超次元ゲイムネプテューヌ 罪深き最終兵器と黒の女神 作:甘さん
chapter2-1 黒の姉妹と逃れられぬコンプレックス
この世界に来て、ノワールの助手として働き始め半月の時が過ぎた。
最初は世界の常識の違いや、初めての仕事と言う情報量の多さに頭が付いて行かず苦労する事も多かったが
ノワールのフォローのおかげか半月を過ぎれば効率よく仕事をすることができるようになっていた。
「啓二、この書類の確認をしてくれるかしら?これで今日の書類は最後よ」
「うむ、承った」
俺はB5サイズの紙を全て埋めるような文字の羅列を速読し、直ちに内容を理解した。
そして、印や誤字など書類にミスがない事を確認しノワールに手渡す。
「問題ない」
「そう、今日は少しだけ早いけど業務は終わりね
お疲れ様、私は部屋に戻って休むからあなたも休むと良いわ」
俺はノワールからの業務の終了報告と労いの言葉を聞き、反射的に素早く腕を上に上げ伸びをした。
ノワールは机に置いてあった仕事場の鍵を取り、速足で出口へと駆け出し、早くしないと置いていくわよと俺に告げた。
俺はやれやれせっかちなお嬢さんだと小言を口にして、ゆっくりと立ち上がりノワールの元へ向かった。
「もう俺が来てから半月が経つな」
「そうね、あっと言う間だったわね」
確かにこの世界に来て5日としない内は大変だったが。
今にしてみれば、楽かもしれない。
仕事は17時まで、残業はなし、休みも貰える、仕事内容はデスクワークと国のパトロール。
パトロールの場合は特に異常がなければ15時くらいに終わってしまう事もある。
向こうの世界の社畜共が聞いたら、血の涙を流すくらいホワイトな仕事だ。
勿論、俺が助手であるから特別扱いされている訳でもなく、他のラステイションの職員の仕事も17時までである。
これは俺の見ている限り、ノワールの効率重視な手法や、仕事の手際の良さから成り立っていると考えている。
勿論、俺の住んでいる世界、特に日本とは仕事のシステムも違うので何とも言えないが.......。
しかしゲイムギョウ界にとって残業とは考えられない物なのだろうか。
「このラステイションの仕事は手際が良いな、無駄がなく効率的だ、だからこそ緊急事態でなければ残業とは無縁だろう。
ひょっとして、他の国も同じ様な状況なのか」
「ルウィーはどうかは知らないけど、リーンボックスならベールは職員や教祖に仕事を任せっきりにするし
プラネテューヌなんてネプテューヌが全く仕事をしないから職員は大変よ.....」
国によって状況は違うし、女神によっては仕事をしない女神もいるのか......
「そう言う意味ではあなたはとてもラッキーだったと言えるわね
このラステイションで私に拾われたんだから、シェア獲得率もNO.1って所がここの業績の結果を表しているし
まぁ私が一番なのは当然の結果よね!
