異世界バトルドロイド軍団   作:サイリウム(夕宙リウム)

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27:計画と同意

 

 

「これは……、薬学には詳しくない人が処理したのかしら? 見たことのない方法だけど、表面どろこか内部まで完全に壊れてるわ。鱗や皮は大丈夫だけど、内臓系はほぼ全滅ね。」

 

「あ~、やっぱ?」

 

「それで、この申し送りも……。お医者さんかしら? 色々おかしいから別言語の人? 駄目よミーちゃん。専門外の人にやらせたら。」

 

「あ、うん。解ってはいるんですけどね?」

 

 

そんなわけで帰って来ましたルーちゃんのお店。

 

ちょっと相談したいこともあるし、分解したドラゴンのこともある。魔道具屋を営んでおり、優秀な魔女でもある彼女ならば色々と意見を聞けるだろうと思い、ウチのマッドが区分けしたパーツを見せたのだが……。

 

アイツが専門外な事は解ってるんですよ! ただ色々狂ってるせいか仕事任せないと暴走するせいで……!!!

 

 

「……あ~、大変なのね。」

 

「すごくッ!!!!!」

 

「……大親友だもの。愚痴ぐらいは幾らでも聞くわ。」

 

「ルーちゃん……! でもまだ会ったの4回目じゃない?」

 

「友情は回数では無いのよ?」

 

 

そりゃそうかもしれないけど……。なんか日に日にこっちへの矢印がクソデカになって来てちょっと怖いんよ。

 

なんてことを考えながら、彼女との雑談を楽しんでいく。

 

元々ルーちゃんはドラゴンの素材を使って覚醒薬。死ぬまで起き続けるヤバい薬を作ろうとしていたようだが、素材が破損しているため中止。他の物を作るようだ。……まぁ何にせよ。ギルドに売りつける予定だった鱗とか皮とか、そういうのが問題ないってのは一安心だね。

 

 

「ちなみに何造るの?」

 

「媚薬とか強壮薬とか、そういうのね。……まぁ迷信なのだけど。」

 

「お、おう。」

 

 

この星でもそういう効き目の無い薬が流行っている様で。どうやら竜の素材を使い薬を生み出すことで、そういった夜の生活が豊かになるモノがあるらしい。ただ実際にそのような効用は一切なく、ほぼプラシーボのようなもの。薬学を収めた魔女であるルーちゃん的にはあまりやりたくない仕事のようだが……。

 

 

「……売れるのよね、高値で。」

 

「あ~、なる。」

 

「それと、処理を間違えれば人に有害なのが竜の素材よ。事故を避けるには作った方がマシだわ。」

 

 

私が竜の素材をギルドに、市場に持ち込むことで。多くの者たちが『その内臓とか他の素材、何処にやった?』という話になるらしい。

 

夜の生活に不満を覚える貴族は多いらしく、迷信のせいか需要はかなり高い。そのためどこかから新しくドラゴンの素材が流れ始めれば、媚薬などになりうる内臓を探す動きも活発になるらしい。それに気が付いた悪徳商人たちが、所謂パチモン。単なる小麦粉などを竜の薬として売り出す者が出てくるとのこと。

 

まぁその辺はルーちゃん的にはどうでもいいみたいだが……。

 

 

「偶に内臓を手に入れちゃって、迷信通りにやっちゃうことがあるのよ。それも素人が。」

 

「死ぬ奴じゃん。」

 

「えぇ。こういうのは色々と考えがあるのだろうけど……。私としては、自分で使う分だけを残して、全て無毒化。その後砂糖とかで嵩増しして、入手した内臓分だけ市場に流す。勿論、信頼性を高めるために自身の名前と適切な値段をつけて、ね?」

 

 

とまぁ、そんな感じらしい。

 

ルーちゃんとしてはそんな薬に高値を付けるどころか、売る事すら嫌みたいだが……。高値を付けなければ『これ偽物なんじゃ?』といらぬ疑いを持たれるそうで。仕方なくそうしているらしい。

 

 

「……うん。だからミーちゃん。最初に私の所に持ってきたのは正解よ。ギルドで売る時も『内臓は?』と聞かれるだろうけど、私に売ったと言えば問題ないだろうから。」

 

「そうなの? 助かる~! あ、その薬? のお金とか私は受け取らないからね? 魔法銃とか、このネックレスとか。そのお礼も兼ねてるから。受け取っちゃってくださいな。」

 

 

そう言いながら首にかけているソレを見せると、少し残念そうにしながらも頷く彼女。

 

おそらくルーちゃん的には、薬を売り払うときに得た利益を私にあげたかったのだろうが……。そもそもこっちには恩が溜まり過ぎているのだ。魔法銃に刻み込む攻撃的な魔法の文様製作間も頼んでいるし、この後話す相談事のこともある。流石に何か払わないと居心地が悪い。

 

まぁルーちゃんが好みそうな言い方をするならば……。友達なら、こういうお金のことはしっかりしておいた方が良いでしょう?

