フラッシュさんとの恋愛日記   作:ココアポタージュ

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真面目な少女との出会い⑥

第6章 初めての嫉妬

 

その変化は突然だった。

 

昼休み。いつもの中庭。

 

エイシンフラッシュはベンチに座りながら資料を開いていた。

 

しかし実際にはほとんど読めていない。

 

理由は単純だった。

 

あなたが来る時間だからだ。

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

最近は時計を見なくても分かる。

 

"そろそろ来る" そんな感覚があった。

 

そして予想通り。あなたの姿が見えた。

 

だが、隣には同級生の女子がいて、あなたと楽しそうに話している。

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

別に珍しいことではない。

 

あなたは誰とでも仲良く話せることを彼女はすでに知っている。

 

だから本来なら何も感じるはずがない。

 

なのに、なぜか胸の奥が落ち着かなかった。

 

あなた達はそのまま近くのベンチへ座った。

 

楽しそうな会話が聞こえる。

 

あなた

「それ面白そうだな」

 

同級生

「でしょ?」

 

あなた

「今度見に行こうかな」

 

同級生

「ぜひ!」

 

笑い声と楽しそうな雰囲気。

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

資料のページをめくる。あいかわらず内容は全く頭に入らない。

 

(なぜだろう)

(妙に気になる)

(いや、非常に気になる)

 

数分後。

 

あなた

「あ」

 

ようやくこちらへ気付く。

 

あなた

「フラッシュ」

 

エイシンフラッシュ

「こんにちは」

 

あなた

「待たせた?」

 

エイシンフラッシュ

「いいえ」

 

即答だった。

 

しかし、彼女の声がほんの少しだけ硬いことに、あなたは気付いていなかった。

 

あなた

「ごめんな」

 

エイシンフラッシュ

「何に対しての謝罪でしょうか?」

 

あなた

「ちょっと捕まってて、すぐに気づかなかったことにだよ」

 

エイシンフラッシュ

「そうですか」

 

短い返事。

 

あなた

「……?」

 

彼女の様子には少し違和感があった。

 

(なんかいつもより距離がある気がする)

 

その日の帰り道。あなたの隣を彼女は早足で歩いている。

 

あなた

「何かあった?」

 

エイシンフラッシュ

「何もありません」

 

あなた

「絶対ある」

 

エイシンフラッシュ

「ありません」

 

あなた

「ならどうしてそんな不機嫌そうなんだ?」

 

彼女は足を止め、振り返る。

 

エイシンフラッシュ

「不機嫌ではありません」

 

あなた

「そう?」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

数秒の沈黙。2人は見つめ合う。

 

先に沈黙を破ったのは彼女の方だった。

 

エイシンフラッシュ

「……一つだけ質問があります」

 

あなた

「おう」

 

エイシンフラッシュ

「昼休みに一緒にいた方は」

 

あなた

「ああ」

 

エイシンフラッシュ

「友人ですか?」

 

あなた

「そうだよ」

 

エイシンフラッシュ

「ずいぶんと仲が良いのですね」

 

あなた

「普通だと思う」

 

エイシンフラッシュ

「そうですか」

 

また沈黙。

 

あなた

「……」

 

そこでようやく気付いた。

 

あなた

「もしかして嫉妬していた?」

 

その言葉を聞いた瞬間、彼女の思考が完全停止する。

 

エイシンフラッシュ

「……は?」

 

あなた

「えっ、違った?」

 

エイシンフラッシュ

「違います」

 

即答。

 

だが、耳が少し赤い。

 

あなた

「怪しいな」

 

エイシンフラッシュ

「違います」

 

あなた

「本当に?」

 

エイシンフラッシュ

「本当にです」

 

しかし数秒後、彼女は小さく息を吐いた。

 

エイシンフラッシュ

「……正直自分でもよく分かりません」

 

彼女が迷っている珍しい光景を目にして、あなたは驚いている。

 

エイシンフラッシュ

「あなたが同級生とはいえ、他の女子と楽しそうに会話しているのを見て、少し落ち着かなくなりました」

 

あなた

「へぇ」

 

エイシンフラッシュ

「理由は不明です」

 

あなた

「それって嫉妬じゃない?」

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

彼女は否定できなかった。

 

なぜなら心当たりがある。

 

あなたが来ない昼休みは、妙に寂しかった。

 

今日、あなたが他の誰かと話している姿を見て、妙に気になった。

 

どちらも同じ感情の延長線上にある気がした。

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

胸が少し騒ぐ。初めて経験する感情だった。

 

分析することも、数式に当てはまることも、理論で説明することもできない。

 

だからこそ余計に困る。

 

あなた

「フラッシュ」

 

エイシンフラッシュ

「はい」

 

あなた

「ちょっと嬉しい」

 

エイシンフラッシュ

「なぜでしょう」

 

あなた

「だって、俺のこと気にしてくれてるってことだろ」

 

あなたのその言葉に彼女の胸が大きく跳ねた。

 

エイシンフラッシュ

「……」

 

否定できない。できるはずなのに、できなかった。

 

その晩、彼女は部屋で参考書を開いたまま今日の出来事を思い出す。

 

"あなた" "昼休み" "笑顔" "嫉妬"

 

その単語が何度も頭の中を巡る。

 

そしてふと気付く。

 

(もし本当にただの友人なら、あんな気持ちにはならないのではないか)

 

(もし本当にただの友人なら、会えないだけで寂しくなったりしないのではないか)

 

(もし本当にただの友人なら、あなたの言葉一つでこんなにも心が揺れたりしないのではないか)

 

エイシンフラッシュ

「……まさか」

 

その時彼女は初めてその可能性に辿り着く。

 

だが、その結論を認めるにはまだ少し勇気が必要だった。

 

一方であなたの方も、まだ気付いていない。

 

自分が彼女を目で追う回数が、日に日に増えていっていることに。

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