定期検診、半年に一回のペースだったけど事故後ということもあって、今日は病院に来ていた。付き添いはマミ姉と織莉子姉の二人だけど、一昨日知り合ったさやかさんとまどかさんが一緒にいる。
「それじゃあここで」
「はい、それでは」
どうやらさやかさんの幼馴染が入院しているらしい。僕はそれどころじゃないけど。
「え〜一日ここで安静にしていてください」
「はい…」
「二ヶ月のリハビリがあっても君は元々の体が弱いからね、それでも抑えて行動できてるから一日見るだけで大丈夫だよ。それでもちゃんと二人の意見も聞くことだよ、あの二人は君のことに関しては医者もびっくりの的確さだから」
「はい…」
体育で準備運動だけ参加してたけどだめだったか……とりあえず病院服に着替えて、部屋は、いつもの場所か。この病院には随分とお世話になっている。熱を出したときも入院したりした。でも、魔女と出会ったからなのか前にいたときに気づかなかった。突き刺すような気配がする。
これは個性とは別の生まれつきのものだ。マミ姉達なら大じゃだと思うけど、心配だ。
◇◆◇◆◇◆
「やっぱりね」
「そうね、」
準備運動だけ参加しているのは許可をした。何もしないというのも問題だからだ、ある程度動いて免疫を作る。これを怠るとすぐに病気になって入院することになる。それでも事故での二年昏睡していたのだから、もう少し気を使うべきだった。
「あら?明美さん?」
「この辺で魔女が生まれるのよ、手伝ってくれるかしら?」
「……確かに、魔女はあのへんかしら?」
「便利な魔法ね」
「そうでもないわ、未来視は一番確率の高い未来を映すだけ、変わることもあるわ」
魂魄が一日病院にいる。本来なら一緒にいたいが、医者からは、少し休みなさいと言われた。魂魄のことに関しては休む必要がないのだけれど。そう考えていたときに明美さんがやってきた。どうやらこの周辺で魔女が生まれるらしい。
病院の近くというのも問題だけど、何より今病院には魂魄がいる早急に討伐しなければならないわね。
「魂魄の部屋はあの辺りね、」
「そこに魔女の気配はないからひとまずは安心ね」
「なんでわかるのよ」
「当たり前よ」
「把握していないほうが心配になるからね」
病室に通い詰めていれば、どこに魂魄の部屋があるかは外にいたとしても覚える。愛の力は無限の可能性なのだから。
「あれ?ほむらちゃん?」
「まどか…」
「見舞いはどうしたの?」
「リハビリ中で会えませんでした」
「そう、なら早く帰りなさい、魔女がこの周辺で生まれるから離れたほうがいいわ」
「そんなんですね、大丈夫なんですか?」
「数がいるから大丈夫よ、確実ではないけどね」
そうね、基本的に負けることはないだろうけど、命に関わることに絶対はない。だからこそ不安な要素はすべて消し去るのが一番いい。
鹿目さん達を帰らせて、孵化寸前のグリーフシードの前で立ち止まる。病院で絶望した魔法少女、どんな願いをしたのだろうか。不治の病の治療を願ったのかしら。駄目ね感情移入をしたら、弔いとして、これ以上人を殺さなくて済むように、魔女を倒さないとね。
「行くわよ」
「ええ、」
「わかったわ」
広がっていく結界に巻き込まれるカタチで、中に入る。孵化したばかりだからか使い魔はいないわね。結界のなかには色々なお菓子があった。お菓子を願ったのかしら。
「お菓子の魔女、グリム童話にいたわね」
「それも原作はかなり重い話ね」
「悪いだけの魔女はいない、もしかしたら、グリム兄弟は魔法少女と関わってきたのかもしれないわね、いい魔女は魔法少女時代を指していたりして、」
「魔女に名前があるのなら、それと一致するものがあるのかもしれないわね」
たまに、こうやって考察をする。インキュベータに対するちょっとした反撃だ。絶望だけじゃなかったことを、伝えたい。絶望するだけが魔法少女の役目じゃないことを、そう思ってもそれが事実かわからないから、机上の空論というものになるけれど、魂魄はそれをよく聞いてくれる。願いが呪いになるのなら、魂魄はどんな願いを叶えてもらうのかしらね。
結界の最奥には人形のような魔女が一体、リボンで拘束をしてマスケット銃で額を撃ち抜く。でも結界は消えない。それどころか、口から新たな魔女が生まれてくる。
「?!」
「危ないわね。下がって、オラクルレイ!」
織莉子が水晶の一斉射撃を行うが、さらに口から同じ魔女が生まれてきて、あまりダメージが入っていないように見える。
「さすがにまずいわね、」
「ティロ・フィナーレでも倒せるかわからないわね、明美さん、いい方法はない?」
「口のなかにグレネードを放り込めば多少は、」
「ならやってみるしかないわね」
口の中から出てくるのなら口の中を攻撃する。簡単だけど、噛みつきが攻撃の方法だからタイミングを間違えればこっちが食べられるわね。
通常攻撃に意味はなしと。
「マミ!そこは!」
織莉子の声が響いた瞬間足が引っかかり転んでしまう。織莉子も手を伸ばしているけど、間に合わない、間に合ったら織莉子もろとも食べられる。
「っ……!」
「
「え?」
ありえない、だって今の声は魂魄のもの、ここにはいないはずなのに。
でも噛みつこうとしてきた魔女の横腹に炎をまとった弾丸が撃ち込まれる。その方向を見れば回転式連発拳銃と自動式連発拳銃を持った魂魄が立っていた。病衣を着た魂魄の胸がチラリと覗く。そこにはかつて見た、苦無が突き刺さっていた。
「
「なんで?!」
「嫌な予感がしたから、実際に危なかった……」
「……」
「限定奥義
手にした銃を胸の前で交差させ、発砲をしながらお菓子の魔女へと叩きつける。その程度で魔女は倒れない、それならばインキュベータも魔法少女ではなくヒーローを魔女討伐に使うはずなのに、なんで、倒せているの?
「倒せる気はしたけど、さすがに、限界」
「魂魄!」
「魂魄!目を空けなさい!」
「病室に運ぶのが先決よ、それに、結界が崩れたら人目につくわ」
あ、目の前で魂魄が倒れたせいで冷静さを欠いていた。明美さんの言葉で我に返り、織莉子に魂魄を背負わせて、私は認識阻害を行う、これで魂魄を病室に運べる。魂魄の胸に突き刺さっていた苦無は消えていて傷跡もなかった。そう言えば十二本の刀の力は知らなかたわね。後で聞かなあと、回復魔法をかけながら。私達は魂魄の病室に入りベットに寝かせた。
「速く、目を覚ましなさい」
結果として翌日に目を覚ました。医者からは疲労が溜まっているからもう一日病院にいなさいと言っていた。本当に無茶をしないでちょうだい。