よくある男オリ主もの   作:SeA

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前回のザックリとしたあらすじ

ちょっと変わった様子のヤチヨから無事にライバー活動についての助言を貰うオリ主くん。
それを受けてがんばろー! と気合を入れるかぐやとそれを見守る2人。
そんなこんなでプチバズって登録者数も増えてきた。こっから目指せ優勝だー!


オリ主くん、驚く

「いい? ちゃんと守らなきゃいけないこと覚えてる?」

 

「だいじょーぶ! 全部バッチシ!」

 

「……不安だ」

 

 夏の日差しが照り付ける中、私―――酒寄彩葉は同居人たるかぐやと共に目的地へと向かって、手を繋いで朝の街中を歩いていた。

 

「―――……じゃあ確認するよ?」

 

 繋いでいない方の手で指を一本立て、かぐやの眼前に差し出す。

 

「一つ。私との関係は?」

 

「いとこ! 今かぐやは家出中で、彩葉の家で一緒に楽しく暮らしてる!」

 

 元気よく答えるかぐや。

 色々言いたいことはあるけど、とりあえず今はいい。

 

 もう一本指を立て、私は続けて問う。

 

「……二つ。浦野との関係は?」

 

「仲良し! しんたろーとはこっちに来た時にたまたま出会って、それからいっつも一緒に楽しく過ごしてる!」

 

「…………いっつも一緒、の部分は削ってね。たまに一緒に遊んでる、くらいにして」

 

「え~」

 

「え~じゃないから。削りなさい」

 

「は~い」

 

 頭を抱えたくなったが、なんとか抑える。

 さすがにこんな公衆の面前でそんなことは出来ない。もし私を知っている人に見られたりすれば、折角ここまで築き上げてきた『完璧優等生酒寄彩葉』が崩れかねない。

 我慢だ。我慢しろ私。

 かぐやと出会ってから約2週間、これくらいはもう慣れたはずだ。抑えろ。 

 

「…………三つ。ライバー活動について」

 

「かぐやいろPチャンネルとして絶賛活動中! ゲームとかツクヨミとかと、実写で料理とかそれ以外にもいっっっぱい色んな事やってるから見てみて応援してね!」

 

「……まあ、それはいいか」

 

 これに関しては言い換える必要もないだろう。というか宣伝するべき部分だ。オタ公さんのおかげでファン数が一気に増えたとはいえ、まだまだトップ層は遠い。

 

「いーろはっ!」

 

「なに?」

 

「楽しみだね!」

 

「……まあ、そうね」

 

 繋いだ手を勢いよく振りながら太陽にも負けないくらいの笑顔を向けてくるかぐやに対し、私もつい零れてしまった笑顔で返す。

 かぐやは本当に楽しそうに笑うよな。ズルじゃんそれ。そんなの向けられたらこっちも笑っちゃうに決まってる。こういうのを天性の才能って言うのかな。

 

 2人で話しながら歩き続けていると目的地へと辿り着く。だが、その場にはもう既に約束をしていた相手が先にいた。

 スマホを取り出し時間を確認する。遅刻はしていない。だけども最後に来たのは事実だ。ちょっとだけ急ごう。

 私は繋いだ手を引いて小走りで近付いていく。

 

「ごめん! 待たせた?」

 

「大丈夫。私達も今着いたばっかだから」

 

「そーそー。あんまり慌てると汗かいちゃうよ~」

 

 私が遅れたことに謝ると、待ち合わせていた2人―――綾紬(あやつむぎ)芦花(ろか)諌山(いさやま)真実(まみ)はなんでもないように笑って許してくれた。いつも通り優しい友達だ。いつも助かっている。

 

 私が夏休みに入って以来会っていなかった友人達と旧交を深めていると、不意に右手が強く握られる。力を込めた人物の顔を見ると、そこにはまだかまだかと期待のこもった表情。

 はいはい。わかりましたよ。

 

「真実、芦花。覚えてるかわかんないけど、この子は夏休み前に一回会った」

 

「―――かぐやだよっ! 久しぶり~!」

 

 私の声を遮って、かぐやが自身を主張する。

 もう少し我慢できなかったのかという呆れと、かぐやにしては我慢したほうかという諦めの感情が同時に沸き起こる。

 だが、かぐやはそんな私の複雑な思いには気付かなかったようで、ニコニコと笑顔を浮かべながら私と繋いでいた手を放し、そうして空いた手を2人へと差し出す。

 

 友人2人は唐突に差し出された手を前に顔を見合わせ動きを止める。

 いきなりでこれは混乱するよね。わかる。だけど今の私はかぐやの考えもわかってしまう。である以上は手助けするとしますか。

 

「……よかったら握手してあげて?」

 

 私の言葉に真実も芦花も不思議そうな感情を内心に仕舞いつつも、笑顔でかぐやの手を取ってくれる。かぐやは握手が出来てご満悦のようで繋いだ腕をブンブン上下に振っている。なんでかはわからないけども、かぐやはやたらと手を繋ぎたがる。外でも家でも。以前に布団で横になってる時に聞いたけど、浦野と買い物に行くときもいつも手を繋いでいるらしい。宇宙人なりのスキンシップなのかもしれない。

  

「あはは。久しぶり、かぐやちゃん」

 

「おひさ~。前に会ったのはパンケーキの時だったね」

 

「パンケーキ! そうパンケーキの日! あれめっちゃ美味しかったありがとうっ!」

 

「どういたしまして」

 

 挨拶を交わし、はたから見ると会って二回目とはまるで思えないように楽しそうに会話をする3人の姿をどこかホッとしながら隣で眺める。

 かぐやの顔は興味や興奮で溢れてる。よほど楽しみだったみたいだ。これなら連れてきてよかったな。どうやら私の選択は間違っていなかったらしい。よかったよかった。

 

 今日は2人の友人(真実と芦花)と夏休み前から約束していた『一緒に出掛ける日』だ。とは言っても午前中だけだが。午後からは私は普通にバイトなので。友人たちもその辺は織り込み済みで予定を立ててくれるので、私はいつも助かっている。本当にありがたい。

 そしてそんな予定をかぐやにポロっと話したら一緒に行きたいと言い出したので、事前にメッセージを送って確認を取り、こうして連れてきた。

 かぐやは浦野も一緒になんて言い出したが、さすがにそれは阻止した。私はもう完全に慣れたけど、慣れてない人にとっては浦野は顔が―――主に傷跡が―――結構怖いので遠慮してもらった。というか友人との集まりに私が連れていきたくなかった。一応『嫌い』だと真正面から言った相手でもあるし。

 ともかく、そうして今日はこうして女子4人が集まることになった、ということである。

 

 まあ、あと、ついでに、どうせならみたいな感じではあるけども、かぐやにも友達出来たらいいなみたいな。基本的に関りがあるのが私と浦野と配信のコメント欄なのはちょっとあれだし。

 それにあれだ。あの浦野にだって友達がいるのにかぐやにはいないのは不平等、みたいな? まあ、うん、あれだ。ともかくそんな感じだ。特に他意は無い。

 

「彩葉っ!」

 

「うおっ………え、なに?」

 

 突然かぐやに名前を呼ばれながら手を取られ、そのまま引っ張られる。

 