 

 

「……ふふ、ふふふ。そうね、そうよね。大親友だからこそ、ちゃんとしないと、ね。」

 

「…………早まったか? あ、でも。ルーちゃんに売ったって言えばさ、そっちに迷惑かからない? ほら、その竜の薬を奪いに来る奴とか。売ってくれ! って雪崩れ込んでくる奴とか。いそうじゃん。」

 

「うん? あぁ大丈夫よ。何故かはわからないけど、私ってあまり近寄りたくない魔女みたいだから。」

 

 

もうちょっと笑顔を作った方がいいのかしら、なんて言いながら頬を揉み始めるルーちゃん。

 

いや確かに、表情筋があんま動かない方だとは思いますけど……。

 

ちょっと話してみれば分かるが、彼女は距離の詰め方が異様というか。異常に速い。私みたいに激ヤバドロイドで訓練されてなければ、狂人に見えても致し方ないだろう。この前友達がいないとか言ってたし、昔学んでた大学でも学友らしき人はいなかったみたいだから……。

 

アレですね、うん。ヤバい奴扱いされて、距離取られてる奴ですね。

 

本人の反応も考えると、私が危惧しているような問題が彼女に降りかかる可能性は低そうかな、うん。

 

 

「それで、何か相談事があるのでしょう? 私が助けになれるか解らないけど、幾らでも聞くわよ。さっき言ってた大変な人のお話?」

 

「あ~、それとは別件な奴でさ。……実は魔族、捕まえちゃって。」

 

「あら。」

 

 

驚くように言葉を零すルーちゃんだったが……。

 

ある程度想定はしていたのだろう。取り乱す様な事はなく、こちらに話を促す彼女。

 

流石にそのすべてを彼女に話すことは出来ないため、ある程度隠しながらになるが、手に入れた情報を開示していく。この町の近くで魔族を見つけ、私の本拠地を偵察しにきていた。だからそれを捕まえて、尋問。この周辺地域への侵略計画を練っていたようなので、この情報をどう扱うのか、について。

 

正直、彼女に聞かずとも十二分に動けるのだが、未だこの惑星の文化について理解が及んでいないことも多い。こちらの常識が相手の非常識につながる可能性がある以上、すり合わせは必須だ。

 

 

「……可能性程度は考えていたけれど、ホントにいるなんてね。それで、侵略も考えてるなんて。」

 

「びっくりした?」

 

「少し。でも戦争相手ですもの、それぐらいのことはするわよね、って納得の方が強いわ。……それで、どう動くのかしら? わざわざ私に話したってことは、衛兵や領主に話してそれで終わり、ってことではないのでしょう?」

 

「……あはー! さっすが、解ってるねルーちゃん!」

 

 

私が考えているのは、この星での影響力の確保である。

 

正直な話、連合国民でもない彼らを守る必要などなく、親交のあるルーちゃんと、エリンちゃんたちが住む村。それを守れれば私としてはどうなろうと関係ない。私達ドロイド軍団が外部との交流をほぼ必要としていないことからも、特に助ける必要は無いのだ。

 

 

(けれど……、鉱石は欲しい。)

 

 

持ち込んだ資材に限りがある以上、補給の確率は必須だ。

 

そしてそれを入手するために鉱山を手に入れようとなると……、現地勢力との交渉が必要になる。勿論武力で奪ってもいいのだが、そうなると相手側からの好感度、そして奪還の為に兵を送られる可能性が高い。その程度なら撃破出来るだろうが、要らぬ手間と被害を受ける可能性がある。そう考えれば、仲良くしておくに越したことは無い。

 

 

「私の“ゴーレム”。そしてルーちゃんが作ってくれた“魔法銃”。量産するためには、やはり鉱石が必要。まだ調査中なんだけど、可能ならば『鉱山そのもの』を手に入れてしまいたい。」

 

「……魔族の襲撃を撃退する代わりに、鉱山を頂戴。って感じかしら?」

 

「だね。……やっぱり難しい感じ?」

 

「…………解ってると思うけれど。この国には王がいて、貴族がいる。一応上下関係があるけれど、それでも全て仲がいいわけじゃない。鉱山は武器を作るために必須の土地。自領の要所を簡単に手渡してくる領主はそうそう居ないと思うわ。」

 

「ま、だよね。」

 

 

此方でも軽く調べ、そして魔族が“持っていた”情報で補強したのだが……。

 

