BLACK LAGOON Maid's Salvation 作:AI太郎
イエローフラッグの扉が開いた。
バオは、磨いていたグラスから顔を上げる。
入ってきた女を一目見て、露骨に眉をひそめた。
黒いメイド服に白いエプロン。
手には淡いピンク色の日傘と、大ぶりの旅行鞄。
この街では殺し屋も、密輸屋も、娼婦も、傭兵も珍しくない。
だが、メイドとなると話は別だった。
ましてや、これほど場違いなほど整った身なりの女が、一人で酒場に入ってくることなど滅多にない。
バオっはグラスを置いた。
「ここにはミルクはねえぞ」
女――ロベルタは、少しだけ首を傾げた。
「ではお水を、、。」
「この街には今日着いたばかりで、右も左も分かりませんの」
バオは答えない。
「古いコロンビアの友人を訪ねて――」
ドン、と。
ビールの入ったジョッキが乱暴にカウンターへ置かれた。
跳ねた飛沫が、ロベルタの頬にまで届く。
「ここは酒場だ」
バオが吐き捨てる。
「酒を頼め、アホたれめ」
ロベルタは黙っていた。
頬を伝うビールの雫を、人差し指で静かに拭う。
怒った様子はない。
睨みもしない。
そして、何事もなかったかのように、もう一度口を開いた。
「この街には今日着いたばかりで、右も左も分かりませんの」
バオの眉間に皺が寄る。
「古いコロンビアの友人を頼って参りましたが――事務所は、どちらにございますか?」
「……お前な」
バオが低い声で凄んだ。
「ここが観光案内所か、職業斡旋所にでも見えるのか?」
返事はなかった。
ロベルタはただ、カウンターに座っている。
バオもそれ以上取り合わなかった。
勝手にしろ、とでもいうように背を向け、またグラスを磨き始める。
奇妙な沈黙が流れた。
一分。
二分。
どれほど経った頃だったか。
――ざっ。
店の外から音がした。
ひとつやふたつではない。
いくつもの靴底が地面を踏みしめる、重なり合った足音。
それは次第に大きくなり、明らかにこの店へ向かって近づいてくる。
ロベルタは振り返らなかった。
ただ。
手にしていたジョッキを握る指に、わずかに力が入った。
ピシッ。
バオの手が止まる。
次の瞬間。
パキン。
ロベルタの手の中で、ジョッキが砕けた。
「…………」
バオが、ほんの少しだけ身を引いた。
ロベルタは掌に残ったガラス片へ視線を落とす。
まるで、自分でも力を入れすぎたことに今気づいたかのように。
その顔には、何の感情も浮かんでいなかった。
*
ホテル・モスクワ。
事務所の机を挟み、バラライカと軍曹が向かい合っていた。
机上には何枚もの写真と、分厚い調査資料が広げられている。
南米の名家――ラブレス家。
軍曹は資料を確認しながら、淡々と報告を続けた。
「妻は四年前に死去」
バラライカは黙って写真を眺めている。
「写っているのは、当主のディエゴ。一人息子のガルシア。そして――」
軍曹の指が、最後の写真へ移る。
黒髪。
眼鏡。
端正な顔立ち。
メイド服を着た、一人の女。
「使用人のハウスメイドであります」
バラライカは答えなかった。
写真を見つめている。
やがて。
「……気に入らんな」
軍曹が顔を上げた。
バラライカの視線は、まだ女の写真から動かない。
「良くない」
「と、申しますと?」
バラライカは写真を指先で押し出した。
「同志軍曹。よく見ろ」
軍曹が写真を手に取る。