「はやく行こ。パフェが美味しいカフェなんだって。楽しみ~」

 

「……はいはい。お昼のことも考えてあんまり食べ過ぎないようにね」

 

「だいじょーぶ! ちゃんと考えるから!」

 

 どうだか。

 かぐやの言葉に笑みを思わず溢しながら、私は引かれる手に逆らわず足を動かし続けた。

 

 

☆☆☆

 

 

「なにこれ、めっちゃ美味しそう~」

 

「実際めっちゃ美味しかったよ。ほっぺが落ちちゃいそうだった~」

 

「ええっ! ほっぺって落ちるの!?」

 

「美味しすぎると落ちちゃうんだなこれが~」

 

「マジでっ!?」

 

 以前に真実が食べたという料理を写したスマホを見ながら会話するかぐやと真実を横目で見つつストローをすする。美味しいなこの店。さすがグルメインフルエンサーまみまみ。この店も事前にチェック済みか。 

 

「で? 最近どうなの?」

 

「……なにその親戚のおじさんみたいな質問」

 

 隣に座る芦花からの質問に、小さく笑いながら返答する。

 

「そりゃあ聞くでしょさすがに。だってまさかの状況なんだもん」

 

 芦花の言葉に私は苦笑する。

 でも確かに。私もそっちの立場なら思わず聞いちゃうだろうな。きっと。

 

「だって―――まさか彩葉がライバーデビューするなんてさ」

 

 視線を宙へと彷徨わせる。

 事実であるだけに否定は一切出来ない。どれだけ私が否定したくても、だ。

 

「……一応、不可抗力なんだけどね」

 

「だとしても、でしょ? 彩葉は嫌ならやらないし、そもそも時間的にも金銭的にも今までなら絶対に拒否してたでしょ?」

 

「…………まあ、うん」

 

「なのに久しぶりに会ったら『ライバーになりました。応援よろしく』なんだもん。ほんとにビックリ。明日は槍が降ってくるのかもね」

 

 苦笑以外に私に返せるものは無かった。

 芦花の意見には私も頷くしかない。これまでの私ならば絶対に断っていたはずだ。

 

「……一応、裏方だからそんなには画面に出ないんだけどね」

 

「私もさっき知ったばっかだから詳しくはわかんないけどさ。でも、これはじゃあなんなの?」

 

 芦花が自身にスマホの画面を指さす。そこに表示されているのはかぐやいろPチャンネルの配信アーカイブ群で、そのうちの一つのサムネを示していた。

 そこに映っているのはツクヨミアバターのかぐやと犬DOGEにキツネとサルの着ぐるみを着用している2人の計3人と1匹。

 

「これはかぐやちゃん。顔の形とか目元とかで一目でわかる。で、彩葉は?」

 

「……この、キツネのやつ」

 

「着ぐるみスキンのやつね。顔バレ防止?」

 

「……一応」

 

 私の言葉に頷いて納得を示す芦花。しかし―――

 

―――で? こっちのサルの着ぐるみスキンは誰?

 

スゥー…………」

 

 視線を逸らし天を仰ぐ。店内の雰囲気にあった落ち着いた色合いの天井が目に入る。いい店というのは天井もしっかりしてるもんなんだなぁ~。

 

「彩葉」

 

「はい」

 

 無理か。まあ無理か。そりゃそうだ。

 

「で?」

 

「…………浦野です」

 

 呟くように私が小さく口にしたその名を聞いて大きく溜息を吐く芦花。

 その間、私は居住まいを正して待つしかなかった。

 

「―――…………こういうの、聞いていいかわかんないけどさ」

 

「……なに?」

 

 とても言い辛そうにする芦花。一体何を聞く気なのだろうか。

 

「…………付き合ってるの?

 

有り得ない」 

 

 即答する。

 しっかりきっぱり過不足なく誤解が欠片も入り込まないように否定する。

 

「断じてそれは有り得ない」

 

「う、うん」

 

「確かに今、私は浦野と一緒にライバー活動してるかぐやをサポートしてるし、その関係でちょくちょく会ったりしてるのは否定しない。ここ最近で一番会って会話をしてる異性であることも認める。でもこれだけは言わせて―――あの男だけは絶っっっ対にない。無理。意味わかんない。何考えてるのかサッパリすぎる。マジで無理」

 

 悪いとは思いつつも少しだけ嘘を混ぜたが、後半は完全無欠な本音。酒寄彩葉の心からの声だ。頼むから変な誤解はしないでほしい。あんなわけのわからない男との関係を邪推されたくはない。

 

「とーにーかーく! 変な勘違いはやめて」

 

「わ、わかった。ごめんね……」

 

「わかればよろしい」

 

 正直以前ほどに嫌悪感があるわけではない。ただ以前よりもより理解できない存在として認識しているところはある。

 結局のところ、あの男の行動理由が全くの不明なのが一番大きい理由だ。

 

「でも、そっか………よかった

 

「ん? なんか言った?」

 

「ううん。なんも言ってないよ」

 

「そう?」

 

 どことなく晴れやかな顔の芦花に問いかけるも、特になし。

 何か聞こえた気がしたが、私の気のせいだったみたい。

 

「―――そうだ彩葉。海、どうする? 日程いつなら空きそう?」

 

 芦花が話題を変えようと、さっきまでとは異なる話を振ってくる、のだが。

 

「あー、その~……」

 

「どうかしたの? 今年も一緒に行こうって話してたの忘れちゃってた?」

 

「いや、違くて……」

 

 覚えてる。去年同様にまた海に行こうと学校で話していた。

 でも―――

 

「―――……今年は、その、行く時間が無さそうな感じでして」

 

「え……?」

 

「バイトをびっしりと入れてしまってて……」

 

 そう。海に行く余裕が無いのだ。

 バイトを本来の予定よりも増やし、勉強の時間は予定通りに確保し、睡眠時間を削った。海で遊ぶとなれば丸一日は時間を作らないといけないが、そんな時間を捻出することは残念ながらできなかった。

 

「だから、ごめん! 今年は私抜きで行ってきて!」

 

 顔の前で両手を合わせ、頭を下げる。

 口約束ではあるが事前にしていた約束だ。夏休みが始まってからまだ一週間とはいえ、もっと速くに伝えるべきことだった。完全に失念していた私のミスだ。

 

「……そっか」

 

 頭を下げながらチラリと芦花の様子を窺うと、声同様に落ち込んでいる姿が目に入る。

 うう、心が痛む。私が思っていた以上に楽しみにしていてくれたらしい。マジでごめん。

 

「その! 代わりと言ったらなんだけどさ」

 

 一応代替案というか、ある意味ではお願いというか、そういうのは考えては来た。

 受けてくれるかは不明だけど。

 

「―――かぐやを、私の代わりに海に連れてってあげてくれない?」

 

「え……?」

 

 私の言葉に、芦花は目をパチクリと瞬かせた。

 

 

☆☆☆

 

 

「おやすみ、しんたろー!」

 

「ああ」

 

「おーやーすーみ!」

 

「……おやすみ」

 

「よし!」

 

 浦野の返答に力強く頷いたあと、くるりと振り返って私を見てくるかぐや。

 

「彩葉」

 

