過去3話分のサブタイトルを変更しています。再三の変更となりすみません…この形式でこれからは統一していきます。
原作の過去サブタイトルを確認しましたが、やっぱすげ〜よ
私もセンスが欲しいです
戦闘シーンは妄想が捗って描くのが楽しいです!描いてるうちにどんどん長くなってしまい、今話は少し長めです。
ちなみに、今話の1番手間取った部分はサブタイトルです笑
二百階のアリーナは、満員だった。
カイウスは前回と同じ、最上段に近い席を選んだ。今日は観察のためではなく——記憶するために来た。これから自分が戦う相手を、もう一度だけ見ておくために。
アリーナ中央に二人が出てくる。
ヒソカ。
そしてゴン。
黒髪の少年は、小さく見えた。ヒソカと並ぶとなおさらだ。体格差、経験差、実績差——全ての数字がゴンに不利を示している。それでも、その背筋は真っすぐだった。
試合が始まった。
ゴンが踏み込む。ヒソカが流す。ゴンが追う。ヒソカが捌く。
一見して分かる——ヒソカは本気を出していない。あの余裕のある動き方、カストロ戦で見せた「仕込み」の気配もない。まるで子どもの相手をするように、しかし決して手を抜いているわけでもない、奇妙な濃度の戦いだ。
(値踏みしている)
カイウスは目を細めた。
ヒソカはゴンの「現在値」を測っている。才能の量、伸び代の深さ、精神の芯の強さ——全てを自分なりの尺度で計測しながら、戦いを通じてゴンという人間を解析している。
数合の交錯の後、ゴンの拳がヒソカの頬を捉えた。
観客席が沸いた。
カイウスは沸かなかった。ただ見ていた。
ヒソカが頬に手を当てる。その顔に浮かぶのは——痛みではなく、喜びだ。純粋な、獣めいた喜び。カストロを倒したときの「終わった」顔とは真逆の、「始まった」顔。
(あれが、ヒソカの顔だ)
強い相手が本当に強いと分かった瞬間に、あの男は本物の顔を見せる。
カイウスは観戦しながら、ゴンをではなくヒソカを見続けた。
戦いが進むにつれ、ゴンの念が変わっていく。荒削りだったオーラが、試合の中で少しずつ研がれていく。プレッシャーの中で、恐怖の中で、それでも前へ向かい続けることで——ゴンの念は今この瞬間も成長している。
(自分には、できなかったことだ)
その思考が、予期せず浮かんだ。
カイウスは強かった。物心ついた頃から師に鍛えられ、念を覚え、十八年をかけて積み上げてきた。その結果として二百階まで到達した。それは事実だ。
だが——ゴンが今やっていることは、カイウスにはできない。
目的のために、今この場で全てを出し切ること。恐怖を恐怖のままで持ちながら、それでも前へ踏み出すこと。強さを手段ではなく、願いそのものとして持つこと。
カイウスの強さはいつも、「何かを探すため」の手段だった。答えが出ない限り、それは永遠に手段のままだ。
ゴンは知っている。自分が何を欲しいのかを。
カイウスには、それがなかった。
試合が終わった。
結果はヒソカの勝利だった。ゴンは最後まで立っていたが、ヒソカが試合を止めた。カイウスの目には、それが「まだ戦えるが、今日はここまで」という意味に見えた。ゴンを壊すつもりがない。育てるつもりがある——ヒソカにしては珍しい種類の感情だ。
アリーナから退場するゴンとキルアの背中を、カイウスは目で追った。
キルアがゴンに何か言っている。ゴンは答えている。傷だらけでも、その声は明るい。
(羨ましい、とは違う)
カイウスは立ち上がった。
(だが、目を離せなかった)
---
翌日。
カイウスは試合の一時間前から、控え室で目を閉じていた。
眠っているのではない。全身のオーラの流れを確認している。纏の密度、発の起動速度、「解」の精度——全て平常だ。むしろ今日は、いつもより静かな気がした。