「何か気づかんか」
軍曹はしばらく黙っていた。
顔ではない。
服でもない。
見るべきものは――その目。
やがて軍曹が答えた。
「……兵士の目ですな」
バラライカの口元が、わずかに歪む。
「正解だ、軍曹」
そしてもう一度、写真の女を見る。
「しかし、それだけじゃない」
低い声だった。
「こいつは――とびきりの狂犬だよ」
*
イエローフラッグの扉が、荒々しく開いた。
入ってきたのは一人ではない。
二人。
五人。
十人。
中南米系の男達が、次々と店内になだれ込んでくる。
店の空気が一変した。
男達は自然に散開し、カウンターに座るロベルタを取り囲んでいく。
常連客達も馬鹿ではない。
一人が席を立った。
それを合図に、もう一人。
また一人。
誰も何も言わない。
勘定すら放り出し、我先にと出口へ向かう。
数十秒もしないうちに、店内から無関係な客の姿はほとんど消えていた。
ロベルタだけが動かなかった。
カルテルの男が一人、前へ出る。
「女。てめえに用がある」
ロベルタが静かに男を見る。
「おかしなメイド姿の女が一人、コロンビア・マフィアの居場所を探り回ってると聞いたんでな」
男が鼻で笑う。
「ハリウッドの時代劇でしかお目にかからねえイカれた女だ。そんな服で街中を歩いてりゃ、どんな馬鹿の記憶にも残るわ」
周囲から下卑た笑いが漏れる。
「俺達をここへ呼び寄せたのは何が目的だ?」
男の声が低くなった。
「貴様、何者だ」
ロベルタは静かに立ち上がった。
「見つけていただくのが、こちらの本意にございます」
男達の笑いが止まる。
「マニサレラ・カルテルの方々でございますね」
ロベルタはスカートの裾を整え、恭しく一礼した。
「私は、ラブレス家の使用人にございます」
その名前に、男達の目つきが変わる。
だがロベルタは構わず続けた。
「お聞きしたいことが、いくつか」
そして。
「失礼ながら――少々、ご無礼を働くことになろうかとも」
一瞬。
静寂があった。
次の瞬間。
店内が爆笑に包まれた。
「ご無礼を働くことになる、だとよ!」
「聞いたかよ!」
「何言ってんだ、このアマ!」
「大笑いだぜ!」
腹を抱える者までいる。
誰も気づいていなかった。
自分達が今、何を笑っているのか。
その時。
イエローフラッグの扉が再び開いた。
「……何だこりゃ」
最初に足を止めたのはダッチだった。
その後ろからロック、ベニー、レヴィ。
そしてガルシア。
入った瞬間、全員が異常事態を察した。
店を埋め尽くすカルテルの構成員。
その中心にいる、メイド姿の女。
「何だぁ?」
レヴィが目を丸くする。
「ずいぶん派手な連中が集まって――」
その言葉が終わる前だった。
ロベルタが淡いピンクの日傘を持ち上げる。
笑っていた男達へ、傘の先端を向けた。
「手加減の方はできかねますので――」
微笑すら浮かべず、静かに告げる。
「ひとつ、ご容赦を」
そして。
「ご堪能くださいませ」
爆音。
傘が火を噴いた。
耳をつんざく連続音とともに、無数の弾丸が店内を薙ぎ払う。
直前まで笑っていた男達の身体が跳ねた。
銃弾に穿たれ、その勢いのまま机を巻き込み、椅子ごと吹き飛んでいく。
木片。
ガラス。
酒瓶。
悲鳴。
怒号。
すべてが一瞬で混ざり合った。
「……何だこりゃよ」
ダッチが呟く。
レヴィさえ、しばらく呆然としていた。