ネプテューヌなんかに拾われたらあなた毎日大変だったと思うわよ」
ノワールは突然胸を張り声を高らかにして俺に自慢話を始めた。
確かにノワールは仕事もこなせるし、戦闘能力も高いし一見、隙がない様に見えるが。
最後の詰めや肝心な所で抜けている所があり、特にこう言った調子の良い事を言っている時にはミスをしやすい。
そう言った所もこれから助手として支えてやれると良いなと思い、俺はそうかと頷き自慢話で生き生きしているノワールを見守った。
「それじゃあ私は部屋はこっちだから戻るわね、啓二もゆっくり休むと良いわ」
「お言葉に甘えよう」
ノワールの部屋と俺がここで借りている部屋の道との分岐点に差し掛かったので、
ここで別れる事にした、俺は別れの挨拶をして部屋に戻ろうとすると。
「その......今日仕事が何時もより速く終わったのは啓二の手際が良かったから........」
「うん?何か言ったか」
「な!なんでもないわよっ!あなたは早く部屋に戻りなさい!」
俺はそうかと呟き、そのまま部屋へと戻った。
珍しくノワールが口ごもり恥ずかしながら発した言葉が何だったのか
去ろうとする足が重く感じられ振り返りたくなったが、答えてもらえる様子もなさそうなのでその場を後にした。
部屋に戻っても特にやる事を思いつかなかったので俺はしばしの休憩をした後、ラステイションの大広間へと向かった。
「あっ!啓二さん、お疲れ様です」
大広間に入るとそこには、姉と同じ紅色の瞳と綺麗な黒い髪を持ち、少し幼い印象はあるものの姉と同じ様にしっかりした印象を与えてくれる、
ノワールの妹であるユニが先にジュースを飲みながらくつろいでいた。
「ユニか、前も言ったんだが女神候補生の君がただの女神の助手でしかない俺に敬語は如何な物だろうか?」
「何というか啓二さんは見たところ年も体も大人ですし、どうしてもタメ口で話すのは躊躇われるので.....」
「ふむ....まぁユニがそう言うならこれ以上は何も言わない、隣に失礼するが良いか?」
「構いませんよ」
俺はくつろぐユニの隣に腰を降ろし、この時間にアルコールを入れるのは早いと思い、茶を啜りながらくつろいだ。
最初は突然助手として紹介された俺に対し、不信感や困惑があった様だが一緒に過ごす内に少しだけではあるが打ち解けている状況だった。
「お姉ちゃんの助手の仕事には慣れましたか?」
「まぁ、まずまずといった所だ、君のお姉さんに認めてもらえてるかは分かりかねるが」
俺のその言葉にユニは意外そうな表情を浮かべて、こう言った。
「そうなんですか、お姉ちゃん私と話した時は良い助手を雇ったわって嬉しそうな顔をしていましたけど」
「うん?そうなのか一度もそんな事は言われてないが、それよりもノワールの手腕のおかげによるものも大きいだろう」
「そうそう、お姉ちゃんは容姿も綺麗だし、仕事もできるし、強いし、隙がありませんよね
私も今は一生懸命お姉ちゃんの背中に追いつこうとはしているけど.....」
ノワールの事を褒められて嬉しそうな顔をするユニの表情と、自分と姉を比べて少し悲しげな表情を浮かべるユニに
俺はこの姉妹の関係性を改めて確認した。
完璧に見える姉と劣等感を抱く妹、姉は妹を思って完璧であり続ける事を考え、妹は姉を尊敬する一方で劣等感を覚えてしまう。
お互いがお互いを思っているにも関わらず、どこかに距離を作ってしまっている状況だ。
姉であるノワールが妹への接し方を考え直すか、或いは完璧に見えるけど何処か抜けている事に妹であるユニが気づけば状況は変わっていくのだろうか。
見てて少しだけ歯がゆい気持ちになる姉妹を何時元の世界に帰れるかも分からないし見守れるだけ見守ってみたいと考えていた。
「銃のメンテナンスをするので、そろそろ自室に戻りますね」
「うむ、ではまたな」
ユニはジュースのコップと菓子のゴミを片付けるとそのまま部屋へと帰って行った。
一人になってしまったのでそのまま広間でテレビでも付けて見る事にした。
俺は重い腰を上げリモコンに手を伸ばし、電源を入れた。
「プラネテューヌにて大型の同人誌即売会が開かれています_____現場のデンゲキコさん」
「どーもーデンゲキコです!イベントは大盛り上がりで沢山の人で賑わっています!」
黄色い髪に赤いリボンをした元気そうな女性のレポーターが現地の中継をしていた。
同人誌即売会と言うと、向こうの世界のコミケと呼ばれる行事と似たようなものだろうか。
その辺に関しては詳しくないし、何より俺はあまり人の集まる場所は好きではないのでそっとリモコンのチャンネルを変えた。
「コノ.....アー!!ゲイムギョウ界を!ウッ...ガエダイッ!!!」
先日、年間で195回政務活動費を利用してリーンボックスのSM倶楽部に訪れていた能村議員の会見映像だ。
号泣して責任転換をする様は哀れその物なのでそのままチャンネルを変えた。