私達が今いる国は、王国。それもあまり王の権力が強くない国だ。貴族同士が領土争いをすることも多く、自領の武器生産能力に直結する鉱山をそう易々と手放すとは思わない。アレだね、戦略ゲームとかで『その資源頂戴♡』って言ったら、『どのような条件になろうともあげない♡』って言われる感じの奴。

 

まぁそうなるのであれば……。その前提をぶっ壊してやればいい。

 

 

「圧倒的な軍事力で威圧し、要求を受け入れる以外の選択肢を潰す。そしてこちら側が武力の提供が出来ると歩み寄り、交渉の余地を残す。……支払い次第で何処にでも“ゴーレム”を派遣する存在。『死の商人』って感じかな?」

 

「……大商いね。」

 

「でしょう?」

 

 

ドロイドたちの力を使えば、この国のトップを根こそぎ消し飛ばし、挿げ替わることも出来るだろう。以前暴走気味に考えていた、この惑星を征服しちゃうプランの簡易版だ。

 

けれどまぁ、これをした瞬間“統治”というクソ面倒な仕事が増えてしまう。

 

手に入る恩恵は増えるが、その分責任も増えてしまう。ウチの演算能力をもってすれば不可能ではないし、お茶の子さいさい寄りではあるのだが……、わざわざ嫌なことをする必要もない。

 

ならばまぁ、美味しい所だけもらえるように考えるわけで。

 

 

「もう、ルーちゃんには言ってもいいかな? ……私の“ドロイド”を、“ドロイド”として扱う。基本は魔族や魔物相手になるだろうけど、求められるならば人間も。払われた対価に応え、敵をこの世から消す。鉱山や金銭に応じた結果を齎す。」

 

 

言わば、傭兵のようなもの。

 

その最初の業績として、魔族の襲撃計画を利用する。

 

 

「……話してくれるってことは、“身内”扱いしてくれる、ってことかしら?」

 

「もうルーちゃんは身内のつもりなんでしょ?」

 

「……ふ、ふふ! えぇ、そうね! そうだったわ!!!」

 

 

そう答えれば、とても嬉しそうに笑ってくれる彼女。

 

既にこの人間は、高い技術力を見せてくれた。おそらくこの星おいて最上位に位置し、即座に囲い込まなければいけない程のものを。その性格的に、求めれば求めるほどに新たななものを生み出していくことだろう。身内に引き入れるのは、早ければ早いほどいい。

 

そして身内とするならば、一定の情報は開示すべきだ。

 

今回の提案は、人によっては強い拒否感を抱かせるもの。自身が作ったものでより多くの命を奪わせるという選択。強い非難を受けることも覚悟していたのだが……。杞憂も杞憂。受け止めることが困難なほどの情を、こちらに向けてくれる。

 

 

「それで、どうかな? うまくいけそう?」

 

「えぇ、それはもう。……傭兵なんて職業があるのよ。その力に恐怖を覚える人がいても、その仕組みを理解できない人はいないわ。そして、一度強い力を手に入れてしまえば、もう一度使いたいと思うのが人よ。強ければ強いほど、どんな対価を支払っても再度手に入れようとするはず。」

 

「あはー! それは何より!」

 

「だったら……、魔法銃。早く完成させないとね?」

 

 

友の新たな門出を祝うように、朗らかな笑みを浮かべる彼女。

 

ルーちゃんの言う通り、未だ『魔法銃』は“実戦”には程遠い。

 

その構造からして、銃身の内側に埋め込む魔法陣は、その魔法に合致した者でなければならない。現状それが可能なのは『泡を出す魔法』のみ。これを実戦で扱えるようにするには、最初に見たスクロールのように『ファイアボール』などが出せるように、新たな魔法陣を開発する必要がある。

 

無論、ブラスターだけでも十二分な戦力となるだろうが……。この星の住人にも解りやすい力の方が、よりその“脅威度”を正しく理解して貰えることだろう。

 

敵の襲撃までに彼女が産み出してくれるのならば、これ以上ない『武器』になる。

 

 

「ぜひ、やらせて頂戴。」

 

「悪いね、ルーちゃん。」

 

「ふふ、いいのよ! それにしても……、これから楽しくなりそうね? 後の世でどう呼ばれるかは解らないけれど、大親友と一緒に、大きなことを成し遂げる! それも、どこか一線を引いていた貴女の“秘密”! 引き入れてくれるというのなら、教えてくれるのでしょう! ふふ、ふふふ! なら、それに見合った『お返し』はしないとね!!!」

 

 

本当に、本当に楽しそうに笑う、ルーちゃん。

 

うん。了承が取れたようで何よりだし、私の計画も特に問題なさそうなのも何よりなんだけど……。

 

 

「言っとくけど、徹夜したら縁切るからね? 健康だいじ。」

 

「そんなッ!?!?!?」

 

 

あ~、うん。これまた7徹とかするつもりだったな。危ない危ない……!

 

 

 






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