異世界バトルドロイド軍団   作:サイリウム(夕宙リウム)

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21:戦闘後だぞ!

 

「とぉ、コレがドラゴンちゃんか。想像通りの“レッドドラゴン”ってやつだねぇ。……火、吹いてたの?」

 

『あぁ、だがオレ様のシールドで防げる程度だったがよォ?』

 

『そこのD3ドロイド。我らが神に対して不敬ではないですか? 単なる一兵風情が神の御前に立てるという……』

 

「あ~、シスター? それぐらいでね、うん。」

 

 

D3ドロイド。彼の少々強気な口調が勘に触ったのだろう。

 

私からすれば可愛いものと言うか、D1ドロイドと比べれば格段に礼儀が分かってる方なんだけど……。

 

ウチの狂信者筆頭は、違ったらしい。

 

お説教というか、口答えした瞬間に自身の大砲で消し炭にしてやると言外に言っているというか、既にその砲口を向けていた彼女。私が止めなきゃ次の瞬間には砲弾をぶち込んでいただろうが……。こちらの声に反応し、すぐに収め綺麗な一礼を返してくれる。

 

彼女こそ私の軍団に所属する砲兵ドロイドの一人であり、彼女達の長である『シスター』ちゃんだ。なんか顔を合わせた次の日から狂信者にランクアップしててビビった子でもある。

 

ま、まぁ『マッド』よりは各段に扱いやすいから……

 

 

(にしても、コレが“ブラスター”を、ねぇ?)

 

 

眼前に横たわる息絶えた龍に、手のひらを当てる。

 

ドラゴンに襲われた部隊から支援要請を受けた後。こちらの作戦は完璧に成功した。

 

墜落する瞬間にD3ドロイドがシールドを展開することで、頭部だけを地面にたたきつける。即興だが自身が作った策が綺麗に嵌り、その脳と首を綺麗に折った、と言うわけだ。

 

ここまで運んで来ても一切の反応を見せず、その心音も聞こえぬことから完全に息絶えていることは解るのだが……。

 

 

(普通に暖かくておもろ。)

 

 

触れた瞬間に理解できる、ほのかな熱。おそらく火を噴くタイプのドラゴンだったため、何かしらの発熱機構が備わっているのだろう。

 

……D1ドロイドたちの戦闘を見た所、森の中での火炎ブレスだったのにも関わらず、周囲への延焼が少なく見えた。全くなかったわけではないが、ドロイドを焼き尽くす温度のものにしては、いささか周囲への影響が少なすぎる。

 

 

(確実に魔法由来なんだろうけど……。)

 

 

完全に魔法だけで火を出すタイプのドラゴンだったらいいんだけど、ガスと併せて出すタイプだったら誘爆の可能性がある。まだまだ分からないことばかりだし、事故だけは起きないようにしないと。

 

そんなことを考えながら、ドラゴンに対して様々な機器を押し当てているメディカルドロイドや、エンジニアドロイドを眺めていると、シスターがこちらに声をかけて来る。

 

 

『神よ。エンジニア・ドロイドたちの調査によると、その鱗は我々が良く知る“対ビームコーティング”に近しい構成をしていたようです。程度の低いものでしたので我ら砲兵の火力の前には意味を成しませんが……』

 

「……なんで彼らじゃなくて、君が報告してるのかって疑問は置いておくとして……。通常ブラスターじゃ駄目ってわけだね。」

 

『自身の方が階級が上ですので。』

 

「ア、ソウイウ……。」

 

 

彼女はドロイドの中でも師団長クラスで、かなり偉い方。私よりは下なんだけど、メディックやエンジニアよりは各段に上。その権力を悪用して、私と言葉を交わす時間を捻出したのだろう。

 

こういうの止めさせた方がいいのかな。でも私って言う一番悪いお手本が目の前にいるしなぁ……、なんて思いながら。軽くドラゴンの鱗を叩いてみる。

 

こんこんと返ってくる音から流石に強化合金レベルの固さは無いようだが、それでも下手な金属よりは固く、同時に軽さもある。その上簡易な対ビーム機構が備わっているとなれば、少々面倒な相手と言えるだろう。