緊張はなかった。
恐れもなかった。
ただ、澄んだ何かがあった。
扉が開いた音がした。目を開けると、リラが入ってきた。
「来るなと言っていない」とカイウスが先んじてに言うと、リラは僅かに驚いた表情を浮かべたあと少し笑った。
「うん。だから来た」
部屋の中を見回しながら近づいてくる。
「体は?」
「問題ない」
「作戦は?」
「ある程度は」
「聞いてもいい?」
「言わない」
「なんで?」
カイウスは少しだけ考えた。
「言ったところで変わらない」
「それはそうだけど」
「お前は知らない方がいい」
リラは数秒黙った。
「……それ、気を遣ってる?」
「違う」
「絶対そうでしょ」
カイウスは答えなかった。
沈黙が落ちる。リラはその反応を見て、小さく笑った。
「なんか…少し変わった?」
「変わっていない」
「変わったと思う」
カイウスは否定しなかった。
リラは壁にもたれたまま、小さく息を吐く。
「まあいいや」
そして真っ直ぐカイウスを見た。
「全部出し切ってきなよ」
リラは少しだけ考えた。
「答えが出ても、出なくてもさ。後悔だけはしないように。……たぶん、それで十分だから」
扉が閉まった。
カイウスは目を閉じた。今出せる全部を、出し切る。
---
アリーナに出た瞬間、観客の熱気が体にぶつかった。
カイウスは気にしなかった。視野の中にあるのはヒソカだけだ。
長身の男が、ゆったりとした歩みで中央へ向かってくる。カードのマークが散った衣装。白塗りの肌。どこか舞台俳優めいた立ち居振る舞い——その全てが、戦う前から相手の神経を削るよう計算されている。
しかしカイウスは揺れなかった。もうこの男の「圧」の質は知っている。慣れたとは言えないが、慣れていない自分を知っている——それで十分だ。
「よく来たね、カイウス♣︎」
「来ると言った」
「そうだね」ヒソカは微笑んだ。「——楽しみにしてたよ♦」
試合開始の合図が鳴った。
カイウスは動かなかった。
ヒソカも動かなかった。
十メートルの距離を挟み、二人は静止した。観客席が静まり返る。開始直後の膠着——しかしこの場にいる者には分かる。これは停止ではない。互いが互いを、全神経で測っている時間だ。
息を吸う。
オーラを全身に均等に巡らせる。特定の部位に偏らせない。「解」を撃つ瞬間まで、余計な気配を外に出さない。
ヒソカの視線が、静かにカイウスの全身を舐めている。どこを見ているのか分からない——全部を同時に見ている目だ。指先の動きも、重心の位置も、瞬きのタイミングまで、全てが情報として処理されている。
(先に撃つ)
先に動いたのはカイウスだった。
指を弾く。
低威力・高速の「解」が走る。不可視の斬撃——ヒソカは体を半歩ずらして回避した。見えているわけではない。念の気配を皮膚で読んでいる。
もう一発。また回避。
(読んでいる。発射の気配を感じ取っている)
三発目——今度は動作を変えた。指を弾く寸前まで意図を隠し、軌道をわずかにずらして放つ。「解」がヒソカの左腕をかすめた。
(当たった)
しかしヒソカは表情を変えなかった。むしろ、少し笑った。
「面白い軌道の変え方だ♦」
当たったことを喜んでいない。軌道の変化そのものを、情報として楽しんでいる——そういう笑い方だった。
カイウスは答えず、四発目を放った。今度は中威力。わずかに間を置いての一撃——ヒソカは後退しながら体を捻る。完全な回避ではなく、ダメージを最小化する動き方だ。
(凝で軌道を読んでいる。完全には見切れないが、気配は察知している)
距離を保ちながら、カイウスは「解」を撃ち続けた。速射と中射を混ぜ、リズムをずらす。二発の間隔を短くしてから三発目を長く間を置く。あるいは三連射の後に沈黙を挟む。同じパターンでは読まれる——音楽のように、あるいは息のように、不規則に。
