも並んでいる。
少なくともここは俺の知る世界ではなかった。
何度目を擦っても自分の視界に見える景色は変わらない、何時までもこの信じられない景色と睨めっこを続ける事も馬鹿らしいので
どうしてこの現状があるのか分析をすべく、昨夜の事を可能な限り思い出す。
あいつに捕まって相手をさせられ店から帰るのが遅くなり、少し考え事をしながら家に帰った。
家には謎のCDが届いてて、俺はそれを放置して酒を飲もうと立ち上がった後......
CDが突然光って...そこからCDが巨大化して吸い込まれて.......ここから先の記憶はない様だ。
その記憶と今の状況を結ぶ理由を考えると。
まず一つとしてヤクをやったせいで幻覚を見ていて、今もその幻覚の中にいる。
そうすると俺は外にいる幻覚を見ているだけで実際は部屋の中にいる事になり
そもそも視覚だけではなく他の感覚としてもここは外である事が明白であり、そもそも俺はヤクをやっていない。
次に自分は夢の中にいるのではないかと考えた。思えば昨日の仕事中やたら現実とはかけ離れた夢であったが、現実に近い感覚の中で夢を見ているし。
これは明晰夢の様な状況ではないかと推測した。
明晰夢とは非常に現実に近い感覚である夢であり、見ている人間は夢が夢であると知覚して見る夢である。
元々夢と言う物は夢の中で夢が夢であると知覚しないし、夢を見て時間が経てばすぐ記憶が薄れるしそもそも見た夢を正確に覚えていない事も多い。
そして見る夢も、良い物とは限らないし悪夢を見てしまう事もある。
しかし明晰夢は自分で夢であると知覚し、はっきりと自分の意思があり、見る夢も自分の願望によって操作をすることもできるそうだ。
昔、高校の時の同級生であった男が、明晰夢を自分の意思で見れる様訓練する事で、夢を操ろうとしていてた。
その訓練方法とは地道な作業ではあるが、簡単なものである。
起きた直後、自分が見た夢を日記の様に毎日思い出せるだけ書き込む事、ただそれだけである。
例えば、小学校のクラスメイトの太郎くんが、たかしくんにカンチョーをする夢を見たとしよう。
しばらくすればその夢は自分の記憶の中で太郎くんがカンチョーをした夢、カンチョーをしてるのを見た夢.....と記憶は薄れていく。
しかし夢の内容を書き込んだノートを見れば、自分が前に見た夢を思い出すことができるのだ。
朝起きて、夢日記をつけ、数日後、前に見た夢を文字で確認する。
この訓練を積むことで、いつしか夢を夢であると知覚出来る様になり現実の感覚で思いのままの夢を見る事ができる、つまりこの明晰夢を自分の意思で見る事ができるのだ。
今の状況が突発的に見れてしまった明晰夢であるのであれば、俺が強く願えば思い通りの事が起こるのではないだろうか。
俺は意を決して自分のぱっと思いついた願望を強く願った。
『昨日飲めなかった酒が飲みたいので今ここに出してくれ』
目を閉じそう強く念じた、何度も念じた、効果が出る様信じて目を開ける。
しかし なにもおこらない と言いたげに目の前の景色が変わる事はなかった。
「明晰夢ではないのか.......」
これが自分が夢が夢であると知覚して見ている夢ならば自分の願望のままに操れるはずだ。
勿論、明晰夢と似たような状況の夢を見ているだけでこれが夢であると言う線は捨てられないが.....。
そうなると俺は先ほどから言及をわざと避け続けている最後の可能性について触れなければならない。
CDが勝手に光ったり、CDが巨大化した事は全て現実の出来事であり、この状況はCDに吸い込まれ異世界に飛ばされたからであると言う可能性。
正直、俺の常識ではCDは勝手に光ったり、巨大化はしない。誰の常識でも同じだとは思う。
説明できない事が多すぎてこれは特殊な夢であると自分で自分を合理化しようとしているだけである。
しかしこの可能性であった場合最悪だ、俺はこの世界の常識、ルールを一切知らない状況にいる。
そしてこの世界には俺を知っている人間はいない、戻る方法が見つからない限りここで生きていかなければいけないが、何も知らない世界で生きていけるのか?
そんな不安に押しつぶされていたその時、ふと後ろから声が聞こえた。
「ちょっと!あなたそこで何をしているの!」
透き通る様な紅色の瞳に綺麗に手入れされた黒髪を二つ分けにした少女が目の前に立っていた。
服は貴族階級を想起させる様なドレスの様な服装だがスカートは短い、動きやすさを重視した結果なのだろうか。
少女は慣れた手つきでレイピアの様な武器を持ち自分に向ける。
これが俺と黒の女神の出会いだった。
続く
パロディ・小ネタ元記載
『田中太郎』
以前コロコロコミックで連載していた漫画「うちゅう人田中太郎」から。
腕が自在に伸びカンチョーが必殺技、最終話は意外と良い話。
『しかしなにもおこらない』
ママー!たいあたりをしてもガスっぽいやつに効果がないよー!
元ネタは言うまでもないと思うので割愛。
一言
明晰夢見ようとして何回か見たことあるけど。
眠り浅いから寝た気がしないし、現実で生きる気力をごっそりもってかれるので
真っ当な生活をしているのならやめたほうが良いですよ(忠告
しかし死後の世界が明晰夢ならば、一番良い死後の理想かもしれませんね。
さて主人公が現状を自覚しノワールと遭遇しました。
chapter1-3をご期待ください、予定では次の次からchapter2-1です。