 ニコニコと笑顔で私の名を呼び、口を閉じる。それ以上言う必要がないと言わんばかりに。

 いや、まあ、何を言いたいのかはさすがに毎日のことなのでわかってはいるのだけど……。

 

「……おやすみ、浦野」

 

「……おやすみ、酒寄」

 

 いつもと変わらぬ無表情でそれだけ応え、自身の部屋へと帰っていく浦野。

 本当になんなんだろうな、これは。

 

「いや、どうでもいいか」

 

 頭を振って思考を切り替える。

 さて美味しいごはんでお腹もいっぱいになったし、勉強頑張りますか。

 

 私が気合を入れて机に向かうと、かぐやが声をかけてくる。

 

「今日もこれから勉強するの?」

 

「そ。高2の夏は頑張らないといけないからね」

 

 ここでの努力が結果に繋がる以上、怠けるわけにはいかない。 

 

「ふーん。―――じゃ、かぐやも配信してるね」

 

「別にいいけど。あ、でもいつも言ってるように」

 

「―――うるさくしない、でしょ?」

 

 にへらと、自慢げに笑みを浮かべるかぐや。

 さすがに私が隣にいて配信する時にしている注意は頭に入っているらしい。いつもそれなりには気を遣ってくれているのは知っている。

 そのくせ配信中でいろP呼びが中途半端なのは何故なのか気になるが。彩葉って本名をそう何度も呼ぶんじゃないよ本当に。

 

「……わかってるならいいよ。配信頑張って」

 

「うん! 彩葉も勉強がんばれ!」

 

「……ありがと」

 

 短い感謝を口にし、机に向かう。

 横目で配信準備をし始めたかぐやを一瞬見てから、私も参考書を取り出した。

 

 それからしばらくの間かぐやの声をBGM代わりにしながらも勉強を続けていたが、いつの間にかその声が気にならなくなっていた。そんな時にふと肩を軽く叩かれる感触。

 振り返ると流星のように輝く瞳と目が合った。

 

「うおっ。なに、どしたの?」

 

 頭を後ろに反らしながら問いかける。

 ビックリした。めっちゃかぐやの顔が近い。

 

「配信終わった~」

 

「え、あー、もうこんな時間か」

 

 スマホを見れば時刻は2時にもうすぐなるというところ。

 

「かぐや寝るし、彩葉も寝よ?」

 

 言外に『一緒に』と言いつつ、いつの間にか敷かれていた布団を指し示すかぐや。

 確かにもういい時間だし、明日というか今日は朝から夏期講習があるのでもう寝てもいい、が。

 

「―――もうちょっとで一段落つくから、そこまでやったら私も寝るよ。だからかぐやは先に寝てていいよ」

 

「ええ~」

 

 私の返事に対し、不満の声を上げるかぐや。

 このまま放置すると腕やら肩やらを掴んで揺すってくるのは目に見えているので先手を取る。

 

「あ」

 

 かぐやの頭に手を乗せ、ゆっくりと丁寧に撫でる。

 かぐやは手を繋ぐのと、頭を撫でられるのが好きだということを既に私は把握しているのだ。

 

「むふ~」

 

 ご満悦のようでなにより。

 

「先に寝てな。あとで私も行くから」

 

 そう言って、私は再度机に向かうのだが―――

 

「……」

 

「……」

 

「え、なに?」

 

 ―――何故か私の隣に座布団を持ってきて、そこに座りこっちをジッと見つめてくるかぐや。

 

「待ってる」

 

「はい?」

 

「彩葉の勉強終わるの待ってる」  

 

「いや、でも」

 

「終わったら一緒に寝よ。彩葉」

 

 いつもの太陽のような輝きを放つ笑顔ではなく、どこか優しく柔らかな月のような笑みを向けてくるかぐや。

 それは卑怯だろ。反則すぎる。

 一瞬もう切り上げて眠ろうかと考えるが、その誘惑を振り切ってペンを取る。

 ダメだダメだ。自分をしっかりと持たなくちゃ。

 

 隣で静かにこちらを見守るかぐやを極力視界に入れないように勉強を再開して、残っていた部分を終わらせにかかる。焦燥感と安心感が何故か同居する不思議な心持ちの中、普段よりも速いペースでペンを走らせることが出来た。

 軽くノートを見返して問題がないかを確認したあと、かぐやの方を見る。

 

「ごめんかぐや。終わった………よ?」

 

 そして待っていてくれたかぐやに声をかけたのだが。

 

すぅ………すぅ………

 

 座布団に座ったまま寝息を立てているかぐやがそこにいた。

 残念ながら眠気を我慢しきれなかったらしい。

 

 私は音を立てないように静かに敷いてあった布団をずらして、かぐやの隣に持ってくる。そして眠っているかぐやを起こさないようにそっと体を横たえさせ、ちゃんとした睡眠の態勢を取らせる。これでいいだろう。

 

 静かに眠っているかぐやの頬を起こさないように気を付けながら手で触れる。

 

「ふふっ、赤ちゃんの頃みたい」

 

 あの頃もこんなかわいらしい寝顔をしてたな。ほんの少し前だというのに、もう懐かしく感じる。不思議なもんだ。

 頬に触れていた手を頭に伸ばし、優しく撫でる。綺麗な金の髪が指の隙間を流れていく。

 

 安心しきった寝顔を見て思う。ちゃんと、私が守ってあげなくちゃいけないと。

 正直かぐやの存在は負担だ。この子がいなければこの夏はもう少し余裕をもって過ごせたし、海にだって友達と行けた。もっとこの夏を充実した日々にすることが出来たはずだった。

 

 ―――でも、今の状況を選んだのは私だ。

 

 浦野の元から引き取り、共に生活をすると決めたのは私だ。かぐやという負担を自らの意思で背負うことを選択したのは私だ。

 ならその責任は取らなくちゃいけない。

 

「大丈夫。私なら出来る」

 

 母は、たった1人で弟妹を4人も養いながら現役で京大に合格した。

 私はそんな母の娘で、しかも抱えるべき相手はかぐや1人なんだ。母より3人も少ないというのに、私にできないなんてことは無いはずだ。

 いや、()()なんかじゃない。絶対に出来る。出来なきゃいけない。じゃないと私はいつまでたっても母に認められることが―――

 

「いろはぁ……」

 

 唐突に名前を呼ばれ起こしてしまったかと内心慌てるが、続く言葉に安堵する。

 

「しんたろぉ………ごはんできたよ~」

 

「……ふふっ。いつも美味しいごはんありがとね、かぐや」

 

 本人に伝わることのない感謝を口にして、私も隣で横になり瞼を下ろす。

 今日も朝から頑張んないとな。

 

 

 


 

 

 

「たっだいま~!」

 

「……おかえり、かぐや」

 

 俺は未だに言い慣れない言葉を口にしながら、かぐやを自室へと招き入れる。

 なんか最近はいっそ合鍵を作って渡してしまおうか少し悩んでいる。この頻度で一々鍵を開けなくてはならないの面倒くさいんだよな。

 

「しんたろー見て見て! どう!? これどう!?」 

 

「……」

 

 かぐやは靴を脱ぐなり俺に顔を近付け、何度も瞬きを繰り返す。

 見ろと言われたので見る―――つもりなのだが、何を見ればいいのかわからずにかぐやの顔を凝視する。なんだろう。これはどういった意図なんだ?