ヒソカは前に出てこない。後退しながら、時に左右へ動きながら、全ての「解」を捌き続けている。その動きには無駄がない。最小限の移動で最大限の回避を成立させている。踊っているようにすら見える。
(距離を詰める気がない。まだ観察している)
そしてカイウスも——「解」で削り切れる相手ではないと分かっていた。これは牽制だ。ヒソカの動きの癖、回避のパターン、重心の移動、念の流れ方——全てを見るための射撃だ。
数十秒の交錯の後、カイウスの「凝」が何かを捉えた。
ヒソカの右手から、薄いオーラの膜が伸びている。
バンジーガム——膜そのものは捉えられる。しかし接着点が分からない。
おかしい、とカイウスは思った。膜を「凝」で追えば、その先に接着先があるはずだ。糸の端には必ず結び目がある。なのに——辿った先で、膜が背景に溶けている。床に貼っていれば床の質感に、空気中ならば空気の揺らぎに、まるでそこに何もないかのように馴染んでいる。
(接着点が見えない)
背景に溶け込んでいる。変化系か。
(切る)
中威力の「解」を、その膜の方向へ放った。
オーラの膜が断たれる感触が返ってきた。
しかし——ヒソカは何も変わらず立っていた。
「惜しいね♠」ヒソカが言った。「でも、そこじゃない」
(切られても構わない場所に張った、か)
カイウスは即座に理解した。バンジーガムは複数本展開できる。囮を切らせて「解」の威力とタイミングを読む。本命は別の位置に仕込んでいる——最初から切断されることを計算していた。
また「凝」を鋭くする。別の膜を探す。
ある——今度は二本。一本はカイウスの左肩付近の空間。もう一本はアリーナの床へ向かって伸びている。
(どちらが本命だ)
「解」で左肩付近の一本を断つ。
今度はヒソカが少し動いた。右手首をわずかに動かす——床への膜を手繰り寄せるような動作。
(床の膜を引っ張った。あれが本命だったか——いや)
カイウスは「凝」を維持したまま考えた。
切らせることが目的の可能性がある。「解」を放つ方向、タイミング、使用するオーラ量——それを全て読んでいる。切断行動そのものを、次の罠への誘導に使っている。
ただのカウンターではなく、カウンターのカウンター。
ヒソカと「解」によるバンジーガム切断合戦を続けることは——相手のペースに乗り続けることだ。
(距離を変える)
カイウスは踏み込んだ。
十メートルの距離が、一気に縮まる。
ヒソカの重心がわずかに変わった。予想外だったのかもしれない。しかし次の瞬間にはヒソカの体重が後ろへ移動し、迎え撃つ体勢を作っている。対応速度が人間のそれではない。
カイウスは「解」を放たなかった。
超接近戦で高威力の一撃は間に合わない。低威力の速射は、この距離ではヒソカの反応速度に追いつかれる。ならば「解」は今は要らない。
右腕を伸ばす。
ヒソカが体を捻る。半身になって回避——しかし完全ではない。カイウスは捻った方向を読んでいた。右手の軌道をコンマ一秒遅らせ、ヒソカの動きに合わせて差し込む。指先が、左前腕の皮膚を掴んだ。
掠めるよりも少し強く。確かに。
瞬間。
「捌」を起動する。
接触面からオーラが浸透する。
流れ込む。骨、筋肉、オーラ、防御。
そして…破壊力が収束する。
(行ける——)
しかし、その刹那。
ヒソカの左腕が、燃えた。
燃えた、というより正確には——異様な密度のオーラが、一点に向けて爆発的に集中した。「凝」だ。しかしそれだけではない。皮膚表面に、バンジーガムが一瞬で展開された。
粘着と弾性を持つオーラの膜が、「捌」の浸透経路そのものを塞ぐ層として機能する。
(反応した——!)
