能力が〈生体改造〉だから能力作って売ることにした   作:弐哉

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第28話 『自律制御を行う能力』:オートにできない

 さて、セルネによれば〈レサト〉は自由自在に使えて、手で持って使うのと変わらない動きができたとのこと。

 テストの結果は良かったようだ。

 

「ただ……少しだけれど、気になる部分もあったわ」

 

「何? 問題でもあった?」

 

「問題というほどではないけれど、機敏な〈レサト〉は一つしかないのが不都合ね」

 

「あー、そこか」

 

 機敏に動くのは一つだけ、というのは構造上の問題だ。

 能力を二重に発動して遠隔操作性を上げられるのは、あくまでも二重発動の対象にしている〈レサト〉一つだけである。

 

 複数の〈レサト〉を操作した場合、二重発動の〈レサト〉以外は一つ分の〈遠隔接続〉しか使えないため従来通りのイマイチな動きになってしまうのだ。

 

「一つずつ使えばいい話ではあるけれどね」

 

「いやまぁ、物量を意識した装備ではないからそれでもいいけど……」

 

 機動性と操作性を重視した装備であり、同時かつ大量に運用することは想定していない。というか目標ではなかった。

 だからそこまで求めるのはちょっと話が違ってくる。

 

 とはいえセルネが言うように使い方で解決すればいいわけだから、どうにもならないわけじゃない。

 

 同時ではなく一つずつローテーションで使えばいい。

 使っていて防がれたり、避けられたり、壊されたりと都合が悪くなったら、都合の良い別の〈レサト〉に操作を切り替えるのだ。

 

 いろいろまとめて考えると使い捨てる運用なら相性が良いかもしれない。

 大量に用意して一つずつ使い捨て前提で動かしていく。

 そうすれば欠点も少しは補えるだろう。補えるだけだけどね。

 

「それと動かしやすいのは良いけれど、自分で動かさなくてはならないからちょっと負担が大きいわ。〈レサト〉を操作しながら私自身も戦ったりは出来ない……いえ出来なくはないけれど、かなりの慣れが必要ね」

 

 うーん、それもなぁ。

 操作しながら自分も戦うことは考えてなかったし……でも使い方としては別におかしくないんだよね。むしろ当然というか。

 

 僕は〈レサト〉を遠隔攻撃手段と見ていたけど、セルネは手数と見ていたわけだ。

 例えるなら銃なのか支援ユニットなのかの違いだろう。

 

「でもオートはなぁ……難しいんだよね。というか出来ない」

 

「脳を改造できないものね」

 

「そう」

 

 セルネの言葉に頷く。まさにその通りだ。

 

 僕の〈レサト〉は――というか僕の能力で作る「すべて」は、オートにできない。

 必ずマニュアル操作になってしまう。

 

 その理由は僕のギフト〈生体改造〉が脳を改造出来ないことにある。

 脳を作れず改変できず、可能なのは破壊することだけ――そういう制限があるからだ。

 

 脳を作れず改変できないということは、すなわち自律制御や情報処理を組み込めないということである。

 

 ホムンクルスのような人擬きを作れない。

 AIのような自己判断する疑似人格を作れない。

 プログラムを実行する制御ユニットのような命令を実行する機能を作れない。

 そしてそれらが出来ないということは、自律制御機能を作れないということだ。

 

 だからレサトを含め僕が能力で作るものは、すべてマニュアル操作。

 基本的に自動ではなくすべてが手動。

 持ち主が付き合ってあげなければならないのである。

 

「アイデアはあるんだけどね。能力の制限で引っかかっちゃうんだよね」

 

「厄介な話ね」

 

「本当にね……まぁそれ以外の部分が便利すぎるから、玉に瑕って感じかな」

 

 前世の世界に存在したコンピューター技術というものは、とんでもなく便利で素晴らしいものだった。

 僕は今になって強くそう思っている。

 

 いやぁ、FCS――射撃統制システムみたいなものを作れたら革新的なんだけどなぁ。ブレイクスルーでレボリューションだ。

 

「実現するとしたら『脳を複製して制御させる』みたいな身体改造じゃなくて、『自律制御する能力を付与する』っていう能力付与の方向になるかなぁ」

 

「そうよね。〈限定接続〉や〈遠隔接続〉のような制御系能力が存在するのだから、『自律制御を行う能力』みたいなものもあると思うし」

 

「あるといいんだけどね」

 

 まだ見つかってないんだよなぁ。

 あるかどうかすらわからない。

 だから実現できたらラッキーくらいの夢だね、これは。

 

「ところで、フェリシアの入金はあったの?」

 

「一月も経っていないし、流石にまだだね」

 

 次なる話題はフェリシアの件となった。

 僕は彼女にサービスを提供したが――それには当然、代金が発生している。

 

 ちなみに支払い方法は送金だ。

 といっても振り込みとかではない。

 送金専用の疑似魔具を渡しており、それを使えば金銭のみを〈千変万化〉の店舗に転移させることが可能なのである。

 

 仕組みとしては〈転送タグセット〉そのものだ。

 セルネがドロップ品を送るのに使っているアレと、ほとんど同じってことだね。

 金銭用に少し調整した程度の違いしかない。

 

「それもそうね。彼女の場合は店の娘とはいえ雇われだし、すぐ手元に入るお金はないもの。もうしばらくかかりそうね」

 

「そうだね。もっとも、それなりの対価は既に貰っているともいえるけど」

 

 僕の目的は金銭ではなく変化だ。

 フェリシアの周囲の変化は非常に大きく、遠目に見ていても面白い。

 良い変化を見ることができたという意味で対価を貰っていると言えなくもない。

 

 とはいえ契約は契約。

 変化を理由に減額するようなことはない。

 契約上の対価はしっかりときっちり頂く。

 僕のその方針は今でも同じだ。

 そして、これからも。

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