 

「む。しんたろー」

 

「なんだ」

 

「わかった?」

 

「……わからん」

 

 一応考えはしたんがな。

 

「メ~イ~ク!」

 

 めーいーく?

 

「芦花に今日教えてもらったやつ! いつものかぐやと全然違うでしょー!」

 

 ほらここ、なんて言いながら目元を指し示すかぐや。

 確かに言われてみれば普段と違うような気もするようなしないような? よくわからん。

 

「……酒寄の友人だったか」

 

「今はかぐやの友達でもあるよ! あと真実も!」

 

 芦花と真実。数日前にかぐやに引き合わせたという酒寄の友人。

 どんな相手なのか俺は名前以外全くもって知らないが、ここ数日一緒に遊んでいるかぐや曰く、『2人ともすごいかわいいし色々すごい!』らしい。

 

「―――そんでこれが全然盛れなかったNGバージョン。今と全然違うでしょ! すごくないこれ!? ちょっとメイクのやり方変わるだけでこれなんだよ!? 芦花が教えてくれなかったらかぐや全然わかんなかった!」

 

 スマホの画面を見せながら語るかぐや。

 そこに映るかぐやと目の前のかぐやを見比べると確かに印象が少し異なっている。

 なるほど。これがメイクか。

 

「……これもアップするのか?」

 

「する!」

 

「そうか」

 

 最近は今までとは少し毛色が異なる動画をかぐやはアップするようになった。芦花と真実なる人物の影響だ。

 その2人はインフルエンサーなるものらしく、ライバーとは似て非なる存在らしい。

 異なるものではあるが不特定多数の人物を相手取るという点では同一らしく、かぐやにそれぞれの経験からくるアドバイスをしているらしかった。

 

「しんたろー」

 

「なんだ」

 

「リアルの友達とならコラボしてもいいんだもんね?」

 

「俺はそう聞いている」

 

「ならよーし」

 

 安堵の声を上げ、スマホを弄り撮影したメイク動画をアップする作業に取り掛かるかぐや。

 

 その姿を見て思う。スマホを買い与えたのは正解だったみたいだと。

 以前かぐやに言われた。『自分のスマホが欲しい』と。なので買った。それにより俺の仕事が減った。

 これまで実写での配信、動画は酒寄のPCか俺のスマホのどちらかで撮影をしていた。つまり俺のスマホを使用する際は常に俺がかぐやに同行する必要があった。

 だが、かぐやにスマホを与えたことによってその必要性が無くなった。俺がスマホを構えて撮影しなくてもよくなったということ。

 とはいえ未だにカメラマンが必要というときには引っ張り出されるのだが。

 

 俺は芦花と真実という人物に会ってはいない。酒寄がそれを拒否しているから。

 当然のように俺を連れていこうとしたかぐやに色々と理由を並び立て、俺を2人に接触させないように図っているというのが正確だろうか。

 気持ちはわからないが理解は出来る。 

 友人を俺というろくでもない人でなしに会わせたくないのだろう。とても人らしい正常な考えだ。生憎と共感することは俺にはできないが、それはきっと正しい物だろう。

 

「しんたろー」

 

「なんだ」

 

 俺を呼ぶ声に、思考の海から意識を引き上げる。

 かぐやを見ると何故か眉根を寄せていた。どうした?

 

「彩葉のことなんだけどさ」

 

 酒寄のこと?

 

「その………大丈夫かなって」

 

「……それはどういう意味だ?」

 

 かぐやが何を言いたいのか、さっぱりわからない。

 

「彩葉ね、最近寝るのすっごく遅いの」

 

「そうか」

 

「ほんとに遅いんだよ。昨日も一昨日もその前もすっごく遅いの」

 

「……具体的には?」 

 

 俺の質問にスマホを突き出してくるかぐや。

 

「この時の配信終わってもまだ起きて勉強してた」

 

 画面には随分と遅い時間にしていたであろう配信のアーカイブが表示されている。

 

「……深夜、それも早朝に近い時間だな」

 

「うん」

 

 なるほど。確かに眠るには遅い時刻だ。だが―――

 

「―――それで、それのなにが不安なんだ?」

 

 それがわからん。一体俺に何を伝えたいんだ?

 

「彩葉が、どんどん元気無くなってる気がする……」

 

「……そうか」

 

「そーなの……」

 

 酒寄の元気が減少しているという話なのに、何故か目の前のかぐやの元気が目に見えて萎んでいく。実はかぐやは酒寄と連動していたということなのか? 

 よくわからん。

 よくわからんが、なんとかするべきであるという話なのだろう。おそらく。

 

「かぐやはどうしたいんだ?」

 

「彩葉に元気になってほしい」

 

 即答。

 どうしたいかは決まっているのに今のように沈んでいるということは、何をするべきなのか、どう行動すればいいのか不明ということだろうか。

 

 視線を宙に向け、思案する。

 俺には人の心はよくわからんが、知識として知っていることくらいはある。以前調べたことを思い出し、それを口にする。

 

「人は、好きなものを手に入れると元気になる、らしい」

 

 俺にはわからんが、そういうものだそうだ。

 

「好きなもの?」

 

「ああ。飲食物や物品、あとは映像作品だとか景色などのことだ」

 

 肉体を使うスポーツ等もその対象だっただろうか。

 

「好きなもの……」

 

「ああ」

 

「彩葉の好きなもの」

 

「ああ」

 

 酒寄の好きなもの、といえば。

 

「ヤチヨ、かな……?」 

 

「ヤチヨだろうな」

 

 むしろそれ以外は俺には思いつかないぞ。

 

 酒寄はヤチヨを好ましく思っている、というかなんというか。なんと言葉にすればいいのかわからないが、とにかくヤチヨが酒寄にとっての『好きなもの』であるのは間違いないはずだ。

 酒寄の部屋にはヤチヨの神棚のようなナニカがあるし、夕食時にヤチヨが配信を行っていれば一言断りを入れ、配信を見ながら食事にすることも多々ある。

 あれらを見れば俺でもわかる。

 

「でもヤチヨか~………むぅ」

 

「どうした」

 

 先程までの不安な表情ではなく、どこか不満そうな顔でかぐやが唸る。

 

「……ううん、今はいいや。――――とにかく今はヤチヨだよね! どうしたらいいと思う?」

 

 少し気にはかかったが、本人がいいというので流すことにする。

 

 正直酒寄にヤチヨを会わせること自体の難易度は低いと思う。ヤチヨは俺の友人であるし、これまで試みたことは一度も無いが、おそらく連絡を取ろうと思えば取れる確信もある。そうすれば酒寄にヤチヨを対面させられるだろう。だが―――

 

『……その、内緒にしてほしいんだよね』

 

『内緒?』

 

『そ。ヤチヨのことについて』

 

 ヤチヨが俺の友人であるということについて、酒寄及びかぐやにバレるわけにはいかない。故に俺を介してヤチヨと引き合わせることはできない。となるとどうするべきか。

 

「むむむ~」

 

「……」

 

「あっ!」

 

