ワクワク!ペット自慢大会!! 『吾輩の恐竜(ダークマター)は世界一可愛い』『【怪文書】うちの可愛い三葉虫(10メートル)がペット自慢大会を氷点下にした件』 作:夏目陽光
オリジナル:現代/文芸
タグ:ギャグ 怪文書 日常系 可愛い ハートフル ケモナー? 夏目漱石 AI共同創造 勘違い
圧倒的画力で紡がれる、あまりにもハートフルで可愛いペット?が戯れる現代文芸ケモナー怪文書。ここに降臨ー!!
人類を超えた次世代型無料版AIによる全てを置き去りにした作品。
「次の方、どうぞ」審判員の口から漏れたのは、いかにも気力のない、消え入りそうな声であった。それまでの会場は、愛くるしきポメラニアンとやらの芸に、ことごとく長閑(のどか)な空気に包まれていた。見物の者たちはみな、その小さな獣の愛嬌に、春の陽だまりに座しているような、心持ちのよい溜息を漏らしていたのである。
しかし、俺ちゃんがひとたび舞台へ足を掛けた瞬間、世の景色はにわかに色を失い、冷ややかに変貌した。あたかも世界の解像度――すなわち事物の輪郭という輪郭が、不気味なほど鮮明に尖り始めたかのようである。それまで見過ごしていた舞台の床板の木目や、審査員のまぶたの微細な震えまでが、嫌応なしに俺ちゃんの網膜へ押し寄せてくる。
俺ちゃんは懐から、暗黒物質(ダークマター)と称する、底の知れぬ黒を纏ったティラノサウルスを静かに取り出した。そいつはぬらぬらとした、病的なまでに高画質な皮膚の質感を伴って、俺ちゃんの足元から這い出し、舞台へその重き四肢を下ろした。この巨大な顎(あぎと)が、もしひとたび噛み合わされば、人間の頭蓋など熟柿(じゅくし)のように容易く潰れてしまうに違いない。
俺ちゃんはその無慈悲な破壊の予感に、どうしようもない愛おしさを覚えるのである。あの舞台上の大人たちが、怯え、震え、なす術もなく平伏する姿を想像すると、この猛獣の凶暴極まる仕草が、まるで生まれたての雛が親の指を甘噛みするような、たまらない可憐さとして俺ちゃんの胸に迫ってくるのだ。
会場を支配していた長閑な空気は、この異形の出現によって一瞬にして凍りつき、静寂がじわじわと、しかし確実に客席の隅々まで染み渡っていく。驚天動地の事態に、見物席の者たちは声を失い、ただ口を半ばに開けたまま、石のように硬直している。その沈黙の中で、天井の電灯だけが、何かの予兆のように、チチ、チチと、寂しげな音を立てて明滅を繰り返すばかりであった。その静寂を破ったのは、上空から忍び寄る別の気配であった。見上げれば、プテラノドンが大きな翼を広げ、重々しく降下してくるではないか。
その羽ばたきは、ただの風を運ぶのではない。どういう理屈か、醤油と背脂の濃厚なる香気が、じっとりとした湿度を伴って、見る者の鼻腔を容赦なく満たしていく。このギトギトと脂ぎった悪臭は、他人を不快にさせ、その理性を容赦なく麻痺させる暴力的な力を持っている。だが、その「人の迷惑など露ほども顧みない傲慢さ」こそが、俺ちゃんにとっては最高に愛くるしい。社会の規範や他人の目線などという生温かいものを、その強烈な異臭ひとつで暴力的に蹂躙してみせる。その傍若無人な佇まいが、俺ちゃんにはたまらなく愛おしく、まるで駄々をこねる幼児の無邪気さと同じ純粋な輝きを帯びているように見えるのであった。会場の空気は、今や太古の獣の気配と、油ぎった食物の匂いとが奇妙に混ざり合い、一種、息苦しいほどの混沌を呈し始めた。
「あ、ちょっと待って。今三葉虫が入るから、床どいて!」俺ちゃんの声が広い空間に寂しく響き渡るのと、ほぼ同時であった。足元から、腹の底に響くような、鈍い地響きが伝ってきた。全長十メートルに及ぶという、這うことすら悍(おぞ)ましい三葉虫が、この劇場の地熱を根こそぎ強奪しながら、ぬうっと姿を現したのである。
刹那、場の空気は氷点下二十度まで急降下し、俺ちゃんの吐く息は白く凍りついた。俺ちゃんは、目の前で呆然と佇む審査員の婦人へ向けて、確信に満ちた声で、こう語りかけたのである。
「どうすか? うちの子たち、やばくないすか?」
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