異世界バトルドロイド軍団   作:サイリウム(夕宙リウム)

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18:何考えてんだ私

 

 

『ふむ……。この程度でしたら何とかなるでしょう。安静が必要ですが、十分に回復可能です。後に響くこともないかと思われます。』

 

「ほんと!? 良かった……!」

 

 

とまぁそんなわけで。

 

ウチの船から文字通り飛んできたくれたメディカルドロイド。彼にルーちゃんの診察を任せ、それがちょうど終わった感じだ。

 

7徹という狂気の所業であったが……。元々、頑強な肉体を持っていたのだろう。長期間ベットに縛り付けて休息を取らせる必要はあるが、無事復帰できるようだ。

 

正直。あんなもの見せられちゃったせいで、私の中での彼女の票かはうなぎ登り。謎に『大親友』呼びしてくるというヤバさこそあれど、ここで失うには惜しい人材なのだ。とにかく無事で何よりです。

 

 

「いや、ホントにごめんね急に呼び出して。大変だったでしょ?」

 

『いえいえ。我らメディカルドロイドは、基本暇をしておりますから。それに、人の患者様は本当に久しぶりなのです。確か……、エリンさんの御母君でしたか? 彼女を担当したドロイドもかなり嫉妬されていたようで。』

 

 

今日から私もそれに仲間入りですねぇ! なんて笑いながらそう言うドロイド。

 

彼はウチの船から、光学迷彩や消音機能を付けた改造ビーグルでここまでかっ飛んで来てもらったんだけど。この反応を見る限り特に問題なさそうだ。というかむしろ、人の治療に携われてやる気がアップしているようにも見える。

 

ルーちゃんに対する、医者としての『徹夜するぐらいなら寝ろ!』というもっともなツッコミは勿論あるようだが……。うん! まぁニコニコしてるならヨシ!

 

 

(にしても……。とんでもないモノ生み出しちゃって。)

 

 

そんなことを考えながら、ルーちゃんが生み出した『魔法銃』を手に取る。

 

彼女が産み出したこの存在。スクロールの特徴である『一度きりの使い切り』を鉄の砲身に魔法陣を描き、魔石をエネルギー元とすることで解消したこれは、正にゲームチェンジャーと言える存在だ。

 

火縄銃が流れ込んだ際に戦場が一変した過去の日本のように、銃火器の発展によって騎士の有用性が薄れ革命が起きたフランスのように。

 

もしこれをこの星の一般市場に流せば……、どえらいことが起こるだろう。

 

 

(マッドに調べて貰って分かったけど、あのゴブリンとか言う魔物の強さはそこまでだ。一定の防具と訓練さえ施せば、誰でも倒せる雑魚魔物。)

 

 

まだ幼いエリンちゃんであっても、1対1という状況。そして彼女に鉄の槍でも持たせれば、普通に殺せてしまうような魔物が、ゴブリンだ。

 

そんな最弱ともいえるゴブリンの魔石で、この『魔法銃』は起動できてしまう。

 

まだ調査が不十分なため、解らないことも多いが……。確実に今いる魔法使いたちの地位は失墜するし、戦場のルールも変わる。圧政を敷いている貴族などは反乱に手を焼くことになり、現状の社会体制の崩壊も起こりうる。

 

 

(勿論、私達のドロイド軍団。その強化にも使えるんだけど……。使い方次第ではこの星を手中に納めるぐらいは出来てしまう事だろう。)

 

 

現在私の手元にあるドロイドや、各種ブラスター。

 

これらは根本からして、この星の技術と違う。

 

SF世界の存在故に、発展しすぎていて現地住民にいらぬ不安を植え付けかねない。それに、使い方次第ではこちらの想定以上の結果を生み出す可能性を秘めている。セーフティなどは勿論存在しているが、悪用方法を色々思いついてしまう以上、完全な管理は不可能だろう。

 

つまり。“こちら側”の存在を外部に提供するのは消極的になるべきだ。

 

しかしながら、この魔法銃は。

 