 2人で座布団の上で頭を悩ませていると、かぐやがポンと手を打ちスマホを操作しだす。

 その様子を窺っていると、画面を突き出すようにして見せてくる。

 

「月見ヤチヨ、グッズ……?」

 

「そう! これならどうかな!? 彩葉喜びそうじゃない!?」

 

 確かに。あの飾ってある神棚のことを思えば酒寄は喜びそうだ。

 

「色々あるけど、どれがいいのかな?」

 

 スマホをスクロールさせながら聞いてくるかぐや。

 そう言われたところで、俺にはてんでわからん。

 

「本人に確認するのはどうだ?」

 

「うーん……」

 

 腕を組み思案するかぐや。

 そんなに悩ましいことを口にしたつもりはなかったのだが。

 

「……彩葉が素直に答えてくれる気あんましなーい」

 

「そうか」

 

 そういうものらしい。

 となると選択肢は2つだ。よくわからないまま俺達で決めるか。あるいは―――

 

「―――聞くか、だな」

 

「え?」

 

 疑問の声を上げるかぐやに、俺は自分の考えを伝える。

 

「俺達にわからないのなら、わかる人物に聞けばいい」

 

「わかる人物……?」

 

「ああ」

 

 適材適所。任せられる相手がいるのならば任せればいい。

 

「―――()()()()だ」

 

 ということで。

 

「―――そーいうことなの。それで真実はなにがいいと思う?」

 

 俺の目の前ではかぐやが自身の耳にスマホを当て、通話を行っている。 

 通話相手は真実とかいう酒寄の友人。ちなみに数分前に芦花なる女とも通話は行った。とりあえずこれにより、なにを選べばいいのかは判明するだろうと思うのだが。

 

「―――そっかぁ。わかった、ありがと。またね~」

 

 スマホを耳から離し、通話を終了するかぐや。

 さて、結果は如何に。

 

「どうだった?」

 

「なんか……」

 

「ああ」

 

「ダメっぽいかも?」

 

「……そうか」

 

 曰く、物品は嫌がられる可能性が高い、とのこと。 

 高価であるかどうかに係わらず、酒寄は物品を渡されることに拒否感があるらしい。

 故に酒寄の友人である真実も芦花も何かで祝ったり感謝を示す際は、その場で完結する料理や安価で数が少ない消耗品を贈るそうだ。ちなみに安価でなおかつ量が多いものは拒絶されるらしい。面倒くさいな。

 なので、ヤチヨグッズを購入し贈答しても酒寄は元気にはならないかもしれない。

 

「むむむ~。なら、これならどうだ!」

 

 ということで案2つ目。

 

 

☆☆☆

 

 

「しんたろー」

 

「ああ」

 

 いつも通りに酒寄の居室で夕食を済ませ、普段なら俺が帰る時間。俺は3人分の使用済みの食器を流しに運んでいく。

 俺の部屋で朝食を食べた時ならともかく、この時間に俺が片付けたことに訝しんでいる酒寄を尻目に舞台を整えていく。食器を全て一旦流しに置き、ちゃぶ台を壁際に運ぶ。

 

「えっ、浦野なにしてんの?」

 

「俺ではない。かぐやだ」

 

「はい?」

 

 酒寄の背後を指さし、振り返らせる。そこにはコードが接続されていないマイクを手に持ったかぐやが立っている。

 

「は? えっ、なに……?」

 

「彩葉に贈る歌、一曲目」

 

「は?」

 

 かぐやの合図に合わせて、俺は自身のスマホを操作し音楽を流す。

 

―――――――♪

 

 狭い部屋にかぐやの歌声が響き渡る。

 

 酒寄を元気にするための案その2。歌。

 酒寄が音楽に秀でているというのは、俺とかぐやの共通認識である。そしてかぐやが言うには歌を聞くのも好きとのこと。酒寄のスマホにはヤチヨの楽曲が入っていたり、かぐやの歌を楽しそうに聴いてくれたから、だとか。

 だからこそ、この歌の贈答である。

 ただ選曲については少し怪しいものがあったのだが。

 

 かぐやの歌うその歌は広く知恵を磨き、豊かな感性を育み、高やかな意思を持って進めと訴えかけるものだった。

 かぐやの声で奏でられたその歌が耳に届いた途端に酒寄は動きを止める。これは効果があったということだろうか?

 そうしてそのまま歌唱は続き、最後まで酒寄はピクリとも動かずに聞き入っていたようだった。

 

「……」

 

「……」

 

「……」 

 

 酒寄の反応を待つが状況に変わりはなし。沈黙の中、俺とかぐやは目を見合わせる。

 成功したのだろうか。

 

「……あの、聞いていい?」

 

「おっ、なになに!?」

 

 ようやく口を開いた酒寄に、かぐやが若干前のめりになりながら答える姿勢を示す。

 

「……その」

 

「うん!」

 

「……なんでいきなり歌い出したのかとか、聞きたいことは別にあるんだけど、まず一番最初に聞きたいのは」

 

「なに!?」

 

「―――……なんで、うちの()()()()()を選曲したわけ?」

 

 酒寄の言葉にかぐやと目を見合わせる。

 なんでもなにも。

 

「彩葉が知ってる曲がわかんなかったから、しんたろーと相談して『これなら絶対に知ってる』って曲にした」

 

 ヤチヨの曲ならいつでもスマホで聞けるだろうからそれ以外で。とかぐやが言うので俺が提案した。

 高校の校歌。以前に『登校することは命よりも大事』と(のたま)った酒寄である。ならば校歌は確実に記憶しているはずだ。

 ただ問題はこれが酒寄の好きな楽曲であるかどうかが不明であるということ。それが不安材料ではあったのだが。はたして結果は?

 

 かぐやの返答に頭を抱える酒寄。

 なるほど。

 

 かぐやと再度目を見合わせ、頷く。

 

「彩葉に贈る歌、二曲目」 

 

「は?」

 

 一曲目で効果が無い可能性は検討済みだ。故に対策も既にある。酒寄の好みがわからない以上は数を撃つしかない。

 ということで楽曲も複数用意しておいた。

 

 スマホを操作し、先程の校歌とは別の音源を流す。

 そしてかぐやの歌声が部屋に響き渡る。

 

き~み~が~よ~は―――♪

 

―――いい加減にしろ、このポンコツコンビ!

 

 二曲目もダメだったらしい。

 

 

☆☆☆

 

 

 案3つ目。

 

「どうしよっか」

 

「どうするべきだろうな」

 

 特に思いつかなかった。

 歌を贈る、というのは方向性としては悪くなかったと思われたのだが、見事に失敗に終わった。生憎と校歌も国歌も好みの楽曲ではなかったらしい。つまりは俺が覚えている楽曲は全て酒寄の琴線に触れることは無かったということだ。

 

「うーん。やっぱりこうなると物を買った方がいいのかな?」

 

「安価な消耗品か」

 

 なんだろう、トイレットペーパーとかか? 絶対に使うものだしこれでいいか?

 

「えー、彩葉にはなんかちゃんとしたのプレゼントした~い……」

 

「そうか」

 

 とはいうものの、どうしたものか。

 

 2人で悩んでいると、かぐやが指を鳴らしてから俺を指さす。なにか思いついたらしい。

 

「しんたろー!」

 

「なんだ」

 

「友達!」

 

 ん?