「捌」は炸裂した。
しかし…肘から先が宙を舞った。血が赤い弧を描く。
観客席から悲鳴が上がった。
防御層は「捌」の破壊力を殺し切れなかった。だが変質させた——臓器を、骨格を、オーラの経路を、全てバラバラに解体するはずだった一撃が、単純な斬断に留まった。通るはずの場所を通れず、出口を変えた破壊力が腕だけを両断した。
(防がれた——完全には)
カイウスは即座に後退した。
血が床を叩く音がした。
ヒソカは切断された左腕を見下ろした。肘から先が床に転がっている。血が流れている。しかしその顔には——苦悶ではなく、興奮が浮かんでいた。頬が、微かに上気している。
「痛いね♠」ヒソカが言った。「久しぶりだよ、こういうの♠」
カイウスは距離を取りながら「凝」を維持した。
ヒソカの右手が動いた。切断された左腕を床から拾う——のではない。
バンジーガムが、切断面から腕を縫い留めていた。
(切断されても、繋がっている)
腕はまだヒソカの制御下にある。物理的には切れていても、念の糸で繋がれている。それはつまり——。
だが、片腕がない。その事実は確かなものだ。
カイウスは「凝」を維持したまま、静かに攻勢へ転じた。
「解」の連射——低威力・高速。一発ずつではなく、三方向から同時に叩き込む。左、中央、右。ヒソカの右腕が動ける方向を潰しながら、中威力の一撃を差し込む。
片腕のヒソカは、それでも捌いた。
一発、二発——体を回転させ、ぎりぎりの軌道で躱し続ける。
しかし三発目が右肩を削った。
ヒソカの体がわずかに揺れる。重心がぶれた。
(通っている)
カイウスは間合いを詰めた。「解」を放ちながら踏み込む——超接近戦での射撃は自分にも危険だが、この距離ならヒソカの回避の幅が狭まる。体術と「解」を絡め合わせる。右の速射でヒソカの視線を引き、その隙に左腕でフレームを崩す。崩れた姿勢へ中威力の「解」を叩き込む。
片腕では防御に限界がある。
カイウスの膨大なオーラ量が生む「纏」の密度が——押し当てるだけで相手を削る。超接近戦においてオーラ量の差は、そのまま消耗の非対称性になる。押し付ける側が有利だ。
観客席が静まり返っていた。
誰もが感じていた。流れが変わっている、と。
ヒソカの動きに、翳りが出始めた。片腕を失った体の均衡が崩れ、重心の取り方が微妙に変わっている。それでも笑みは消えていない——しかしその目の奥の色が、少しだけ変わった。
楽しい、という色ではなく。真剣な、という色に。
(押せている)
カイウスは「解」と体術を絡めながら攻め続けた。「捌」を再度使える接触機会を探しながら、しかし急がない。ヒソカに隙を見せることの危険性は、既に骨身に染みている。一手の焦りが致命傷になる——それだけはまだ分かっている。
押す。削る。崩す。また押す。
三十秒が経った。
四十秒。
ヒソカの動きが、一段落ちた——気がした。
(いける)
カイウスが踏み込んだ、その瞬間。
気づかなかった。
ヒソカの視線が、ほんの一瞬だけ——床の左腕へ向いた。
それだけだった。それだけの動作だった。視線が動いた時間は一秒にも満たない。攻防の中の、ほんの僅かな隙間。
(——)
カイウスの「凝」が何かを捉えた。
床に落ちていた左腕——そこに絡んでいたバンジーガムが、収縮し始めている。
(腕が——)
気づいた瞬間には、腕はすでに飛んでいた。
床から跳ね上がるように。切断面を前にして。バンジーガムの収縮エネルギーを全て射出力に変換した砲弾が、ヒソカと打ち合っていたカイウスの体勢のまま——完全な死角から飛来する。
「解」——。
反射で放った。思考より先に指が動いた。
しかし。
(オーラが、厚い)
腕を包むバンジーガムに込められたオーラの密度が、これまでの比ではなかった。
(そういうことか)
気づいた瞬間には遅かった。
試合を通じてカイウスが「解」で切断し続けた膜——囮の膜、本命の膜、次々と切らせてきた全ての行為を通じて、ヒソカは「カイウスの解が切れるオーラ量の上限」を測り続けていた。速射の切断限界も。中威力の切断限界も。全て。
そして今。その上限を、超えている。
「解」の斬撃がバンジーガムに食い込む。
食い込む——食い込む——しかし、断ち切れない。
弾かれる。腕が、そのまま直撃した。衝撃が全身を貫いた。
視界が白くなる。体が吹き飛ぶ。アリーナの床を転がり——止まる。
「解」で切れなかった。
その事実が、白い視界の中で静かに処理されていた。
仰向けに倒れたまま、カイウスは意識を繋ぎ止めた。天井が見える。高い天井だ。遠い。左半身から肋骨が、複数折れている感触がある。息を吸うたびに、折れた端が何かを刺す。内部にもダメージが届いている。
(それでも)
