フラッシュさんとの恋愛日記   作:ココアポタージュ

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大好きな恋人との初めての〇〇 ⑥

第6章 初めての夏祭りデート

 

付き合い始めて五か月。季節は夏。

 

あなたは夕暮れに待ち合わせ場所の駅前で、人混みの向こうからゆっくり歩いてくる人影を見て固まってしまう。

 

淡い藍色の浴衣と小さな桜の髪飾り。

 

なにより見慣れているはずなのに見惚れてしまう横顔。

 

間違いなくエイシンフラッシュだった。

 

あなた

「……」

 

エイシンフラッシュ

「どうしましたか」

 

あなた

「いや」

 

エイシンフラッシュ

「?」

 

あなた

「綺麗だなって」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

フラッシュの思考が一瞬停止する。

 

エイシンフラッシュ

「その発言は予想していました」

 

あなた

「なら平気?」

 

エイシンフラッシュ

「平気ではありません」

 

あなた

「だろうな」

 

フラッシュの耳は真っ赤だった。

 

 

祭り会場へ向かう。

 

提灯、屋台、人混み、夏の匂い...etc、周りを見渡すだけで気分が高揚する。

 

あなた

「祭りだー!」

 

エイシンフラッシュ

「元気ですね」

 

あなた

「祭りだからな」

 

エイシンフラッシュ

「理解はできます」

 

あなた

「楽しみ?」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「お」

 

エイシンフラッシュ

「あなたが楽しみにしていましたので」

 

あなた

「やっぱりそこか」

 

2人は屋台通りに到着する。

 

あなた

「まず何食べる?」

 

エイシンフラッシュ

「効率を考えるなら」

 

あなた

「考えないなら?」

 

あなたは瞬時に問い返す。

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

あなた

「フラッシュさん。いいですか、今日は祭りです」

 

エイシンフラッシュ

「し、しかし合理性は」

 

あなた

「そこのゴミ箱に捨ててください」

 

エイシンフラッシュ

「大胆ですね」

 

しばらく2人で屋台を回る

 

焼きそば、たこ焼き、りんご飴、かき氷。

 

あなた

「買いすぎた」

 

エイシンフラッシュ

「予想通りです」

 

あなた

「そんな目で見るな」

 

エイシンフラッシュ

「既に五店舗目です」

 

あなた

「まだ五店舗だよ」

 

エイシンフラッシュ

「まだ?」

 

あなた

「もしかして祭り初心者?」

 

エイシンフラッシュ

「おそらく」

 

二人はベンチに座り、買ったものを食べ始める。

 

あなた

「はい、たこ焼き」

 

エイシンフラッシュ

「ありがとうございます」

 

フラッシュが一口食べた瞬間。

 

エイシンフラッシュ

「熱っ」

 

あなたはすぐに冷たい飲み物をフラッシュに差し出す。

 

あなた

「珍しいね!」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

あなた

「今熱っって言った!」

 

エイシンフラッシュ

「言いました」

 

あなた

「なんか可愛い」

 

フラッシュは恥ずかしそうな顔をしてから、

 

エイシンフラッシュ

「分析しますか?」

 

あなた

「何を」

 

エイシンフラッシュ

「あなたが本日何回私に可愛いと言ったか」

 

あなた

「からかってすみませんでした。それはやめてください」

 

お互いに顔を見て笑い合う

 

射的、輪投げ、金魚すくい等、2人は屋台を一通り回る。

 

あなた

「楽しいな」

 

エイシンフラッシュ

「ええ」

 

あなた

「フラッシュは昔なら祭りとか来なそう」

 

エイシンフラッシュ

「間違いありませんね」

 

あなた

「やっぱり」

 

エイシンフラッシュ

「なにより人混みは苦手ですし」

 

あなた

「今は?」

 

彼女は周囲を見る。

 

笑う人々、提灯の灯り、祭囃子。そして隣にはあなた。

 

エイシンフラッシュ

「今は好きです」

 

あなた

「祭りが?」

 

エイシンフラッシュ

「いいえ、あなたと来る祭りが」

 

あなた

「それは反則だろ」

 

 

日が沈み、空が藍色になる。

 

花火開始十分前のアナウンスが聞こえる。

 

あなた

「そろそろ行くか」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

2人は川辺へ向かう。

 

周りには人の少なく、夜風が気持ちいい絶好の場所を見つける。

 

あなた

「いい場所だな」

 

エイシンフラッシュ

「視界も良好です」

 

あなた

「分析禁止」

 

エイシンフラッシュ

「努力します」

 

しばらく沈黙。

 

隣同士で座ると肩が少し近い。

 

風が吹き、浴衣の袖が揺れる。

 

あなた

「なあ」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「付き合って五か月だな」

 

エイシンフラッシュ

「そうですね」

 

あなた

「早い?」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

フラッシュは少し考えてから

 

エイシンフラッシュ

「不思議です」

 

あなた

「何が?」

 

エイシンフラッシュ

「もっと長く一緒にいる気もしますし」

 

あなた

「うん」

 

エイシンフラッシュ

「まだ五か月しか経っていない気もします」

 

あなた

「分かる」

 

 

開始のアナウンスが流れ、会場の灯りが少し落ち、ざわめきが静まる。

 

あなた

「いよいよ始まるな」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

そして夜空へ最初の一発が打ち上がる。

 

ドン――

 

大輪の花。

 

青、赤、金。

 

眩しい光が夜空を埋める。

 

あなた

「うわぁ……」

 

エイシンフラッシュ

「……綺麗です」

 

その声はとても優しかった。

 

しばらく二人は無言だった。

 

言葉がいらない時間。

 

ただ2人で同じ空を見上げ、同じ景色を見て、同じ瞬間を共有する。

 

今はそれだけで十分だった。

 

そして大きな花火が開いた瞬間、彼女が小さく呟く。

 

エイシンフラッシュ

「……今日はあなたと来られて良かったです」

 

あなた

「ごめん、今何か言った?」

 

彼女は少しだけ首を振り、微笑みながらあなたの顔を見る。

 

彼女の瞳には夜空の花火の光が映っている。

 

 

エイシンフラッシュ

「あなたと出会うことができて本当に良かったです」

 

 

夜空に大輪の花が咲き、歓声が響く。

 

それでも彼女の言葉の方があなたの心には強く残った。

 

そして二人の夏は、まだ始まったばかりだった。

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