 

「しんたろーの友達! その人に聞いてみるのはどう? 色んなこと詳しそうな人なんでしょ?」

 

「……なるほど」

 

 ヤチヨに相談か。悪くないかもしれん。

 問題はヤチヨがその相談を受けてくれるかだが。

 

「……わかった。今夜にでも聞くだけ聞いてみる」

 

「おおー」

 

「ただし期待はするな。あいつは忙しいだろうから答えが返ってこない可能性もある」

 

「む~………わかった」

 

 予防線を張った上でかぐやから了承を貰い、その日の晩。3人での夕食後に俺はさっさと自室に戻ってツクヨミへとログインした。

 

 ということで。

 

「―――以上が相談したい内容だ」

 

 ツクヨミの街中をブラついている分体であろう透明なヤチヨを見つけ、人気(ひとけ)のない場所まで誘導してから相談を持ち掛けた。

 ヤチヨにもやるべき業務がある以上断られる可能性も考慮はしていたが、ヤチヨは快く相談に乗ってくれるようだった。

 

「なるほどね~」

 

 腕を組み、何度も頷くヤチヨ。

 これで解決策が出てくれば助かるのだが。

 

「それなら一個、オススメのものがあるよ」

 

「オススメのもの?」

 

「そ。ヤチヨのとっておき」

 

「……それは一体なんだ?」

 

「そ・れ・は~」

 

 ニヤリと笑いながらヤチヨは楽し気に答えた。

 

 

☆☆☆

 

 

 というわけで。

 

「酒寄を元気づける案その3」

 

「がんばろーね、しんたろー!」

 

「……ああ」

 

 別に俺にやる気があるわけではないんだがな。あくまで俺がしてるのはかぐやの手伝いにすぎん。

 

「じゃあ、しんたろーは先に行ってて」

 

「わかった」

 

 そうしてかぐやは俺の言葉を聞くと同時に、酒寄の部屋へと戻っていく。

 今は既に深夜と呼べる時間。夕食を終えたあと今日は俺の部屋で配信をすると言ってかぐやはこちらに来て、最後の打ち合わせをしていた。

 

 片目を()()、既にログインしていたツクヨミで配信の準備を整える。

 最近はかぐやの突発的な配信の影響で、この手の作業も慣れてきた。人生とは本当によくわからんものだな。まさか俺がこんなことを出来るようになるとは。

 

 SNSのかぐやのアカウントで告知をし、配信を開始し待機画面を表示させる。すると―――

 

 ―――トントン。

 

 酒寄の部屋側の壁が2回叩かれる。

 先日にかぐやと酒寄と共に協議し制定された『そっちに行く』の合図だ。ちなみに3回なら『こっち来て』。4回は『今はダメ』という返事だ。 

 

「行くか」

 

 開いていたもう片方の目を()()()

 閉じたはずの視界に映るのは最早見慣れたとさえ言えるツクヨミの街並み。その街の外郭、人気(ひとけ)が少ない区域に俺はいつものサルの着ぐるみを着用して立っている。

 

 数秒待っていると、すぐそばに2人と1匹の人影が現れる。かぐやと犬DOGEがキツネの着ぐるみの酒寄を挟むようにして立っている。まるで囚人の護送だな。片方は犬だが。

 

「ちょっとこれ、なんなの、いきなり!?」

 

「まあまあ、彩葉落ち着いて~」

 

「ワンワン!」

 

「無茶言うなっ!」

 

 なんと言って連れてきたのか。そしてなんと言われてついてきたのか。甚だ疑問な光景だな。

 

「かぐや、いいのか」

 

「オッケー! 始めちゃっていいよ!」

 

「わかった」

 

「は? なにを」

 

 酒寄の困惑の声を聞き流しながら、俺は待機画面を解除して今の光景をカメラウィンドウで撮影する。それに気付いた酒寄が慌てたように姿勢を正す。相変わらず妙に律義なものだ。

 

「かぐやっほー! かぐやだよー! そしてこっちが」

 

「ワンワン!」

 

「マスコットの犬DOGE。そして~」

 

「……たろーD」

 

「うむ。そんで今日はさらに~」

 

 犬DOGE、俺と順に向けていた手を酒寄へと向けるかぐや。

 一瞬それを止めようとしたのか片手が上がったが、すぐにその手は下がった。あの動きはいつもの諦めたときの酒寄の動きだな。

 

「……い、いろPでーす」

 

 かぐやの言う通り、元気のない挨拶だな。

 

「―――ってことで今回の配信は昼間の続き! まだ見てない人はアーカイブちょっとでも見てきた方が楽しいかもしんないよー」

 

「つ、続き?」

 

 疑問の声を漏らす酒寄。

 まあ、そうだろうな。なんといっても今日の昼間の配信といえば―――

 

「昼間のって、あの『いろP絶対見るの禁止!』ってタイトルで配信してたやつ……?」

 

「うん、それ!」

 

 あれはタイトルから内容を何一つとして読み取れない配信だったな。

 それにしても、まさか酒寄が把握しているとは思わなかった。バイト中だから気付かれないだろうと話していたんだが。

 

休憩中に通知に気付いた時の私の顔、見せてやりたかったかも……

 

 小さく呟いているが、生憎とかぐやは聞いていないぞ。

 

「彩葉!」

 

「な、なにかぐや……?」

 

 何故か身構える酒寄。

 

「はいこれ!」

 

「……?」

 

 両手を差し出すかぐや。それを訝しむようにキツネの頭を傾げてその手の中を見る酒寄。

 

「え、これって……」

 

 酒寄が顔を寄せて確認しているそれは、()だった。 

 

「―――かぐやの髪飾り……?」

 

 そう。酒寄の言う通りで、それはツクヨミでかぐやの頭部を飾っている三日月の形状のアクセサリーだ。ただし―――

 

「なんか、ちっちゃい?」

 

「それだけじゃないんだな~」

 

 顔を横に向け、自身の頭部にあるアクセサリーをよく見えるようにするかぐや。そこにあるアクセサリーとかぐやの手の中にあるものを見比べていると、違いに気付いたようで驚きの声を漏らす酒寄。  

 

「これ、よく見たら違う………月の中に模様がある」

 

 月の模様に指を向け、呟くように言う酒寄。

 なんとか気付いてくれたようでなにより。おかげでかぐやの顔色が良くなった。

 

「そのとーり! これが何の模様なのか、彩葉はわかる?」

 

 期待するように笑顔を深めるかぐや。

 

「なにって……」

 

 かぐやの手の中のアクセサリーに顔を寄せて確認する酒寄。

 一応、類推することは可能なはずだがな。俺でも多分ギリギリ思い当たるものだ。

 

「犬とサルにネ………いや、この並びなら、もしかしてキツネ?」

 

 酒寄の回答に瞳をこれでもかと輝かせるかぐや。無事に伝わったようでなにより。

 

「だいせいかーいっ! やったー!」

 

「ワオーン!」

 

 アクセサリーを握ったまま両手を天に突き上げて喜びを表現するかぐやと、その周りを吠えながら周回する犬DOGE。元気なものだな。

 

