ゲーム知識を生かして不遇キャラに助言しまくってたら気づいたら最強アルバイト軍団が出来上がっていた件について   作:コメ事案

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第1話

 RPGの世界に憧れていた。

 子供の頃は剣を持ち魔法を放つ勇者になりたいと本気で思っていた。

 大人になるにつれてゲームに触れられる時間はどんどん減っていったが、それでもゲームを起動してプレイしていれば俺はどんなに現実が辛くても生きる希望が湧いてきた。

 それはさながら、ゲームの主人公である勇者のように。

 もしかしたら……いや、絶対に。

 俺はゲームに救われた人間の一人だ。

 

 とはいえなんだかんだ歳を取ると集中力が落ちていくもので、今まで簡単に出来ていた徹夜も辛くなった。

 そんな時に俺が再開したのは『インテンス・ファンタジア』だった。

 それは俺が子供の頃にプレイした初めてのゲームで、そしてそれは長い年月を経て作り直された、つまりリメイクされたらしかったのだ。

 その情報を得た時は懐かしさのあまり「ほろり」と来てしまいそうだったし、次の瞬間にはゲームを買いに家を出ていた。

 今時ゲームと言うのはダウンロード版が主流になってきているような気もしたが、俺はあえてパッケージを選んだ。

 かつての思い出を振り返りたかったからかもしれない。

 

 ……懐かしい記憶が蘇る。

 プレイした時に感じていた感動が、色褪せていた思い出が。

 俺は寝るのも忘れてゲームをプレイしていた。

 プレイを始めたのは土曜日の夜。

 それから一睡もせずプレイし続けて、今はもう日曜日の夕方だ。

 途中食事休憩もしたが、流石にもう辛い。

 まだまだ遊び足りなかったが、一度休みを取ろう。

 そう思った俺はベッドに横たわり、目を閉じる。

 身体は限界に達していたのだろう、意識はあっという間に暗闇に溶けていき――

 

 

  ◆

 

 

「なんていうかなぁ」

 

 ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 俺は珈琲の香ばしい香りが漂っている店内でそうぼやいた。

 この喫茶店を開いてから既に数年が経っているが、いまだに鼻が麻痺せずに珈琲の香りを感じられるのは多分自分が『凄い』からなのかもしれない。

『凄い』。

 自画自賛のように聞こえるかもしれないが、実際俺は『凄い』のだろう。

 その凄さについて語るには、まず今の状況を説明しなくてはならないかもしれない。

 少なくとも、自分の中でそれを整理する程度には、今の俺には時間が有り余っているのだから。

 

 まず、今の俺はRPG『インテンス・ファンタジア』の世界にいる。

 前世の記憶はまさしくこのゲームをプレイしてから途切れているが、しかし死因についてはまるで記憶がない。

 本当に死んだのか、もしかしたら今の俺は『山神吹雪』という男の記憶を持っているだけの別人という線もあるが、とはいえ今の俺はこの世界で『コランド』という名前を持ち、喫茶店を経営している。

 そしてこの『コランド』という男の事を俺は前世から知っていた。

 つまりゲームの登場人物であり、しかしながら『コランド』という男はゲームにおける重要人物とは言い難かった。

 少なくとも主人公が訪れる事が出来る、様々なバフを得られる食事を提供している喫茶店の店長という役割だったが、逆に言ってしまうと原作ストーリーに直接かかわってくる事は一度もなかった。

 ……この男の存在感が増すのはむしろゲームクリア後で、ぶっちゃけると『コランド』はゲームの収集要素を集め切ると挑戦出来る敵、即ち裏ボス的立ち位置の人物なのだ。

 

 一応「かつて冒険者として旅をし、世界を救う事を志した者」という設定はあり、実際俺もこの喫茶店を開く前に冒険者をしていた。

 そしてある程度資金が集まったら引退し、今は見ての通り喫茶店を開いている。

 現在、20代後半。

 何なら30代の方が近いお年頃。

 こんなのでちゃんと裏ボスを務められるのかと思い時折思い出したかのように鍛錬はしているが、まあ原作ストーリーを終えた勇者と戦えるのか今から不安である。

 ……勝てる気がしない、いくら裏ボスとしての肉体があるとはいえ。

 

 とはいえやはり裏ボス。

 俺が表舞台に上がる事になるのは最後……いや、裏ボスという立場なのだから本編ストーリーという意味では最後まで俺は表舞台に上がる事はないと言えるかもしれない。

 それだってかなり先の事のような、現実味のない事のような気がしているし、だから今はとにかく現実としてこの喫茶店を経営しなくてはならない。

 ……

 ……そろそろ、アルバイトが来るのだろうか?

 

 

 ど、ばーんッッッッ!!!!

 

「……」

 

 喫茶店の外から爆発音がした。

 とんでもない轟音である。

 ……またか。

 俺は頭を抱えたくなる衝動に駆られつつ外に視線を向けると、それと同時に店の扉が開かれ元気そうな女の子が姿を現した。

 

「店長! この店に迷惑を掛けそうな連中をぶっ飛ばしてきました!」

「……そうか」

 

 何余計な事をしてくれてるんだと思ったがあいにくと彼女は俺より強いので何も言う事が出来ないのだった。

 

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