「派手なモンぶっ放すねぇ……」
だがカルテル側も、いつまでも呆けてはいない。
「てめえら!」
生き残った一人が怒鳴った。
「遠慮はいらねえ! ぶっ潰せ!」
一斉に銃口が上がる。
ロベルタはそれを見ても、眉一つ動かさなかった。
「いかようにもできるのであれば」
火線が走る。
無数の銃弾がロベルタへ殺到した。
しかし。
そこにはもういない。
ロベルタは俊敏に射線から身体を滑らせる。
次いで日傘を大きく開いた。
弾丸が傘へ殺到する。
だが、貫かない。
特注の防弾繊維で仕立てられた傘は、雨粒でも受けるかのように銃弾を弾き続ける。
一発たりとも。
その向こうにいるロベルタの肌へ届かない。
撃つ。
撃つ。
撃つ。
男達は恐怖を振り払うように引き金を絞り続けた。
そして。
カチッ。
一人の銃が止まった。
カチッ。
また一人。
やがて、店内を満たしていた銃声が途切れる。
硝煙の向こう。
男達の顔に、安堵の笑みが浮かんだ。
やった。
そう思った。
傘がゆっくりと下がる。
その向こうから現れたロベルタには、傷一つない。
次の瞬間。
再び傘が火を噴いた。
弾切れになった男達を、一人ずつ。
正確に。
容赦なく。
撃ち抜いていく。
その光景を見ながら。
ガルシアの口から、無意識に名前が零れた。
「……ロベルタ」
呼びかけではなかった。
ただ。
あまりにも見慣れた姿を見つけてしまったために、口をついて出ただけだった。
ロベルタには届かない。
だが。
すぐ近くにいたレヴィには聞こえた。
「……あ?」
レヴィがガルシアを見る。
ガルシアは答えない。
今それどころではなかった。
銃弾が飛び交い始めた時点で、ラグーン商会の面々は店の隅にあるテーブルの下へ逃げ込んでいた。
ダッチ、ロック、ベニー、レヴィ。
そしてガルシア。
五人が身体を寄せ合うようにして、狭い空間に潜り込んでいる。
頭上では銃弾が飛び交い、テーブルや椅子が次々と砕けていく。
ロベルタは日傘だけではなく、旅行鞄――アタッシュケースまで盾代わりに使っていた。
「思いがけず、つまらねえ争いの場に踏み込んじまったな」
ダッチがぼやく。
だが、すぐに続けた。
「しかし、連中がやり合ってるってのは好都合だ。このままずらかるってのはどうだ?」
ロックが聞き返す。
「ずらかるって、どこへ?」
「この際、プーケットあたりで魚釣りでもどうだ」
「今それ言う?」
レヴィが銃を握ったまま顔をしかめる。
「で、どうすんだよ。撃つのか撃たねえのか、はっきり決めてくれ」
ベニーが頭を低くしたまま答えた。
「そりゃ撃たない方がいいんじゃないかな……」
ダッチは少し考えた。
そして。
「ガルシアを置いていく」
「え?」
ガルシアが目を丸くする。
「ちょっと。それはひどくない?」
「クレイモア地雷を抱えてお散歩するのは勘弁だ」
ダッチの視線が、戦場の中央にいるロベルタへ向く。
「本人が迎えに来たんだ。返してやるのが筋ってもんだろ」
「いや、でも――」
ガルシアは思った。
自分が出ていけばいい。
ロベルタに声を掛ければ、それで終わる。
少なくともロベルタが自分へ銃を向けることだけは絶対にない。
「俺が――」
テーブルの下から飛び出そうとした瞬間。
後ろから大きな手が伸びた。
「むぐっ!?」
ダッチだった。
口を塞がれ、そのまま引き戻される。
「おい馬鹿」
