第11章 桜の下の告白
日曜日の朝。
あなたは普段より一時間早く目を覚ました。
あなた
「……寝れなかった」
原因は明白だった。
"今日、彼女に告白する"
そう決めていた。
待ち合わせ場所の駅前。
満開の桜が見える公園の入口。
あなた
「まだかな」
少し緊張する。すると、
エイシンフラッシュ
「お待たせしてすみません」
あなた
「!」
振り向いて、言葉を失う。
そこには髪を風で揺らし、春らしい淡い色の私服に身を包み、柔らかな笑顔を浮かべる彼女の姿があった。
あなた
「……」
エイシンフラッシュ
「どうかしました?」
あなた
「綺麗だな」
反射的に答える。
エイシンフラッシュ
「っ」
今度は彼女が固まる。
最近何度か言われた。
だが、今日は破壊力が違った。
エイシンフラッシュ
「ありがとうございます……」
彼女の声は少し小さい。
あなた
「?」
エイシンフラッシュ
「何でもありません」
公園の桜並木。
辺り一面見渡す限りの桜で、風が吹くたびに花びらが舞う。
あなた
「すごい」
エイシンフラッシュ
「これは見事ですね」
2人して感動の言葉を発する
あなた
「満開だな」
エイシンフラッシュ
「予測通りです」
あなた
「やっぱりそこか」
二人で笑う。
昔の彼女ならこうして笑わなかったし、あなたもこうして誰かと笑い合うことを想像もしていなかった。
二人ともお互いの影響で変わったのだった。
昼。
持ってきたレジャーシートを敷き、その上で彼女が作った弁当を広げる。
桜吹雪の中、穏やかな時間が流れる。
あなた
「なあ」
エイシンフラッシュ
「はい」
あなた
「初めて会った時覚えてる?」
エイシンフラッシュ
「もちろん覚えています」
彼女は即答した。
あなた
「早いな」
エイシンフラッシュ
「とても印象的でしたので」
あなた
「どの辺が?」
彼女は少し考える。そして、
エイシンフラッシュ
「初対面なのに距離感がおかしかったところです」
あなた
「ひどい」
エイシンフラッシュ
「事実です」
あなた
「否定できない」
また2人で笑い合う。
エイシンフラッシュ
「ですが」
あなた
「?」
エイシンフラッシュ
「そのおかげで助かりました」
あなた
「え?」
エイシンフラッシュ
「その頃の私は効率ばかりを重視していました」
突然風が吹き、花びらが舞う。
エイシンフラッシュ
「休むことも、寄り道することも、無駄だと思っていました」
そう言って、風で乱れた髪を直してから、膝を立ててあなたの髪についた桜の花びらを優しく払う。
あなた
「……」
エイシンフラッシュ
「ですが」
エイシンフラッシュ
「今は違います」
あなた
「そうか」
エイシンフラッシュ
「はい」
そう言って真っ直ぐにあなたを見る。
エイシンフラッシュ
「あなたが変えてくれました」
彼女の柔らかい笑顔と言葉にあなたの胸が痛いほど高鳴る。
夕方、周りの人が少なくなる。
⸻
桜並木に風が吹き、花びらが舞う様子は、まるで映画ワンシーンのようだった。
あなた
「フラッシュ」
エイシンフラッシュ
「はい」
あなたの声が真剣なことに彼女は気付く。
あなた
「聞いてほしいことがある」
エイシンフラッシュ
「……はい」
お互いの鼓動が速くなる。
彼女は何を言われるのか薄々分かっていた。
あなた
「俺さ」
深呼吸。
あなた
「最初は君のことを面白い人だと思っていたんだ」
エイシンフラッシュ
「面白い人ですか」
突然、あなたから自分の第一印象について聞かされて、少し驚いてしまう。
あなた
「うん」
エイシンフラッシュ
「否定はできません」
あなた
「そこは認めるのか」
お互いが笑い合い、空気が少し和らぐ。
だが、すぐにあなたは真面目な顔になる
あなた
「でも、気付いたら会うのが楽しみになっていた」
エイシンフラッシュ
「……」
あなた
「君に会えないと寂しくて」
あなた
「君が笑ってると嬉しくて」
あなた
「君が自分以外の誰かと仲良くしてると落ち着かなくなって」
彼女の瞳が揺れる。
あなた
「だから分かった」
夕日が差し込み、突風により桜が盛大に舞う
あなた
「俺、フラッシュのことが大好きだ」
彼女の時間が止まった。
だが、相変わらず風が吹き、花びらが舞う。
エイシンフラッシュ
「……」
彼女は一瞬頭が真っ白になり、何も言えなくなる。
しかし、すぐに彼女の内から様々な感情が溢れ出てくる
嬉しい。信じられない。幸せ。
そして、その瞬間人生で初めて彼女は計算も分析も忘れた。
気付けば目元が少し熱かった。
あなた
「フラッシュ?」
エイシンフラッシュ
「……ずるいです」
あなた
「え?」
エイシンフラッシュ
「私も」
声が震える。
エイシンフラッシュ
「全く同じことを考えていました」
あなた
「本当!?」
エイシンフラッシュ
「会いたくて、話したくて、隣にいたくて、一緒に笑っていたくて」
そう言って少し涙ぐみながら小さく笑う。
エイシンフラッシュ
「つまり一言でまとめると、」
あなた
「うん」
エイシンフラッシュ
「私もあなたのことが大好きです」
あなた
「……」
エイシンフラッシュ
「あなたに出会ってからずっとモヤモヤしていた感情を綺麗にまとめられて、非常にスッキリしました」
あなた
「結局、最後まで分析するんだな」
あなたは照れを誤魔化すためにそう返したが、耳まで真っ赤であることは一目瞭然だ。
エイシンフラッシュ
「癖ですので」
彼女も同じように耳まで真っ赤にしながら返事をする。
その後二人とも声を出して笑った。
そうして、桜吹雪の中、ようやく長かった友人関係が終わる。
あなた
「これからよろしくな」
エイシンフラッシュ
「はい」
彼女は少しだけ照れながら、でも確かな笑顔で。
エイシンフラッシュ
「こちらこそ恋人として、これからもよろしくお願いします」
舞い散る桜の下で出会った二人の物語はここで終わるのではなく、ようやく始まったのだった。