 

少なくとも、数にかまけてD1ドロイドを大量に送り込んだ場合。待っているのは文字通りの全滅だ。

 

現状この個体しか見つかっていないが……。

 

 

(このドラゴンが“上限”とは思えない。他にも似たような存在がいるかもだし、落下からの脳破壊コンボで倒せるってことは、この星の人間でも撃破可能。つまり“装備”が作れるはず。)

 

 

ちょっと力を込めて鱗をちぎってみると、結構簡単に取れるソレ。

 

これを上手く張り詰めて鎧なんかにしてみれば、この星では最上位レベルの装備が作れることだろう。軽くて硬くて強い。正に最強の素材ってわけだ。現状人類との敵対は考えていないが……、いずれそういうのが出てきてもおかしくないのは、覚えておく必要があるだろう。

 

……ま、とにかく。『ウチの技術で解明できる』素材だったことは喜ばしいね。

 

 

「これが『未知の構成で何でビーム跳ね返すか解らん!』とかだったら今頃頭抱えてたからねー! あはー!」

 

『まさか! 我らが神に限って、そのようなコトはッ!』

 

「……し、シスターちゃん? 一応、ジョークの類なんだけど。ま、まぁいいや。コイツの更なる調査とか、どうやって有効活用するかは今後考えるとして。」

 

 

問題は、コイツが何故ここにいるのか、だ。

 

私個人だけであれば、この鱗の使い道とか、ドラゴンの顔が結構イカしてるから剥製にしようだとか、どれだけおっきな魔石が埋まってるんだろうなとか、そういう“趣味全開”な事が出来ただろうが……。

 

 

(一応、ドロイド軍団たちのトップやってるからねぇ? 仕事はしませんと。)

 

 

前にも言ったが、以前の周辺調査及び索敵では、このような存在を発見することが出来なかった。ウチのドロイドたちの大半がポンコツであることを考えると、見落としていた可能性も十二分にあるのだが……。

 

それでも、こんな巨体。大きさにして一軒家から一回り大きいほどのドラゴンを見落とすのは難しいと考えられる。

 

まぁ早い話。“外”からやって来たのだろう。

 

 

「翼があるし、空を飛んできた。単にこのドラゴンがこっちに偶々来たって可能性はあるけれど……、原因として一番考えられるのは私達の“墜落”。衝撃が大きかったがゆえに、何が起きたのか調べに来た。」

 

『……我が神、こちらの対空レーダーに反応が無かったのも問題かと。』

 

「だね~。」

 

 

私の代わりにシスターが言ってくれたことに、軽く返事をしておく。

 

おそらくこの鱗が私達の言う“ステルス”と同じ効能を発揮したのだと言うことは推測できるが……。

 

 

「こりゃ、もうちょっと厳重な防衛戦築いた方が良さそうだね~。レーダーは当分保険扱いにして、対抗策。あとで魔力周りでの検知が出来ないかルーちゃんあたりに相談するとして……。“シスター”?」

 

『如何様にもお使いください。』

 

「そう? 助かる~!」

 

 

彼女達砲兵ドロイドは、総じて目が良い。観測機がなくてもある程度効力を得られるように、高性能なカメラを搭載しているのだ。

 

つまり、彼女たち『スカーレット砲兵師団』による目視での警戒網の構築、ってわけだ。ちょうどその右肩にはガチガチの巨砲が乗っているわけだし、今回みたいなドラゴンが私の船を襲おうとした瞬間、対空砲撃としてズドン。ぱぱーッと処理してもらおうとっていう魂胆だ。

 

正直、これで万全とは言えないだろうが……。少なくともマシに成るはずだ。

 

 

(“単に私達の墜落が原因ではない”なら……、これ以上の対策は特にいらなそうかな?)

 

 

ま! このミクニちゃんは?

 

スーパーハイテクな高位戦術ドロイドの?

 

ハイエンドモデルですので?

 

その他色々考えちゃってるんですけどねー!