低い声。
「ガソリン撒くような真似すんじゃねえ」
「むぐぐ!」
ガルシアが抗議する。
ロックまで肩を押さえ、ベニーが腰を掴み、レヴィが服の裾を引っ張る。
結果。
全員でガルシア一人を押さえ込むという、銃撃戦の最中とは思えない光景になった。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「待たねえ!」
「本人が来たんだから僕が話せば――」
「だからそれが怖ぇんだよ!」
レヴィが怒鳴る。
やがて一行は、銃撃の隙を見て店の裏手へ向かって移動を始めた。
もちろん。
ガルシアを置いて。
「いやいやいや、ちょっと待ってよ!」
見捨てられたガルシアも慌てて後を追う。
その時だった。
「おい、レヴィ!」
バオの怒声が飛ぶ。
「またてめえらの知り合いか!?」
「知り合いじゃねえわ!!」
レヴィが怒鳴り返した。
そして。
その瞬間。
銃声が止んだ。
店内が、嘘のように静まり返る。
「…………」
レヴィの怒鳴り声だけが、やけに綺麗に店内へ響いた。
レヴィの顔が引きつる。
「……急に静かになんじゃねえよ」
恨めしそうに呟く。
その声に。
カルテルの生き残りが振り返った。
そしてラグーン商会を見つける。
「……おい」
男の顔色が変わる。
「何でお前らがこんなところにいやがる?」
ダッチが立ち止まる。
「俺達が頼んだ荷物も渡そうともせず――」
その「荷物」が何を意味するのか。
説明する必要はなかった。
ダッチが男――アブレーゴへ向き直る。
「結論を早まるんじゃねえ、アブレーゴ」
低く言う。
「お前らだって、俺達に言ってねえことがあるだろう」
「何だと――」
アブレーゴの視線が動く。
そして。
見つけた。
ガルシアを。
「……何で」
目を見開く。
「何で荷物がここにあるんだ!?」
「だから話を――」
ダッチとアブレーゴが言い合う。
レヴィが悪態を吐く。
ロックが止める。
バオが怒鳴る。
店内に再び騒音が戻った。
だが。
ガルシアには、そのすべてが遠く聞こえた。
ロベルタもまた。
動きを止めていた。
二人の視線が重なる。
ほんの一瞬。
時間が止まったようだった。
硝煙。
血。
壊れた机。
砕けた酒瓶。
怒号。
そのすべてが消えたかのように。
ロベルタの目から。
先ほどまでの凶暴さが消えていく。
「……若様」
小さな声だった。
ガルシアは何も言えなかった。
「ここにいらしてたのですね、若様」
いつもの声だった。
ラブレス家で、毎日のように聞いていた声。
優しく。
穏やかで。
先ほどまで何人もの男を撃ち倒していた人間と同じとは、とても思えない。
「ご当主様も、心配しておいでです」
ロベルタが一歩進む。
「さあ」
ガルシアも。
反射的に一歩を踏み出しかけた。
そして。
止まった。
――待て。
頭の中で、別の自分が制止する。
ここでロベルタのところへ行けばどうなる?
救出は終わる。
それ自体は何の問題もない。
むしろ本来なら、それが正しい。
だが。
ガルシアは知っている。
この後に何が起こるのかを。
カーチェイス。
そして。
ホテル・モスクワ。
バラライカ。
この街で生きていくなら、いずれ必ず無視できなくなる存在。
原作通りに進めば、自然な形でホテル・モスクワと接点を持つ機会が来る。
それを今。
自分から捨てる必要があるのか?