「ルウィー国際展示場では現在、あの有名なゲッホのからまわりが展示されており
その他にも様々な名画が展示されており......」
ルウィー国際展示場の展示会か...........。
ノワールと一緒に各国の最低限の勉強をしたが、ルウィーは雪国で1年中雪が積もっており、雰囲気も情緒のあって良い国であると感じた。
展示会にも興味はあるし、ノワールから許可が出れば一度、定期船でルウィーに渡っても良いかもしれないな。
そう思いながら俺はこのチャンネルをそのままにして鑑賞を続けた。
「啓二、テレビを見てこの世界の勉強をしてるの?」
俺がテレビを見ている途中にノワールが広間へと顔を出した。
「それもあるが、暇つぶしの一種だ、自分の部屋にずっといてもやる事もないしな」
ノワールはそうと一言呟き、少し離れた場所の黒いソファに座り何やらラステイション製の携帯ゲーム機を取り出して遊び始めた。
俺は何をしているのか気になり、しばらくしたら立ち上がりノワールの隣に座った。
「モンスターイーターか」
モンスターイーターはラステイション制のゲームだが、大型ハードでのセーブデータと小型ハードでのセーブデータの共有は勿論、
スマートフォン、タブレット等でもプレイできる上、セーブデータを共有する事が可能で、俺も暇つぶしにプレイをしている。
「俺が見たことないショート剣で知らないモンスターと戦っている所を見ると、随分進んでいるようだな」
「当然でしょ、私もこのゲームはあなたが来る前からやっているし、あっ!ダウンしたわね!一気に攻め落とすわよ!」
しかしこのゲームはどちらかと言えばパーティー向けなのだが、何故かノワールは誰かと協力せず一人でやっていた。
ゲーマーは縛りプレイと称して、ドMな条件を自分に突き付けてプレイすると聞くのでその一環なのだろうか。
そんなことを考えているとノワールは一勝負終わったらしく、勝ち誇った顔でこれが私の実力ね!と胸を張っていた。
素材で良い物が来たのだろうか勝った後もノワールは嬉しそうに画面を見つめていた。
クエストから帰ってきた画面を見ると俺はちょっとした異変に気付いた。
「ノワール、初心者クエスト未達成と出ているが何か達成してないのか?」
その言葉にノワールは少しだけ青い顔になりそ、そんなのあなたに関係ないでしょと言い明らかに動揺したので
俺は興味本位で初心者クエストの部分をタッチして未達成の項目を表示させると
「何、友だちを一人作りましょう、だけなのか........」
「のわああああああああ!なんで勝手に見るのよ!!」
薄々感づいてはいたのだが、どうやらこの娘、友だちがいない又は、とても少ないに違いないな。
友だちがいない又は、少ないと言われるタイプには2種類あると言うある人の話を思い出した。
一つ目は、本当は構ってほしかったり友だちが欲しいと思っているタイプ。
二つ目は、孤独慣れか、そもそも性格の問題で特に一人でいる事が苦にならないタイプ。
ちなみに二つ目のタイプの場合でも面白い事に孤独死をする場合があるらしい。
ノワールは恐らく俺が見てる限り、前者な気がするので
ここでお前友だちいないのかって質問をするのは明らかに心を抉りにいってしまうと思うので
俺はノワールが恥ずかしさで死にそうな顔をしているのにどの様なフォローを入れようか迷っていると。
「な....なによぅ、じゃあ啓二もこのゲームやってるんでしょあなたはこれクリアしたの?」
「始めて初日に一通りやって終わらせたし、友だち申請も知らないレベルの同じくらいの奴に適当にした」
その言葉に少し落ち込んだ様子を見せ、こう返した。
「私だってしたわよ!1回だけど.....、でも友だちになってほしいと思って申請で何行も送ったのに無視されちゃって......」
なるほど、基本的にこういうゲームの友達申請なんて1行くらいの挨拶で十分であるし
それに何行も送った結果、面倒くさい奴と思われたのか申請を拒否られたのだろう。
典型的な1つ目のタイプだろう、友情を重く考えすぎて、相手がビビッて一歩距離を取られてしまう事も原因だろう。
恐らく、友だちができない又、友だちが少ないのはこの娘のコンプレックスでもあると思うし
それを掘り出してしまったからには責任を取らなければならないな。
そう思った俺は小型ハードを置いて落ち込んでいるノワールの横からちょっと借りるぞと言い、ハードに手を出し素早く友だち申請のページを開いた。
「ちょっ!啓二何してるの!」
俺は素早く申請を終わらせノワールにハードを返した。
「俺に申請しといた、友だちがいないなら俺が初めての友だちになるぞ」
ノワールはその言葉に少し呆然としながら俺を見つめた後、俺に対してこう捲し立てた。
「な...何よそれ!そんな事しても嬉しくなんかないんだからね!