 

 

「その辺はまた追々! う~し、んじゃちょっとあの子に話でも聞いてみようかな? 病み上がりみたいなもんだから気が引けるけど! というわけでシスター! 砲兵ちゃんたちへの配置換え通達! よろしくねー!」

 

『畏まりました。……それで、我らが神よ。御身のお時間を取らせてしまい大変申し訳ないのですが、少々よろしいでしょうか?』

 

「相談事? もっちろん! このミクニちゃんにまっかせなさ~い!」

 

 

大きく胸を張りながら、そう言ってあげる。

 

彼女達砲兵ドロイドはかなり高性能な人格コアを乗せているおかげか、D1ドロイドたちとは比べ物にならない知性を宿している。流石に戦術ドロイドたちには劣るのだが……。

 

色々と活用方法があってね?

 

弾道計算することを前提に設計されているから、元々計算能力が高い。しかも師団規模で私の船に乗ってたわけだから、数も滅茶苦茶いる。ということで艦内の日常業務の処理とか、戦術ドロイドたちのサポート、その他細かい雑務まで。結構色々な仕事をしてもらっていたのだ。

 

 

(私に似ちゃったのか、ちょっと“内々で処理してる”案件があるっぽいけど……。)

 

 

さっきパッと確認。彼女達の思考やら視認した映像やらを全部確認してみたんだけど、特に大事に繋がる様な問題は無し。私の横領とかに比べれば、各段に可愛らしいモノだった。

 

ちょっとだけ悪いことしてるみたいだけど、本来しなくてもいい業務すら進んでやってくれている。しかも正確で、仕事も早い。

 

それを考えると、軍団の長として。トップとしてその願いを聞いてあげる必要があるだろう。

 

ま! このミクニちゃんに? 出来ないことなんて? かーけらもありませんから? どどーんと頼っちゃってくださいな!

 

 

『では……。艦内に我らが神を称える聖堂なようなものを作ることはできませんでしょうか? 我らスカーレット砲兵師団の中でもより多くの声が上がっておりまして。これまでは格納庫で“ミサ”を行っていたのですが、やはり手狭なため広いお部屋を……。』

 

「…………。」

 

『……我が神?』

 

「ご、ごめ~ん☆ そう言えば私、ルーちゃんとお茶する約束があるんだった! いっけな~い! おくれちゃ~う!!! というわけで戦略的撤退ッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『オレ、この功績でもっと仕事くれって言おうとしてたんだけど……。空気になっちゃったな……。』

 

 





〇“ミサ”

砲兵ドロイドたちが密かに行っている密会。

よくあるオタク的な『尊い……!』な参加者もいるが、シスター含めた一部がガチで宗教な奴もやっている。そのせいか、ドロイドとして明らかな異常である『国家よりも個人(ミクニ)を優先する』というバグ発生の温床となっている。

砲兵ドロイドとミクニ以外はお断りであり、興味本位で入り込んだD1ドロイドのすべてが砲撃の練習台にされて破壊され、“事故”扱いで処理されている。

主な内容としては、指揮官にして神であるミクニに感謝の祈りを捧げ、その後互いのミクニへの愛を語る感じ。時たま解釈違いの発言をして集団リンチに合う砲兵ドロイドもいるが、基本厳かな空気で進行している。なお前回の議題は『ミクニが自室で頬袋を作りながら食事している』瞬間の隠し撮り写真。膨らんだ頬の神聖さに付いて語り合った。……盗撮ブロマイド? いいえこれは聖別された宗教画です。

ミクニは認知しているのだが、“シスター”の狂信レベルがちょっと高すぎるので距離を置いている。精神性が修道女に近い砲兵ドロイド内で収まっている間は放置、他のドロイドに伝播しそうになれば艦内の安定度を保つため介入する予定。

なお今回の申請の失敗理由は、ガンギマリでガチの狂信者が神前での嘆願みたいにやっちゃったから。軽~いノリで『写真集とか撮らせてくださいよ~!』みたいに言えば普通に許可されてたし、ミクニとしてはノリノリで応じてた。


(追記)
私の予約投稿ミスでした……。
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