醜い私が逆転世界で暮らす   作:バルバリッチ

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しおりの気持ち

 ほんがすき。

 いろいろなところへつれていってくれるから。

 

 ほんがすき。

 みんながしらないようなことをおしえてくれるから。

 

 ほんがすき。

 わたしとみんなを、いっしょにしてくれるから。

 

 

 いつから? わからない。

 でも、いつもわたしにはほんがあった。

 おそとであそばないの? っていわれること、あるけど。

 

 でもほんをよむほうがたのしい。

 ともだちはえほんのなかのどうぶつたち。

 

 たのしそうで、にぎやかで、いつもいっしょ。

 だからひとりはさびしくなかった。

 

 ……でも、すこしだけ。

 ほんのすこしだけ。

 

 

 ほかのこが、ともだちとあそんでるのみて。

 

 

 すこしだけ、うらやましかったの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようちえん。

 ずっとおうちだったのに、きづいたらいた。

 しらないこばっかり。

 それに、うるさい。

 

 ほんがよめない。

 いろいろなほんがあるのは、うれしかった。

 おうちにはない、おもしろいほんがたーっくさん、おいてあった。

 

 まいにちまいにち、ほんをよんだ。

 わくわくした。

 つぎはなにをよもう。

 

 なにかにぶつかった。

 

 

 

「うわっ!」

「あぅ……」

 

 

 いたい。

 ころんじゃった。

 ほんは……よかった、だいじょうぶ。

 

 

「いたい! いたいぞ! おまえ……」

「あ、ご、ごめんなさい」

 

 

 おとこのこ。

 こわい。

 いつもいじめてくる。

 ほんをとって、どこかにかくすの。

 

 でも、わたしも、ごめんなさい。

 ぶつかったの、みてなかった。

 

 

「おい、いまぶつかったよな!」

「ご、ごめんなさい……」

「いたかった! いたかった!」

「だいじょうぶ? しょうたくん」

「だめなんだー」

 

 

 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……

 うぅ、こわいよ。

 おこってる……。

 

 どうしたらいいの?

 

 

 あ、いたいのは、いや……

 

 

「落ち着いて。大丈夫だから」

「!? なんで! な……」

 

 

 ……いたくない?

 

 だれ?

 おとこのこ……しらないこ。

 

 

「大丈夫?」

「……ぁ、だいじょ、う……」

 

 

 こえ、でない。

 こわかった。

 たてないよ。

 はっ、はっ、いき、が……

 

 

「大丈夫、大丈夫」

「……ふぅ、ふぅ。あ、ありがと……」

 

 

 なでてくれた。

 やさしい。

 なんでだろう?

 このこ、しらないこなのに。

 どうしてやさしくしてくれるの?

 

 こわい。

 おとこのこは、わからない。

 でも、やさしいかお。

 

 

「あ、ごめんね。顔、怖かったよね」

「え。あ、うぅ、その……だいじょうぶ。こわい、けど……やさしいから」

 

 

 こわいけど、おちつく。

 なんだかあんしんする。

 

 えほんみたいなおとこのこ。

 

 

「このほんのね。このこ。こわいかおしてるけど、とてもやさしいんだよ」

 

 

 わたしのだいすきなえほんのこ。

 とてもやさしくて、いつもいっしょで、まもってくれる。

 

 

「こまってるとき、このこはだれもみすてないの。みんなにきらわれても、なにしても。それでね、みんなのにんきものになるの!」

 

 

 このおとこのこ、このこにそっくり。

 ほかのこは、いつもうるさいし、ほんをとるし、おしゃべりもこわい。

 だけど、やさしくて、それで……

 

 にんきものなのかな。

 ともだち、いっぱいいるんだろうな。

 

 

 でも、わたしも……ともだちに、なってみたいな。

   

 

 

 

 

 

 

 ゆうとくん。

 おとこのこのなまえ。

 ことば、おしえてくれる。

 

 わからないところ、いつもいっしょに。

 ゆうとくんといると、いつもよりたのしい。

 

 ほんが、いつもとちがってみえる。

 おはなしが、かがやいてみえる。

 

 いっしょによむって、こんなにたのしいんだ。

 ……あっ、あたま、なでてくれた。

 

 うれしい。

 もっとなでてほしい。

 ほんもすき。だけど……

 

 ゆうとくんも、すき。

 

 

 

「どうしてこない!」

 

 

 

 ……? だれ?

 しらないおんなのこ。

 

 こっちくる。

 ゆうとくんとなにかはなしてる。

 

 ……いいもん。

 わたし、ほんのことしかすきじゃないもん。

 ふたりで、すきになって。

 

 

 ……。

 

 

 

 やっぱり。さびしいよぉ。

 ゆうとくんは、わたしのともだちなのに。

 

 

「……あの、わたしも、ここにいる……」

 

 

 ひとりにしないで。

 わたしも、いっしょにあそびたいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 ゆうとくん、みくちゃん、みおんちゃん。

 ともだち、たくさんできた。

 ほんをよむのもたのしい。

 

 でも、ともだちとあそぶのも、もっとたのしい。

 みくちゃん、やさしい。

 

 いつもえがお。

 ゆうとくんといっしょ、ことばおしえてくれる。

 

 

 みおんちゃん、ちょっとこわい。

 でも、さいごはやさしい。

 

 ……これが、つんでれ? なのかな。

 ほんにのってた。

 かわいいって。

 

 

 ……うん。なんだか、おにんぎょうさんみたい。

 

 

 ぷーるにみんなではいった。

 つめたくて、きもちよかった。

 

 またあそびたいな。

 みんなだいすき。

 

 わたしの、だいじなおともだち。

 ずっと、いっしょがいいな。

 

 

 

 

 

『『『しおりちゃん、お誕生日おめでとう!』』』

 

 

 ふふふ。

 うれしい。

 いつもよりも、もっともーっと、うれしいな。

 

 みくちゃんと、みおんちゃんと、それと……ゆうとくん。

 おかあさんも、みんなえがお。

 

 いろいろなぷれぜんと、もらった。

 うれしい。

 でも、ともだちがおたんじょうびをしてくれたのが、もっとうれしい。

 

 

 わたしは、ほんがすき。

 

 

 ううん、ほんもすき。

 

 

 

 ともだちとみんなが、いちばんだいすき。

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