「たろーD、あれってもしかしてだけど」

 

「かぐやの作だ」

 

 俺の言葉に息を呑む酒寄。

 なんだ、わかっていたのではないのか。

 

「昼間の配信でコメント欄からアドバイスをもらいつつも、かぐやが最初から最後まで手ずから作成したアクセサリーだ」

 

 酒寄を元気づけるための案その3。『女の子にはかわいいアクセサリーを』

 それが昨夜ヤチヨに相談した結果得られた回答であり、そしてその考えと共に紹介された施設が手作りアクセサリー店だった。

 その店で今日の昼間、酒寄が夏期講習とバイトに行っている時に開始した配信で作成したのが、未だにかぐやの手の中にあるアクセサリー、アイテム名『みんなの月』だ。

 

「ほら、みんな聞いたでしょ! キツネだよキツネ! ネコじゃないもーん! かぐやが言った通り彩葉はちゃんとわかってくれたでしょー!」

 

 カメラに向けて『みんなの月』を翳し、コメント欄に話しかけるかぐや。

 

 俺は何を描くのか最初に聞いた上でネコだと思ったがな。口には出さなかったが。

 酒寄は途中でネコと言い出しそうになったのをよく抑えたと思う。もしあれを言っていたらかぐやの機嫌が悪くなってた可能性もあった。 

 

「……手作りアクセって、結構癖があって難しかった覚えがあるけど」

 

「ああ、手こずっていた。納得する月の形状を作るのに4時間かかったからな」

 

「よ、4時間も?」

 

「全部で7時間だ」

 

「なっ……」

 

 妥協すればもっと速くに終わったのだが、かぐやは一切妥協しなかったからな。おかげでと言うべきかはわからんが、最初は囃し立てるようなコメント欄が終盤には真剣にアドバイスをするコメントで溢れていた。その甲斐あって仕上げは予想以上にすんなりと完了した。てっきりあのペースなら完成は明日になるかと思ったのだが、俺のカンは当たらないものだな。

 

「なんで、そんなに」

 

 なんでと言われたら、答えは一つだ。

 

「……わからなかったからな」

 

「わからない?」

 

 頷く。

 

「―――酒寄の喜ぶもの、が何かわからなかった。だからだ」

 

「は……?」

 

「だから精一杯力を尽くしてアレを作った、らしい」

 

 正直俺はヤチヨの答えも、それを受けたかぐやの考えも理解はできていない。意味がわからない。だがきっと、俺以外にはわかるのだと思う。

 カメラに向かって自慢げなかぐやを静かに見つめる酒寄。その表情は着ぐるみがあるので窺うことができないが、これまでの経験上どんな顔をしているのかはなんとなくわかる。きっと、またあの眩い光を瞳に宿しているのだろう。

 

 はたして、それは一体どんな感情なんだろうな。

 

「いーろはっ!」

 

 カメラの向こうの人々に対する自慢が終わったのか、かぐやが酒寄の元へと駆け寄ってくる。

 

「はい!」

 

 手の中の『みんなの月』を差し出すかぐや。

 

「彩葉のだよ」

 

 その言葉受けて手を伸ばしかけるも、手を戻す酒寄。

 

「私、こんな大事なもの貰えるようなことしてないよ……」

 

 ポツリと言葉を溢す酒寄。

 

「だって、まだ何も出来てない……」

 

 俯き肩を落とす酒寄。

 今の言葉がどういう意味なのか俺にはわからない。だけど―――

 

「―――彩葉は出来てるよ」

 

 かぐやには、わかるのかもしれない。

 

「彩葉が頑張ってるのかぐやはいっぱい知ってる。彩葉が毎日毎日外でも家でも頑張ってるの、かぐやはちゃんと知ってるよ」

 

 酒寄の手を掴み、その手の中に『みんなの月』を押し込めて、その上に自身の手を重ねるかぐや。

 

「かぐやに友達を会わせてくれたり、次の配信で何するか相談したらしっかり考えてくれたり」

 

 ギュッと音が鳴りそうなほどに、繋いだ手を握りしめている。

 

「そして、かぐやと一緒にいてくれてる。―――だから大丈夫。彩葉はちゃんと出来てるよ」

 

 真っ直ぐに、着ぐるみ越しに酒寄の目を見つめて告げる。

 

「だから彩葉、受け取って。かぐや、めっちゃ頑張って作ったから」

 

 そうして、そっと繋いだ手を放すかぐや。その手にはもう輝く月は握られていない。

 

 手の中に残された月を黙って見つめる酒寄。

 数秒そうしていると突然動き出して、ウィンドウを操作し始めた。

 タップする指の動きが止まると手の中にあった月は掻き消え、そして―――

 

「わぁ~! やっぱり似合うね彩葉!」

 

「……このスキンに似合うもなにもなくない?」

 

 ―――キツネの着ぐるみの頭部を飾る『みんなの月』。

 

「そんなことない! めっちゃ似合うよ! ね、しんたろー?」

 

「……そうなのかもな」

 

 俺に聞くな。そういうのは俺にはわからん。

 

「……その、かぐや」

 

「な~に、彩葉?」

 

「これ、すっごいかわいい………ありがとう」

 

 花が咲くように満面の笑みを浮かべるかぐや。どうやら目的は無事に達成出来たようだ。

 

「どういたしまして!」

 

「わっ! ちょっと、だからいきなり抱き着くのはやめなさいって前も言ったでしょ!?」

 

「覚えてないもーん」

 

「うそつけー!」 

 

 じゃれ合う2人を横目で見つつ、カメラの方へと歩く。

 目的は果たした。今日の配信は予定通りこれで終わりだな。

 

 カメラの前で軽く会釈をし、口を開く。

 

「昼間は助かりました。おかげで無事に目的を完遂出来たようです」

 

:おつ

:たろーDもおつかれー

:早くそこどけ見えない

:役立ったようで何よりでーす!

:百合百合しくてたすかる

:いろPはいつ着ぐるみ脱ぐの?

 

 雑多に流れるコメントを軽く読み流す。読み込む必要は無い。

 これまでかぐやに付き合って学んだ。これはちゃんと読む必要が無いと。じゃないと面倒くさいからな。いつまでも流れるから付き合いきれん。

 

「ワン!」

 

 足元から聞こえる鳴き声に視線を向ける。

 

「……」

 

「ワンワン!」

 

 どことなく胸を張るようにして座っている犬DOGEの首元では『みんなの月』が星明りを反射するように輝いていた。

 

「……犬DOGEのものも作っていたのか」

 

「ワン!」

 

「そうか」

 

「ワン!」

 

 わからん。

 なにか言いたいのか、はたまたタイミングよく吠えてるだけなのか。

 まあ、どっちでもいいが。

 

「かぐやを呼んで来い。配信を終える」

 

「ワン!」

 

 伝わったのか未だに引っ付いてじゃれ合っているかぐや達の元へと駆け出す犬DOGE。

 やはりあれは言葉を理解しているのだろうか。

 

 そうしてどうでもいいことを考えていると、かぐやが酒寄の手を引いて近寄ってくる。

 

「しんたろー!」

 

「ああ。あとは挨拶をして」

 

