男は守られるのが常識の貞操逆転世界で、唯一魔法を使えるようになったので、全力で女の子達を守っていたら激しく執着されるようになってしまった   作:タンポポ西田

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第3話 初めての体験sideアイリス

 アタシ、アイリス・フォーミラーは処女である。

 

 別に処女であることは世間的にはおかしいことじゃない。

 

 そもそも女300人に対して男は1人しかいない。

 

 レアっちゃあレア。

 

 レアだけど男は女と違って魔法も使えない。

 

 魔法は使えないけど、子孫を残すためには必要だったりする。

 

 それが世の中の常識。 

 

「いやさぁ、この前幼馴染みとやっちゃったんだよね」

 

 ある日の放課後の教室。

 

 仲の良い女友達がそんなことを言った。

 

「屈服してる感じっていうの? 初めてしてみたけどたまらなかったよね」

 

「え、めっちゃSじゃん。意外なんだけど」

 

「お恥ずかしい……ちょっとヒートアップしちゃって」

 

 昔の人は男に嫌悪感を抱く人の方が多かったけど、

 

 アタシ達の世代だと、むしろやっておくのが当たり前になってる。

 

 だから、やったことないは恥ずかしい。

 

 そんな認識になっている。

 

「アイリスは経験豊富そうだよね~、なんか処女じゃない貫禄が漂ってるし」

 

「どういう意味だし」

 

 ごめんね。本当は処女なんだけど。

 

 本当は処女なんだけど、めっちゃ経験豊富みたいな扱いをされている。

 

 それがアイリス・フォーミラーがクラスで受けている評価だった。

 

 でも、別に男に興味がない訳じゃない。

 

 ただ、アタシに男の子の知り合いなんていないし、()()()()()()に行く覚悟もない。というか処女を卒業するにはその二つしか手段がない。

 

 だけど娼夫(しょうふ)を使うことは学院の規則にはダメって書いてある。

 

 まぁ……そんなことを馬鹿みたいに守っている生徒は少ない。

 

 リリアちゃん(委員長)みたいにお堅い子を除けば大半の子は使っている。

 男はクラスどころか学院にはいないから。

 

 だって、魔法が使えない生徒を魔法の学び舎にいれるのは理にかなわない。

 

 それにお金を払ってまで初めてを済ますのはなんか違う気がする。

 

 あと、そういう男の人ってなよなよした割に年齢が倍以上離れているのもざら。

 

 とはいえ、たった三年間しかない青春を女だらけの日々で終わらすのもいかがなものだろうか。

 

 そう思っていた矢先。 

 

「初めまして。ユークリッド・ヴェレミアと申します。見ての通り男です。色々と思うところはあるかもしれませんが、これから仲良くして頂けるとうれしいです」

 

 ………………………………え?

 

 お、男ぉぉぉおおおおおっ!?

 

 しかも同い年。ちょっと幼い顔立ちなんだけど、どこか大人っぽい雰囲気を纏っている。

 

 一目で分かる。めっちゃ可愛い。めっちゃタイプ。

 

「先生、ご質問よろしいでしょうか?」

 

「ん? 手短に頼むよ? リリア・タルタロス君」

 

 委員長はスンとした表情で先生に質問を投げかける。

 

「どうして、男であるユークリッド・ヴェレミアはこの学院にいるのでしょう?」

 

 たしかにそれは気になる。

 

「ここは由緒正しき王立魔法学院——魔法を学び、極める場所です! それなのに、()()()使()()()()()がどうして同じクラスにいるんですか!!」

 

 委員長は机をバンっ! と叩いて不満をあらわにする。

 

 クソっ! これだから古い考えを持ったままの学生おばあちゃんが!

 

 べつに魔法を使えなくてもいいじゃんか!

 

 だって男だよ?? 年の近い男の子!

 

 しかもなんかずっと怒ってるし……しゃーない助け船を出してあげよう。

 

「まぁまぁ、委員長。別に目じくら立てなくていいでじゃん」

 

 アタシがそう委員長に呼びかけると、

 

「アイリス・フォーミラー……貴女はヘラヘラしすぎなんです!」

 

 委員長ぶちギレ。

 

 ヘラヘラだってするでしょ? でもここで引くのは女が(すた)る。

 

「いやいや、委員長。だって貴重な若くて可愛い男の子だよ?? アタシは先生の言うようにユークリッド君がいたら、モチベ上がるなぁ?」

 

 うへへ……と鼻を伸ばしながら転校生(男の子)を見る。

 

 よし。これでアタシへの好きになったに違いない。

 

 だって、怖い女の子から守ってあげたんだよ? 間違いない……惚れたね。

 

 ふっ……アタシって罪な女。

 

 まぁ、とはいえ今は委員長を説得させるか。

 

「それに魔王軍と戦うことになったら、いつかアタシ達は死ぬかもしれないって。アタシはいつ死んでもいいって思えるような生き方をしたいんだって」

 

 これはアタシの本心。

 

 だって、こんなご時世だし、いつ死んでもおかしかないから。

 

「それにいくら口では綺麗なことを言っても!! 貴方が……お、男を弄ぶのが慣れているからそんなことを言えるのでしょう!? 私は騙されませんよ!」

 

 ひどい! 本当は男を弄ぶどころか触れたことすらないのに!