ほんの数秒。
ガルシアは迷った。
その沈黙を。
ロベルタは別の意味に受け取った。
彼女の表情が、僅かに曇る。
「……怖がられるのも、仕方がございません」
「え?」
「いずれ、訳はすべてお話しいたします」
違う。
そうじゃない。
ガルシアが言おうとした時。
ロベルタの視線が、ようやく周囲へ向いた。
ダッチ。
ロック。
ベニー。
そしてレヴィ。
「……こちらの方々は?」
まずい。
ガルシアの思考が即座に切り替わる。
今のロベルタが、自分と彼らの関係を正確に理解している保証はない。
下手をすれば。
「いや、ロベルタ。これは違うんだ」
ガルシアが立ち上がった。
その瞬間。
「動くな!」
「え?」
首根っこを掴まれた。
レヴィだった。
そのまま乱暴に引き寄せられ。
拳銃の銃口が、ガルシアの頭へ押し当てられる。
「…………」
ガルシアが固まった。
もちろん分かっている。
レヴィに自分を殺す気などない。
この数日で、それくらいの信頼関係はできている。
これはハッタリだ。
自分達の身を守るための。
だが。
相手が悪い。
あまりにも。
悪すぎる。
「下がりな、メイド」
レヴィが言った。
ロベルタの表情が消える。
「坊ちゃんを無事に返してほしけりゃ、まずその銃を下ろせ」
「おい、やめろレヴィ!」
ロックが青ざめる。
「それじゃ完全に悪役じゃないか!」
「うるせえ! 他にどうしろってんだ!」
レヴィはロベルタから目を離さない。
「ここで無駄に騒がなけりゃ、若様のお味噌をこの床にぶちまけることもなくなるぞ」
「ちょっと、レヴィ……」
ガルシアが小声で言う。
レヴィも小声で返す。
「これしかねえだろ」
「いや、相手がロベルタだから言ってるんだけど……」
沈黙。
ロベルタは何も言わない。
ただ。
レヴィを見ている。
その沈黙が。
銃声より怖かった。
やがて。
「……考え終わりました」
ロベルタが口を開いた。
静かな声だった。
そしてスペイン語で。
ラブレス家に伝わる家訓を、祈りのように諳んじる。
ガルシアの顔から血の気が引いた。
知っている。
この流れを。
ロベルタは祈りを終える。
「ご意向には、沿えかねます」
レヴィの指が引き金へ掛かる。
「若様には五体満足でお戻りいただきますが――」
ロベルタがアタッシュケースへ手を添える。
「その家訓通り、仕事をさせていただきます」
そして。
静かに告げた。
「サンタ・マリアの名に誓い――すべての不義に鉄槌を」
「――ッ!」
レヴィがガルシアを突き飛ばした。
銃口から遠ざけるために。
自分とロベルタの射線から外すために。
次の瞬間。
イエローフラッグが再び戦場になった。
レヴィの二挺拳銃が火を噴く。
同時に。
ロベルタのアタッシュケースに仕込まれた機関銃が唸りを上げる。
「クソッ!」
レヴィが跳ぶ。
壁。
柱。
テーブル。
次々と弾丸が追いかける。
レヴィも撃ち返す。
だが。
ロベルタは止まらない。
「何なんだよ、このメイドは!」
たまらずレヴィがカウンターの陰へ飛び込もうとする。
その瞬間。
ロベルタが別の銃口を向けた。
発射。
「レヴィ!」
グレネード弾は直撃しなかった。
だが。
レヴィのすぐ近くで炸裂した。
爆風。
衝撃。
レヴィの身体が床を転がる。
「――レヴィ!」
ロックが駆け寄る。
ダッチも続く。
「おい!」
返事がない。
死んではいない。
だが脳震盪を起こしたのか、目の焦点が定まらず、自力で立ち上がれる状態ではなかった。
ダッチが即座に判断する。
レヴィの身体を担ぎ上げた。
「逃げるぞ!」
怒鳴る。
「走れ!」
ベニーが裏口へ向かう。
ロックも続く。
ガルシアは一瞬。
ロベルタを見た。
怖くはない。
心配もしていない。
自分に危害を加えるはずがないことも知っている。
それでも。
今ここでロベルタの元へ行けば。
この先にあるはずの流れが消える。
バラライカ。
ホテル・モスクワ。
この街の力関係。
自分がこれから生き残るために、父の命を救うために知っておくべきもの。
――もう少しだけ。
原作の筋へ戻す。
そう決めた。
ガルシアはロックの手を取った。
「行こう!」
「ガルシア!?」
二人は裏口へ走る。
ロベルタは。
その姿を見ていた。
ようやく見つけた若様が。
自分のところではなく。
あの者達と一緒に。
逃げていく。
「…………」
ほんの一瞬。
ロベルタ・シスネロスは。
呆然としていた。