正真正銘この星の技術体系に則り、作成されたもの。

 

 

(この星の技術力じゃまだ量産は出来ないだろうけど……。だからこそ“独占”出来る。そしてドロイドたちに比べれば、各段に“受け入れ”やすい。)

 

 

市場に流せば一定の混乱は起こるだろうが、人間と言う種族は逞しいもの。すぐに順応し、活用法を模索するだろう。そしてこの値段を安価に設定しておけば……。一般市民、“被支配者”にも手に入れることが出来る。

 

そこから先は、混乱の時代だ。

 

一般市民が手軽に横暴な支配者を殺せるようになり、より混乱が広がる事だろう。出所を調べようにも、こちらが隠れてしまえば露見することはほぼない。各地の支配者たちが反乱に怯え、死の恐怖に苛まれる時代がやって来るだろう。

 

 

(そんなとき、私が手を差し伸べてやる。)

 

 

魔法銃でもいいし、それこそドロイドでもいい。

 

力を求める者に分け与え、支配者から適切な評価と金銭を得る。無論反乱を企てる市民たちに支援してもいい。適度に荒れさせ、世界全体を混乱に染める。

 

後はちょうどいい具合に“この惑星における支配体制”が崩壊したタイミングで。

 

全てをひっくり返すだけ。

 

 

(多分この魔法銃、私達SF産の技術とかなり相性がいい。セーフティを仕掛けておいてこちらで一元管理してしまえば……。一瞬でこの星を落せてしまう。)

 

 

各地にドロイドを適切に配置し、一斉にセーフティを起動させ無力化させる。

 

もしそのセーフティを解除されてしまっても、言ってしまえばその程度。こちらが生産を独占している以上、脅威度は簡単に推測できる。ドロイドの物量で押し潰してもいいし、面倒なら砲兵を並べ全てを“耕して”しまえばいい。

 

まぁ、それを為すには手元のドロイドが少々足りないため、選択肢には成らないが……。

 

 

(1国くらいなら現状戦力でも可能。)

 

 

後は簡単なもので、支配した国の鉱山あたりを完全に掌握し、開発。ドロイドの生産施設を整え量産することにより、星を管理するに足るだけの数を用意してしまう。

 

あとはさっきやったようなこと、混乱を引き起こしながら“乗っ取り”を企てることで、武力制圧をしてしまえばいい。ここまで来れば私自身が指揮を取る必要もなく、配下の戦術ドロイドたちに任せて昼寝でもしておけばいい。

 

寝ているだけで世界征服。ふふ、夢がある話だよね。

 

 

(その後の統治に気を掛ける必要はあるが、基本“以前よりも優しく”しておけば不満が溜まることはない。犯罪に対しては厳罰を敷き、一般人に対しては暮らしやすい世にする。)

 

 

そうすれば、必要以上にひっくり返される心配をする必要はない。

 

まぁそもそも、この星の戦力で真面な反乱が出来るとは思えないが……。

 

支配体制が確立した後は、原住民たちはそのままの生活を送って貰い、星自体を資源惑星化する。人手はドロイドで事足りるため、わざわざ徴用する必要もない。未だ未知とも呼べる魔物の生態調査と、魔法と言う未知の法則に対する調査を重点的に行いながら、惑星の最適化を行っていく。

 

 

(有用性を見いだせた魔石の生産牧場当たりを作る、ってのもアリだね。)

 

 

どこまで出来るか解らないが……。

 

ウチの戦艦のデータを元にして、宇宙船舶の生産まで手が伸びれば、後は簡単だ。そのまま連合国に戻って今回手に入れたものを渡してもいいし、この地に新たな星間国家を樹立し、連合国と取引してもいい。

 

あちらが『武力制圧』を行う可能性もあるが、自身は既に連合国内で使える“伝手”を複数保有している。ウチの本社であるンャチタナア・オートマタ社あたりを巻き込んでもいいし、支社をこっちに設置する条件で支援を受けてもいい。あとは記者あたりを巻き込んで市民感情を爆発させることも可能。

 

そう簡単に、潰されないだけの“手札”は揃っている。

 

後は適度に戦力を拡大していけば……

 

 

「……うん? 何考えてんだ私?」

 

『何かございましたか、艦長。』

 

「あ、ごめんねメディック。ちょっと変なコト考えてた。……いや何考えてんだ私?」

 

 

確かに“必要なら”さっき考えていたのも手段の一つではあるし、実行もするだろう。しかし私が取る手段としては、少々血生臭さ過ぎる。

 

なんだよ武器流して反乱起こさせるとか。どこぞの犯罪国家か?

