フラッシュさんとの恋愛日記   作:ココアポタージュ

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大好きな恋人との初めての〇〇 ②

第2章 初めての嫉妬

 

付き合い始めて一か月。

 

二人の関係は順調だった。

 

昼休みは一緒。放課後も一緒。休日も一緒。

 

周囲から見てもふたりは、完全に恋人同士だった。

 

ただ、二人とも知らなかった。

 

恋人になると新しい感情が生まれることを。

 

ある日の昼休み。

 

あなたは教室で友人達と話していた。

 

その中に一人の女子生徒がいた。

 

明るく、人懐っこく、誰とでも仲良くなるタイプの子だ。

 

女子生徒

「それでさー!」

 

あなた

「ははは」

 

女子生徒

「ほんと面白いよね」

 

楽しそうな会話。ごく普通の光景。

 

しかし、廊下の向こうでフラッシュがそれを見ていた。

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

特に問題はない友人との会話で、健全な交流に見える。

 

異常はない。そう判断できる。

 

できるのだが、なぜか少しだけ胸がざわついた。

 

 

昼休みの中庭にて、

 

あなた

「ごめんごめん、少し遅れた」

 

エイシンフラッシュ

「問題ありません」

 

フラッシュの声が少し固い。

 

あなた

「何かあった?」

 

エイシンフラッシュ

「特に何も」

 

あなた

「そう?」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

どう見ても彼女の様子は、何かあったようにしか見えない。

 

 

その日の帰り道

 

あなた

「なあ」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「やっぱり今日変じゃない?」

 

エイシンフラッシュ

「変ではありません」

 

あなた

「いや変だよ」

 

エイシンフラッシュ

「そうでしょうか」

 

あなた

「昼からずっと」

 

彼女は少し黙る。

 

エイシンフラッシュ

「……一つ質問があります」

 

あなた

「うん」

 

エイシンフラッシュ

「昼休みに話していた方は」

 

あなた

「ああ、あの子はクラスメイトだよ」

 

エイシンフラッシュ

「そうですか」

 

あなた

「うん」

 

エイシンフラッシュ

「仲が良いのですね」

 

あなた

「普通かな」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

そこで、あなたはようやく気付く。

 

あなた

「もしかして、嫉妬してる?」

 

フラッシュの動きが完全に停止する。

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

あなた

「フラッシュ?」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

フラッシュの耳が見るからに赤い。

 

あなた

「図星か」

 

エイシンフラッシュ

「違います」

 

フラッシュは即答する。

 

あなた

「本当に?」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

数秒の沈黙後

 

エイシンフラッシュ

「半分ほど」

 

あなた

「認めた」

 

 

しばらく夕焼けの静かな帰り道を2人で並んで歩く。

 

エイシンフラッシュ

「自分でも驚いています」

 

あなた

「何が?」

 

エイシンフラッシュ

「合理性がありません」

 

あなた

「嫉妬に?」

 

頷く。

 

エイシンフラッシュ

「あなたが誰と話そうと自由です」

 

あなた

「うん」

 

エイシンフラッシュ

「問題もありません」

 

あなた

「うん」

 

エイシンフラッシュ

「ですが」

 

少し俯く。

 

エイシンフラッシュ

「楽しそうにしているのを見ると」

 

フラッシュはここで一度言葉を止め、そして意を決したように続ける。

 

エイシンフラッシュ

「少しだけ私もそこにいたかったと思いました」

 

あなた

「……」

 

彼女のその言葉は、思った以上に嬉しかった。

 

あなた

「フラッシュ」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「安心しろ」

 

エイシンフラッシュ

「?」

 

あなた

「俺が一番一緒にいたいのはフラッシュだから」

 

今度は彼女が完全停止した。

 

十秒経過。

 

あなた

「フラッシュ?」

 

エイシンフラッシュ

「処理中です」

 

あなた

「パソコンみたいだな」

 

エイシンフラッシュ

「予想外の発言でした」

 

あなた

「そうか?」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「好きなんだから当然だろ」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

再度彼女の動きが停止する。

 

あなた

「大丈夫か?」

 

エイシンフラッシュ

「大丈夫ではありません」

 

あなた

「正直だな」

 

エイシンフラッシュ

「あなたが原因です」

 

あなた

「ごめん」

 

エイシンフラッシュ

「許します」

 

二人で笑う。

 

 

その数日後。

 

今度はあなたが中庭へ向かう途中、遠くでフラッシュが男子生徒数人に囲まれて話している。

 

男子生徒A

「すごいな」

 

男子生徒B

「教えてくれて助かった」

 

エイシンフラッシュ

「いえ」

 

楽しそうに見えた。

 

あなた

「……」

 

あなたは立ち止まり、心のモヤモヤに気づく。

 

(なんかか少しだけ面白くない。)

 

 

放課後の帰り道。

 

エイシンフラッシュ

「今日は静かですね」

 

あなた

「そう?」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

彼女は少し考えてからふっと笑った。

 

エイシンフラッシュ

「なるほど」

 

あなた

「?」

 

エイシンフラッシュ

「今度はあなたの番ですか」

 

あなた

「何が」

 

エイシンフラッシュ

「嫉妬です」

 

あなた

「……」

 

図星だった。

 

エイシンフラッシュ

「ふふ」

 

あなた

「笑うなよ」

 

エイシンフラッシュ

「先日の私と同じですね」

 

あなた

「そうかも」

 

エイシンフラッシュ

「安心してください」

 

あなた

「?」

 

彼女は少しだけ近付き、耳元で小さな声で言った。

 

エイシンフラッシュ

「私が一番一緒にいたいのも、あなたです」

 

あなた

「……」

 

今度はあなたが停止した。

 

エイシンフラッシュ

「お返しです」

 

フラッシュはいじわるそうな笑みを浮かべている。

 

あなた

「ずるいな」

 

エイシンフラッシュ

「学習しましたので」

 

夕日に照らされながら、二人は並んで歩く。

 

恋人になって初めて知った。"嫉妬"という感情。

 

少し苦しくて少し恥ずかしくて。

 

でも相手が大切だからこそ生まれるもの。

 

そんなことを二人は少しずつ学んでいく。

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