 

 とはいえ、ここで反論してしまってはアタシが処女だってバレてしまう。

 

 悲しいけど黙ってよう。

 

 とはいえ、ユークリッド君。

 

 本当に良い顔してるんだよな。ラッキーなのはアタシと同じ一番後ろの列の席だから、良い顔見放題。まさにアタシはラッキーガール。

 

 日頃の行いがついに報われたのかな? 

 

 ありがとう神様。

 

「あぁ、そうだ、ユークリッド。この朝のホームルームが終わったら、早速で悪いけど雑務のことで学院長が呼んでっから後で向かってな」

 

 先生は無慈悲に言う。

 

「分かりました」

 

(そんなぁ~)

 

 アタシは心の中で呟いた。

 

 神様、アタシなにかしましたか??

 

 折角良い顔を拝みっぱなしにできると思ったのに。

 

 学院長め……ゆるすまじ。

 

 まぁ、実際はなにもできないんだけどね。

 

 とはいえ、アタシは考える。

 

 いうならば、王立魔法学院(ここ)は飢えたコカトリスだらけの檻みたいなもん。

 

 そんなコカトリスだらけの檻の中にか弱い男の子を入れたらどうなると思う?

 

 そうだよね。そりゃあ全力でついばみに行くよね。 

 

「ねぇねぇ、アイリスはどう思う??」

 

「え? あ、ごめん。聞いてなかったわ。なんの話?」

 

「ほら、転入生の子。可愛くない??」

 

「わかる。めっちゃわかる」

 

「わかっちゃうか~。じゃあ、もうしばらくしたらアイリスの毒牙にかかっちゃうのか~」

 

「あ、当たり前でしょ! ってか、アタシのイメージひどくない!?」

 

 なんてこった。これじゃあ後には引けないや。

 

「あ、予鈴なっちゃったじゃん。また後でね~」

 

 という訳で、なにかが変わりそうで実際何も変わらない日常(授業)がはじまる。

 

 アタシは自分の愚かさを恨みながら、今日もらしくない勉学に勤しむ。

 

 でも実際、ユークリッド君とコトを致すとしてどう誘う?

 初めてには代わりないけど、個人的にはアリよりのアリアリ。

 なんてことを思っていたら昼休み。

 やっべ。なんも授業聞いてないや☆

 

 気が付いたら、ユークリッド君は帰ってきていた。

 

 ユークリッド君の机の前には委員長がいる。

 

 何を会話してるのか……気になって声をかけてみたら、

 

「貴方がいなかった時に用意した授業のメモ。私も復習したいから明日までには返してちょうだい」

 

 あれ? なんだかんだ、委員長も点数稼いでない?

 

 このままだと、他の女に唾つけられちゃう? 

 

 何度も言うけどユークリッド君の顔はめっちゃタイプ。

 

 今ならバレない内にささっと卒業してしまえばいい。嘘から出た誠にすればアタシの勝ち。

 

 大丈夫。ユークリッド君は男の子だ。魔法は使えないから最悪力技でなんとかしてしまえばいい。

 

 でもどうやって二人きりになれば……。

 

 あ、待てよ。アタシ、閃いた。

 

 雑務って言って呼び出せばいいのでは?

 

 やばっ。アタシって天才じゃん。

 

 たしか、旧校舎は誰もいないし近寄らない。

 

 神聖な学び舎でエッ! する背徳感。

 

 うん、たまらないね。

 

 あとは、やるだけ……覚悟を決めろアイリス・フォーミラー。

 

 とりあえず、声を掛けに行かねば話にならない。

 

「ついに……やっちゃうんですね」

 

 仲良い友達はニヤリと表情を浮かべて言ってくる。

 

「なんで敬語??」

 

「つい(笑)」

 

「おい。馬鹿にしてんだろ」

 

 言葉の端が笑ってるんだよな。

 

 まぁ、今は気にしたら負けだ。

 

 あ、委員長がユークリッド君から離れた。

 

 今がチャンスなのでは??

 

「いや〜、ユークリッド君やるねぇ〜」

 

 アタシはユークリッド君に声をかける。

 

「アイリスさんですよね。今朝は庇ってくださりありがとうございました」

 

 え? 名前覚えてくれてるって、ま??