 

それに、魔法や魔物と言った未知の存在が多すぎる以上、安易に侵略行為に走るのは褒められた行為ではない。再度予測計算してみれば、まぁ出来るっちゃ出来るだろうが……。現状、私に『する必要』はない。

 

うん、却下だね却下。

 

 

「ドロイドの人権ないからさ、連合国を飛び出して独自の星系国家作っちゃお、ってのはまぁ大賛成ではあるんだけどさ……。あの国、まだまだ利用価値があるんだよねぇ?」

 

『……なんかすごい事を言ってませんか、艦長?』

 

「あはー! メディックも一緒にやる? 楽しいよ横領! 軍上層部を嵌めて、良い感じに財産吐き出させるの! もう脳汁ドバドバ!」

 

『き、聞かなかったことにしておきますね……!』

 

 

とまぁそんなわけで、私の目標は未だ変わっていない。

 

物資補給が出来ないから、現地の鉱石について情報を集めよう!

魔法と魔物について調べよう!

それに対抗するため、現地技術で使えるモノを活用しよう!

 

この、3つだ。

 

ちょっと魔法に対する私のやる気というか、意欲が強くなっちゃったのでそれ以外が疎かになってしまったが……。一応、全部ちゃんと進めている。

 

まぁその辺りは今後、纏めて処理するとして……。

 

今はこの『魔法銃』に関することだ。

 

 

「改造とか量産とか、刻み込む魔法についてはルーちゃんが復帰した後にすることにして……。アレだ、『魔石』だけは先に集めちゃおう。」

 

 

元々、換金用素材として集めていた魔石だが……。武器として、正確に言うならば“弾薬”としての活用法が判明した今、安易に売ることは出来ない。むしろお金を払ったとしても、これをかき集める必要があるだろう。

 

とまぁそう言うことで。

 

 

「魔物の大討伐計画。やっちゃおっかな?」

 

 

私達が墜落したあの大きな森。結構多くの魔物が住んでたみたいで、定期的な襲撃を受けてるんだけど……。そのすべてを適宜撃退している。

 

手に入れた死体は適宜マッドに渡すようにしてたんだけど……。不定期で現れて襲い掛かって来る彼らの対処をするのも、手間だ。ここはもう大規模的にドロイドを投入し、その森一帯すべての魔物を処理してしまうことにしよう。

 

 

「私は魔石が手に入って幸せ。近くに住んでるエリンちゃんたちは周囲が安全になって幸せ。マッドは治療できる検体が増えて幸せ。う~ん、これが三方良しってやつか! 素敵だ……!」

 

 

まぁマッドは“正常な医師”らしいので、どんどんと運び込まれていく魔物を死体を見れば、心を痛めるだろうが……。アイツはもう狂っちゃって手の付けられないヤバい奴なので、放置だ。

 

業務“には”とっても従順なので、彼の狂い具合に合致した指示さえ出しておけば、暴走することはない。あの船の中にゴブリンとかオークとか、それ以外の魔物がいっぱいくっつけられた恐怖のキメラが量産されることになるだろうが……。

 

うん! あとでお坊さんでも呼んでお経あげてもらお! 鎮魂!

 

 

「……ところでメディック? 魔物の宗派って解る? ほら、こういうの間違えたら面倒じゃない。」

 

『し、死んだ後のことは私の管轄外ですので……。』

 

 

 






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次回は魔石ブチ集めタイムです。
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