 終わるだけだ。そう言葉を続けようとする俺の眼前に突き出される手。そしてその上で煌めく三日月。 

 かぐやの顔を見やる。にひひと得意気に笑みを浮かべている。

 

「……これは?」

 

「しんたろーの!」

 

 半ば予想はしていたが、一体いつの間に作っていたのやら。

 犬DOGEのものといい、上手いこと隠していたものだ。

 

「これで3人と1匹でみんなお揃い!」

 

 酒寄のキツネの右側頭部に犬DOGEの首元、そしてかぐやの左側頭部にも先程まで付けていた元の三日月のアクセサリーではなく、昼間に作成した新らたな三日月が煌めいている。

 

 差し出された手の中で輝く小さな三日月を眺める。

 他人からなにかを貰うのは、以前にヤチヨからチケットを貰ったとき以来だな。

 そういえばあれは一体何年ぶりに他人から贈られたものだっただろうか。あまり覚えていないな。

 

 手を伸ばし、受け取る。

 そのままウィンドウを操作し、入手したアクセサリーを装備する。そうすると手の中の月は掻き消え、新たに出現した位置は―――

 

「―――耳?」

 

「そう! しんたろーのはイヤリングにしたの」

 

 頭を動かすたびにチリンチリンと、小さな金属音が左の耳元で鳴る。

 ただ耳元とはいえ、それはサルの着ぐるみの耳元。実際の耳よりは少し離れたところから音が鳴るから、少し変な感じだな。

 

「うんうん。しんたろーも似合うね!」

 

「そうか」

 

 見えないから俺にはわからんが。いや、見えてもどうせわからんだろうが。

 

「感謝する」

 

「いーよ。どういたしまして!」

 

 贈り物には感謝を返す。

 別に嬉しいという感情が俺の内に湧いているわけではないが、そうするのが常識のはずだ。であれば、そのようにしなくては。

 

「ではかぐや、そろそろ」

 

「そうだね。―――ってことで、短いけど今夜はここまで! みんな来てくれてありがとー! お昼にいっぱいアドバイスくれたみんなもありがとね! おかげですごいかわいいの作れちゃった!」

 

 カメラに向かって話をしつつ、俺と酒寄を両隣に誘導するように手招きするかぐや。随分とこなれたものだ。

 

「みんなホントに助かりました! ありがとー! 見てない人も良かったらアーカイブをチラッと見てねー。―――ってことで、かぐやいろPチャンネルのかぐやと~」

 

「みなさん、素敵なものをありがとうございました。いろPと」

 

「……たろーD」

 

「ワンワン!」

 

「犬DOGEでしたー! みんなまた見てねー! バイバーイ!」

 

 そうして紆余曲折はあったものの、無事に酒寄を元気づけるという計画は完了したのだった。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ行ってくるねー」

 

「ああ」

 

 週末。かぐやが外出の準備をして出発前に声をかけてきた。

 

「買い物だけだからあんまり遅くはなんないけど、もしかしたらお昼食べてくるかも」

 

「別に構わん。かぐやの好きにするといい」

 

 水着を買ってくる、らしい。

 明日、芦花と真実なる人物と海に行く約束だそうで、そのための水着を買うのに芦花が協力してくれるとのこと。

 かぐやは学校に行ってないから水着は持ってないからな。泳ぎに行くというのならわざわざ買わなくてはならない。面倒なことだ。

 

「彩葉の冷蔵庫に昨日のカレー残ってるから、なんなら食べていいからね」

 

 かぐやがいない以上、向こうで食事をする理由は無いのだが。

 

「彩葉も今日はお昼からバイトでそれまでは勉強するって言ってたから、仲良くね~」

 

 おそらく無理だと思う。

 

「じゃあ、いってきまーす」

 

「ああ。いってらっしゃい、かぐや」

 

 かぐやが玄関から出ていくのを見て、それから鍵をかける。

 

「彩葉ー、いってきまーす」*1

 

「はいはい。いってらっしゃい。気を付けてね」*2

 

「はーい」*3

 

 その間に隣の部屋の扉が開き、今聞いた言葉と同じものを隣室で投げかけ合っているのが微かに聞こえる。わざわざ両方の部屋に伝えてから行くとは律義なものだ。

 

 タンタンと階段を降りていく音を室内で確認してから、ゆっくりと息を吐く。

 かぐやに協力するのは正直疲れる。肉体的にではなく、精神的に。慣れないことをひたすらにすることになるからか、妙に気疲れしている気がする。

 なので最近は芦花と真実のおかげでこうして自由時間が与えられているのは、正直助かっている。

 

 そうして床に横になり、どれだけの時間が経過しただろうか。スマホを手の取り確認しようとすると―――

 

 ―――ドンッ!

 

 隣室から、重たい音が響いてきた。

 

「……酒寄?」

 

 体を起こし、壁に寄る。

 壁に手をついて目を瞑り、静かに気配を探る。だが動いている気配は一切感じられない。

 だが、先程の音は確かに酒寄の部屋から聞こえたもので、そしてその発生源は酒寄の机のすぐそばの地点だったのは確実である。ということはつまり―――

 

「―――……倒れた?」

 

 想定外の事態に、俺は少しの間立ち尽くしていた。

*1
「彩葉ー、いってきまーす」

*2
「はいはい。いってらっしゃい。気を付けてね」

*3
「はーい」




超無理限界ギリな女子高生/酒寄彩葉
そもそもの話、酒寄彩葉は母に認められたい少女である。それが根幹にあるからこそ上京して一人暮らしなどという無謀とも言える環境に自ら飛び込んだ少女である。
そんな彼女は他者からの施しを受け取らない。だってそれを受け入れてしまうと母に対して宣言した「1人でも生きていける」という言葉が嘘になる。認めてもらえなくなる。だから自分で決めたライン以上の物は絶対に受け取らない。たとえそれが友人だとしても。パンケーキくらいならたま~に奢ってもらったりするけどね。
だからこそ、仮想の世界で貰った手作りアクセサリーはとても嬉しかった。

基本的にポンコツな男/浦野真太郎
お前よくこれまでちゃんと生活してこれたな。とこれまでの生活を知られると言われそうなオリ主くん。でも大丈夫、聞かれない限り自分からは絶対に口にしないから。
オリ主くんがしっかりと記憶している歌というのは2曲だけ。高校の校歌と国家。このおバカ。ちなみに小、中学校の校歌は卒業式のあとできれいさっぱり記憶から消えていった。
興味がなく、必要のないものはとことん忘れるオリ主くんであった。

常識は覚えてきたが若干まだポンコツ気味なハイスペック宇宙人/かぐや
毎日彩葉が夜遅くまで起きてるし、朝もすごい眠そうにしてるのに気合入れて出ていくしですごい心配してた。なので元気づけようと頑張って最終的にはツクヨミでの手作りアクセ。お値段にして10ふじゅ~なり。ツクヨミは基本的に物価が安いのである。
元の三日月が光で輝いているような模様に加えて犬、サル、キツネの影が模様として刻まれている。犬DOGE、しんたろー、彩葉をモチーフにした模様が見て取れる三日月型のアクセサリー。かぐやの想いが籠ったこの世で4つしかない貴重品である。
キツネが若干ネコっぽく見えてしまうのはご愛嬌。
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