破典聖杯戦争 ~黒髭エドワード・ティーチがオタ落ちした日~   作:若槻 風亜

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第2章 混沌の足音
【Fate】第2章 混沌の足音【破典聖杯戦争】①


 

 

【挿絵表示】

 

 

 ティーチが初めてアニメに触れてから1週間。出会いからは10日が経過した。現在健人とティーチは――

 

「おっしゃあ覚悟しろ健人! 今度こそ貰ったぜ」

 

「甘いでござる。隙あり」

 

「あっ、ちょっ、お前連続技は、壁嵌めって、だーーっ、くそまた負けた!」

 

 ――格ゲーを、している。

 

「てめぇちょっとは手加減しろや!」

 

「だってライダーさん前回手加減したら怒ったじゃないですか」

 

 コントローラーを放り投げ――かけて、1つすでに壊していることを思い出したティーチは少し強めに床に置く。

 

 まだ少し怯えているが、健人は少しずつティーチの乱暴な言葉遣いにも慣れ、今では対等にゲームをしつつ自然と応酬出来るまでになっていた。

 

 観ていたアニメから原作漫画に興味が向かい、漫画も面白い、となってからのティーチの興味の拡張は早かった。

 

 紙の漫画から始まり、タブレットを渡せば健人が買い集めた電子の漫画もどんどん読み進め、さらには最初敬遠していたゲームにまで手を出し始め、そして今では格ゲーの対戦が出来るまでに至っている。

 

 昼夜問わず創作物にのめり込んでいるティーチの一番の名言は「俺ぁこの時ほどサーヴァントで良かったと思った時はねぇな。余計な時間使わねぇで済む」だろうか。

 

 他にもありそうだが、健人も素直に羨ましいと思ったので心から羨ましがっておいた。健人だって平日休日時間どれも関係ない身ではあるが、やはり食事・睡眠・排泄などの時間はどうしても必要になる。生き物の不便なところだ。

 

「くそ。今度は銃で勝負だ。そっちなら負けねぇぞ」

 

「あ、じゃあコントローラー変えますね。……今度は絶対勝つ」

 

 この数日ですっかりゲーム機に慣れたティーチはしっかりゲームを止める操作を行ってからディスクを取り出した。

 

 その間に、健人は先日使った後、また使うだろうからと脇に寄せていた銃型コントローラーを再設置し始める。ぼそりと小さい声でした決意表明は悔しさから。

 

 色々なゲームを体験させている内にシューティングも当然通ったのだが、最初こそ健人が勝ったものの次は引き分け。その次が接戦の末に健人が負け、最後の1戦では圧勝されてしまった。

 

 ただのゲーム機ではあるものの、銃の扱い、という点において、ティーチは本人の技量に加えサーヴァントとして補正が働くらしい。当人の逸話が関係しているのだ、と話していた。

 

 だがそんなことはどうでもいい。始めたての初心者にフルボッコされたのが悔しくて仕方ないのだ。負けず嫌いなタイプではない健人がこのように思うことは珍しいのだが、本人にその自覚はない。

 

「ああ、そういやよ」

 

「はっ、はい!?」

 

 まさか聞こえたか。跳ねる心臓を抑えながら大げさに振り向けば、ディスクを入れ終わったティーチが歯を見せて親指を立ててくる。

 

「昨日の夜、アサシンが落ちたぜ」

 

 あさしんがおちたぜ。

 

 告げられた言葉の意味が脳内で変換出来ず、健人はしばしフリーズした。

 

 やや間を空けて理解に至ると、健人は自分が殺し合いの最中(さなか)に身を置いていることを思い出し、両手に持っていた銃型コントローラをまとめて取り落とす。

 

「どどどど、どういうことっですか? アサシン? 暗殺者? 来たんですか? うちに??」

 

震えながらにじり寄りティーチの服を力いっぱい掴む健人。それを額を押すことで抑え、ティーチはぶつけられた疑問に軽く「NO」を突き付けた。

 

「あー違ぇ違ぇ。流石に戦闘になったんなら熟睡してようが叩き起こすわ。そうじゃなくてよ、昨日の深夜、お前が寝てからいくらかしてからこの近くで戦闘があったんだよ」

 

 

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