と言うか勝手に人のゲーム触るとか非常識にも程があるわよ!次触ったら殴るわよ!
それに.....私はまだあなたの事完全に信用したわけじゃないんだから!」
怒られて罵倒されているのだが、ノワールは怒りながらも何処か親しみが湧く様子で俺に対してこう叫んだ。
そう思うと彼女の頬が熟した林檎の如く赤くなっているのは怒っているせいなのだろうか。
俺はそんなノワールの姿を見て微かな微笑みを浮かべ、ノワールの説教を聞き続けた。
「まぁでもあなたがどうしてもって言うなら友だちになってあげても良いけど....
別に私が嬉しいとかじゃないんだからね、初心者クエストをクリアするために仕方なくあなたと友だちになってあげるんだから
と言うかさっきから何でニヤニヤしてるのよ~~~!あなたはぁ!」
それから俺に対してのノワールの態度は変わり、俺に対して今の様に怒り出したり、笑ったり色々な表情を見せるようになった。
親しくなれたのかは分からない。けれども、少なくとも口では信用してないと言っているが少しは彼女の信頼を得る事ができた気がする。
俺はノワールがあのゲームをやっていた時、そっと彼女の様子を伺ったが
友だちの数が0から1になっているのを見て少しだけ彼女が微笑んでいた気がしたからだ。
続く
パロディ・小ネタまとめ
能村議員
もはや何も言うまい。
ちなみにSM倶楽部に資金提供してたのは別の人ですからね(笑
ゲッホのからまわり
ゴッホのひまわり。
モンスターイーター
有名な狩りゲーを2つ足してみましょう。
人生を強くてニューゲームしたいです。
今回は話に情報量を盛り込む必要があったので長いです。
おかげで書くのに時間が掛かりました。
そう言えば、久しぶりに自分の10年前の小説が何故かとある掲示板に残ってて読んだのですが
当時はまだ台本小説で描写も少なく、量も1話1話かなり短かったのですが
10年も前になると黒歴史と言うより清々しい気持ちで見れましたね。
台本小説は9年くらい前に、やめる事で描写する事も増えてより小説らしくなるし
キャラの名前をいちいち書かないと誰が喋っているのか表現する事が出来ない駄目な創作者としての刻印を押されると聞いて止めましたね。
他の掲示板に行った時、そう言う人を多く見かけたので、仲の良くなった人には、受け売りで言ったりもしてましたが。
今思うと当時でも未熟な自分が出過ぎた真似をしたかと反省していますが。
まぁ気にしない人もいるけど、この形式の時点で忌み嫌ったり読むのを辞める人もいるってことをもしも台本小説書いてる人がいたら覚えておいても損はないと思います。
それを承知の上で書いているなら、批判も無粋ですし、台本小説であることを事前に書いているならそれはある意味別の創作の形なんだろうなと以前よりも視野も広くなってそう思うようになりましたね。
色々脇道に逸れましたが自分の小説を5年くらい残しておくとただの黒歴史ですが、10年経てば色々懐かしめるとおもうので残しておくのも良いのではないでしょうか。
まぁ今となっても下手な私にとっての意見なので、私だけが思う事なのかもしれませんが。
ではchapter2-2をご期待ください。