意識は、ある。
審判の声が聞こえた。
「クリーンヒット——ダウン判定。ポイント加算。ヒソカ選手、累計十ポイント到達、試合終了!」
観客席が、一拍遅れて爆発した。カイウスは天井を見たまま、動かなかった。
動けなかったわけではない。意識はある。体も動く——立ち上がれる。しかし試合は終わった。審判が宣言した。
(負けた)
ヒソカが近づいてくる気配がした。
足音が近づく。止まる。
見上げると、ヒソカが立っていた。右腕だけで立ち、切断された左腕はバンジーガムで接続されたまま提げている。その顔は——満足そうだった。試合序盤の「楽しみにしていた」とは異なる、全力を出し切った後の静かな充足感だ。
「楽しかったよ❤︎」ヒソカが言った。静かな声だった。「危うく腕一本で済まなくなるところだった♠」
カイウスは天井から目を離し、ヒソカを見た。
「……押し込んでいたのに、最後まで仕込みを持っていたのか」
「当然でしょ♦」ヒソカは微笑んだ。「押されていた時間も、全部含めて計算してたよ♠」
カイウスはゆっくりと息を吐いた。
「そうか」
審判が改めて結果を宣言する。
ヒソカ、ポイント到達による勝利。
---
医務室のベッドで、カイウスは天井を見ていた。
肋骨の処置は済んでいる。内臓へのダメージも深刻ではないと言われた。第四の発を使えば数分で全快するが——今はまだ、使いたくなかった。
この痛みを、少し感じていたかった。
扉が開く音がした。
「生きてる?」
リラだった。
「生きている」
「よかった」リラは椅子を引いてベッドの横に座った。顔が少し強張っている。心配していたのか、とカイウスは思った。「痛い?」
「肋骨が折れている」
「それは痛いね……」
少し沈黙があった。
リラが静かに聞いた。「どうだった」
カイウスは天井を見たまま、少し間を置いた。
「負けた」
「うん」
「「捌」は通った。完全には防げなかったが——腕を落とすだけに留められた。そこまではこちらが想定した範囲だった」
「でも」リラが言いかける。
「腕を切ってから、押せていた」カイウスは続けた。
「流れはこちらにあった。そう思っていた。しかしヒソカは押されながらも、切断した腕の制御を手放していなかった。俺が優勢だと感じていたその時間ごと、仕込みの一部だった」
「……全部計算してたんだ」
「試合を通じて俺の「解」の切断限界を測っていた。それを超えたオーラを腕に込めて、俺が最も気を抜く瞬間に放った。俺は切れると思って撃った。切れなかった」
「読まれてたんだ」
「最初から、仕込まれていた」
リラはしばらく黙っていた。
「悔しい?」
カイウスは少し考えた。
「……ある」
「そっか」
「だが」
リラが顔を上げる。
「何かが、少し分かった気がする」
「答え?」
「分からない。まだそこまでは整理できていない。ただ——戦いの中で、初めて「足りない」と感じた」
「それって」リラが静かに言った。「前は感じなかったの?」
「感じなかった。勝てる。そう思っていた。目的がない状態でも、勝ち続けることはできていた」
「でも今日は、足りないと思った」
「ああ」
カイウスは天井から視線を外し、右手を見た。
「足りないと分かった。それだけでも、今までとは違う。」
リラは何も言わなかった。ただ、少し微笑んだ。
「じゃあ、試合には意味があったんだ」
カイウスは右手を閉じた。
返事はしなかった。しかし——否定もしなかった。
なんか、リラがヒロインしてるんですよね。
立ち位置としてはゴンにとってのキルア的ポジションを想定しているんですけど……いや、キルアはヒロインか??
『捌』
◯系統
放出系、強化系、操作系
◯能力
対象に直接触れた際、オーラ量・身体強度・防御状態・念防御の厚さなどを解析。
解析結果に応じて、対象へ最適化された威力の斬撃を放つ。
◯使用方法
1. 相手に直接触れる
2. 相手の情報を取得する
オーラ量、肉体強度、防御状態(堅・硬など)
3. 必要な威力を演算
4. その威力の斬撃を放つ
◯特徴
・放出系+操作系が主で、強化系は補助程度
・触れた瞬間に相手の状態を記録し、その情報をもとに斬撃の出力が自動調整される
・自分のオーラを操作系オーラで自動制御し、オーラが勝手に演算ー最適な威力に調整される
◯制約
・斬撃対象に直接触れる必要がある
(放出系の長所である遠距離攻撃を捨てている)
・生涯に渡り、〇〇に〇〇〇を行使できない
制約を考えてて思ったのですが、各系統の長所を捨てるっていうのはかなり大きいのでは?
例えば強化系が自己強化を捨てて、武器の強化に全振りする発とか作ったらめっちゃ強そう…ドッグマンとか肉体以外を強化した例もあるしセンスとアイデア次第で出来るか?