フラッシュさんとの恋愛日記   作:ココアポタージュ

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大好きな恋人との初めての〇〇 ③

第3章 初めての名前呼び

 

付き合い始めて二か月。

 

2人はある問題に直面していた。

 

あなた

「なあ」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「俺たちさ、付き合ってるよね?」

 

エイシンフラッシュ

「付き合っています」

 

あなた

「だよな」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「なのに未だに名字で呼んでるの変じゃない?」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

確かにそうだった。

 

あなたはずっと「フラッシュ」

 

彼女はずっと「あなた」あるいは名字。

 

2人とも恋人なのに互いのことを名前呼びしていない。

 

エイシンフラッシュ

「合理性はあります」

 

あなた

「あるの?」

 

エイシンフラッシュ

「呼称は個人識別が可能であれば問題ありません」

 

あなた

「理論上はな」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「でも恋人だぞ?」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

フラッシュのその理論は弱かった。

 

あなた

「とりあえず試してみるか」

 

エイシンフラッシュ

「何をですか」

 

あなた

「名前呼び」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

完全停止。

 

あなた

「そんなに?」

 

エイシンフラッシュ

「難易度が高いです」

 

あなた

「受験か」

 

エイシンフラッシュ

「それ以上です」

 

あなた

「大袈裟だな」

 

エイシンフラッシュ

「事実です」

 

 

週末のカフェにて、2人はコーヒーとケーキのセットを注文する。

 

あなた

「今日こそ挑戦してみよう」

 

エイシンフラッシュ

「本当に必要なのでしょうか」

 

あなた

「必要です」

 

エイシンフラッシュ

「根拠は」

 

あなた

「恋人っぽいから」

 

エイシンフラッシュ

「曖昧です」

 

あなた

「恋愛はだいたい曖昧なんだよ」

 

エイシンフラッシュ

「なるほど」

 

納得していない顔だった。

 

あなた

「じゃあ俺から」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「……」

 

意外と緊張する。

 

もう付き合っているというのに。

 

それでも。

 

あなた

「フラッシュ」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

一呼吸してから覚悟を決める。

 

あなた

「エイシン」

 

エイシンフラッシュ

「!!」

 

フラッシュの反応は凄く、思わずコーヒーを吹きそうになる。

 

あなた

「そんなに!?」

 

エイシンフラッシュ

「予想していませんでした」

 

彼女は耳まで真っ赤にして照れている。

 

あなた

「可愛いな」

 

エイシンフラッシュ

「その発言は禁止です」

 

あなた

「なんで」

 

エイシンフラッシュ

「処理能力が低下します」

 

しばらくして、今度は彼女の番だと促す。

 

あなた

「さあ、どうぞ」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

あなた

「頑張れ」

 

エイシンフラッシュ

「応援されると余計難しくなります」

 

あなた

「ごめん」

 

数分後。

 

彼女はコーヒーカップを置いて深呼吸をしてから、

 

エイシンフラッシュ

「……〇〇さん」

 

あなた

「いつも通り」

 

エイシンフラッシュ

「やり直します」

 

彼女はこんな時でも真面目だった。

 

あなた

「うん」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

珍しく彼女の視線が泳ぐ。

 

しばらくしてかや小さな声で、

 

エイシンフラッシュ

「……〇〇」

 

あなた

「!」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

あなた

「もう一回」

 

エイシンフラッシュ

「お断りします」

 

即答だった。

 

 

夕方の帰り道、いつものように2人並んで帰っていると、

 

あなた

「嬉しかったな」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

あなた

「名前呼び」

 

エイシンフラッシュ

「忘れてください」

 

あなた

「無理」

 

エイシンフラッシュ

「何故ですか」

 

あなた

「好きな人に名前呼ばれるのって特別だから」

 

彼女は静かになり、少しだけ微笑む。

 

エイシンフラッシュ

「そうですか」

 

あなた

「うん」

 

エイシンフラッシュ

「……では」

 

あなた

「?」

 

エイシンフラッシュ

「今後は努力します」

 

あなた

「本当?」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

数秒後。

 

エイシンフラッシュ

「〇〇」

 

あなた

「!」

 

今度は自然だった。

 

柔らかく、そして優しかった。

 

エイシンフラッシュ

「どうしましたか?」

 

あなた

「いや、なんか幸せだなって」

 

彼女も少し笑う。

 

エイシンフラッシュ

「同感です」

 

そして手を繋ぎながら、2人は夕焼けの道を歩いていく。

 

恋人になってから、少しずつ二人だけの距離ができていく。

 

呼び方も時間も、かけがえのないものになっていくのだった。

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