第4章 初めての看病(恋人編)
付き合い始めてから三か月目のある雨の日。
あなたは朝から体調が悪かった。
あなた
「……どうしようか」
熱っぽいし、喉も痛いので少し悩んだが、いつもの癖で
あなた
「まあ大丈夫か」
と無理をしようとしてしまう。
昼過ぎ。
あなたはエイシンフラッシュにメッセージを送る。
『今日は会えないかも知らないけど、自分は大丈夫だから心配しないで』
エイシンフラッシュ
「……」
一時間後。
あなたの家のインターホンが鳴る。
あなた
「ん……」
ふらふらしながら玄関へ向かい、ドアを開ける。
そこには、紙袋を持った彼女が立っていた。
エイシンフラッシュ
「失礼します」
あなた
「えっ、どうして来たの?」
エイシンフラッシュ
「恋人ですので」
即答だった。
そして部屋に入ると、彼女は一瞬で状況を把握した。
エイシンフラッシュ
「顔色が悪いですね」
あなた
「そう?」
エイシンフラッシュ
「そうです」
あなた
「大丈夫だよ」
エイシンフラッシュ
「本日四回目です」
あなた
「何が」
エイシンフラッシュ
「あなたが本日発言した"大丈夫"の回数がです」
あなた
「数えてたの?」
エイシンフラッシュ
「はい」
そう言うと、彼女は迷いなく動き始める。
エイシンフラッシュ
「風邪を引いた時は、まず体を温めてください」
エアコンの温度を上げ、布団を掛けてくれる
エイシンフラッシュ
「部屋が全体的に乾燥しています」
窓を開けて換気をしてから、加湿器をつけてくれる。
エイシンフラッシュ
「食欲がないかもしれませんが、早く治すためにも何か口にして、薬も必ず飲んでください」
紙袋から缶詰やゼリー飲料を取り出し、薬と水が入ったコップも差し出してくる。
彼女の一連の無駄のない動きに、あなたは驚きを隠せない。
あなた
「手際良すぎない?」
エイシンフラッシュ
「事前にシミュレーションしていましたので」
あなた
「看病を?」
エイシンフラッシュ
「はい」
あなた
「いつ」
エイシンフラッシュ
「付き合い始めた翌週です」
あなた
「早すぎる」
あなたは体温計を脇に挟んだ数十秒後、ピピッと音が鳴る
エイシンフラッシュ
「三十八・四度」
あなた
「なんだ、そんなものか」
エイシンフラッシュ
「何言ってるんですか。想定以上の重症です」
彼女はあなたの反応に語気を強めて注意をする。
あなた
「そんなに?」
エイシンフラッシュ
「はい」
彼女は少し眉を寄せる。
あなた
「フラッシュ」
エイシンフラッシュ
「はい」
あなた
「心配してる?」
彼女は数秒黙ってから、
エイシンフラッシュ
「……当然です」
あなた
「!」
エイシンフラッシュ
「恋人が高熱を出して、苦しんでいるのですから」
本気で心配していたのだろう。
彼女は珍しく照れを隠さなかった。
その日の夕方。
彼女が作ったお粥。
あなた
「美味しい」
エイシンフラッシュ
「本当ですか?」
あなた
「うん」
エイシンフラッシュ
「それは良かったです」
少しだけ安心したように笑う。
あなた
「フラッシュ」
エイシンフラッシュ
「はい」
あなた
「ありがとう」
エイシンフラッシュ
「まだ早いです」
あなた
「?」
エイシンフラッシュ
「その言葉は完治してからお願いします」
あなた
「真面目だな」
エイシンフラッシュ
「当然です」
夜になり、薬を飲んでベッドへ入る。
あなた
「眠くなってきた」
エイシンフラッシュ
「良い傾向です」
あなた
「フラッシュはもう帰る?」
彼女は少し考えてから、椅子をベッドの横へ移動させる。
あなた
「?」
エイシンフラッシュ
「帰りません」
あなた
「え」
エイシンフラッシュ
「あなたが眠るまでここにいます」
あなた
「でも」
エイシンフラッシュ
「却下です」
あなた
「強い」
しばらく沈黙。雨音だけが聞こえる。
あなた
「ねぇ、フラッシュ」
エイシンフラッシュ
「はい」
あなた
「手」
エイシンフラッシュ
「?」
あなた
「ちょっと貸して」
彼女は少し驚いたが、静かに手を差し出した。
あなた
「……」
彼女の手を握ると、温かく安心する。
あなた
「落ち着くな」
エイシンフラッシュ
「そうですか」
あなた
「うん」
彼女は少しだけ微笑んでから、優しく握り返ししてきた。
あなた
「フラッシュ」
エイシンフラッシュ
「はい」
あなた
「好き」
あなたは熱のせいで、普段より素直になっていた。
エイシンフラッシュ
「……」
あなた
「もう寝る」
エイシンフラッシュ
「逃げないでください」
あなた
「眠かせてほしい」
エイシンフラッシュ
「それはずるいです」
あなた
「ごめん」
エイシンフラッシュ
「……」
彼女は少し照れながら、小さく息を吐いた。
エイシンフラッシュ
「私もあなたのことが好きです」
あなた
「……」
エイシンフラッシュ
「聞こえましたか」
あなた
「はっきりと聞こえた」
エイシンフラッシュ
「そうですか」
あなた
「とても嬉しい」
エイシンフラッシュ
「それならよかったです」
数分後、あなたは眠りにつき、彼女はそばでその寝顔を見守っていた。
エイシンフラッシュ
「……」
静かな部屋。雨音だけが聞こえる穏やかな時間。
彼女はそっと前髪を整える。
そして眠るあなたへ小さく呟いた。
エイシンフラッシュ
「早く元気になってください」
彼女は少し微笑む。
エイシンフラッシュ
「次のデートの予定がありますので」
その声はどんな告白よりも優しかった。