 

 めちゃ嬉しいんだけど。

 

 だが、落ち着け。ここで素を出したらアタシの負けだ。

 

 いつも通りにやるんだ。

 

「いやぁ……照れるなぁ〜。あ、そうそうそれでさ? ユークリッド君ってアタシ達の雑務(お願い)もこなしてくれるの?」

 

「もちろんです。なにかお困りのことがあれば対応致しますよ」

 

 マジ!?? じゃあ、雑務っていってヤルのもありってこと!??

 

 ついにアタシの時代が始まるのか!?? 

 

「本当?? それじゃあ、ユークリッド君にお願いがあるんだけど……いい?」

 

「もちろんです。基本的な雑務なら任せて下さい」

 

「それじゃあ……ちょっとついてきてもらっていい?」

 

「分かりました」

 

 そうしてアタシとユークリッド君は旧校舎の倉庫の代わりに使っている空き教室に向かう。

 

 とはいえ、ユークリッド君は転入してきたばかりだから、ここが旧校舎とか分からないと思うけど。

 

 あー、でもこっからどうしよう。

 

 やるからには、気持ち良かったって思ってほしい。

 

 これは本心。

 

 だって、アイリスさん下手でしたね(笑)なんて言われてみ?

 

 もうお婿貰えないって。

 

 そうならないためにも頑張らねば。

 

「ここなんだけど」

 

 ユークリッド君を倉庫の代わりに使っている空き教室に入れて、

 あとはカチャリと鍵を閉めるだけ。

 

 なんてお手ごろ二人きりの密室完成。

 

「アイリスさん?」

 

 ユークリッド君はアタシを真っ直ぐ見つめて尋ねる。

 

 もうここまで来たら、やるしか……ない!

 

 

「アタシを処女から卒業させてよ」

 

 

 アタシはついに言ったぞ!

 

 でも緊張しすぎて、喋るたびにボロが出そうだから可及的速やかにコトを済ますしか。

 

 取り急ぎ、私はユークリッド・ヴェレミアの腰の上を(またが)った。

 

 そしたら、お股になにか突起が刺さった。

 

「うおっ……!」

 

 思わず体勢が前のめりになる。

 

 結果としてアタシは顔をユークリッド君の胸に(うず)まった。

 

 おっほ……! 

 

 めっちゃ良い匂いする!

 

 オランジとかの甘酸っぱい果実のような香りがする。

 

 うへぇ~……男の子ってすごいんだね。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ねぇ。ここを永住の地にしていい?」

 

「ははっ。アイリスさんって面白いですね」

 

 そういって、ユークリッド君はアタシの頭をポンポンと撫でる。

 

 ……ちょっ。

 やばっ……堕ちそう。

 

「不安ですよね。大丈夫です。俺が支えますから」

 

 ユークリッド君はアタシを手を指と指を絡めるように握ってくる。

 

「ひゃ、ひゃい……!」

 

 こんなの……知らない。

 

 でも結果として、すごく安心する。

 

 なんてことを思っていたら、昼休みが終わる前のチャイムが鳴る。

 

「うっそん……」

 

 ユークリッド君はアタシを手を指と指を絡めるように握ってきた手を放す。

 

 さっきまでユークリッド君のぬくもりで温かった手の温度はアタシの冷や汗も相まって、冷たくなっていた。

 

 終わった。アタシってなにやってんだろう。

 

 そう思っていると、ユークリッド君はアタシの腰に手を回して抱きしめる。

 

「ゆ、ユークリッド君!??」

 

 思わず、アタシは驚いた。

 

 今からコトを致そうとしていたのに、何を今更って感じだけど。

 

 そのままユークリッド君はアタシの耳元で囁く。

 

「アイリスさん」

 

「は、はい……!」

 

 ユークリッド君の吐息がアタシの耳に当たる。すごくこそばゆい。

 

「このまま次の授業サボっちゃいましょうか」

 

 そんな言い方、ズルやないですかい。

 

「初めてですよね。丁寧にやりますから」

 

 え? なんでそんな余裕あるの? まさかユークリッド君は経験豊富なのでは?? 

 

 いや、まぁおかしくはないか。普通に可愛いし。

 

 なんて思っていると、

 

「お゛っ……!」

 

 ユークリッド君は私の胸に優しく触れる。

 

 やばい。触られただけで変な声でた。

 

 そこから先はユークリッド君のなすがまま。

 

 アタシは4時間目の授業と引き換えに処女を卒業した。後悔はない。

 

 ただ……なんというか、凄すぎた。

 

 知らんかった。これが本当のエッチなんか。

 

 一人でやるのと比べて段違いで気持ち良かった。

 

 とはいえ、これでグッバイ処女宣言。

 

 晴れてアタシは処女じゃなくなった。

 

「……ま、またお願いしよ」

 

 これはこれ、それはそれだから。

 

 なお、気持ち良すぎて帰りのホームルームまで動けなかったせいで、みんなから色々質問攻めにされたのは別のおはなし。

 

 

 

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