BLACK LAGOON Maid's Salvation   作:AI太郎

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第三話

BLACK LAGOON

Maid's Salvation

 

第三話

信用

 

未来は変わる。

 

そう信じられる理由があった。

 

なぜなら実際に変わっていたからだ。

 

ラブレス家は少しずつ立ち直っている。

 

使用人達の顔色も良くなった。

 

父の表情も明るくなった。

 

屋敷には活気が戻ってきた。

 

それは偶然ではない。

 

そして一日で起きたことでもなかった。

 

三年前。

 

「却下だ」

 

父は即答した。

 

一秒も迷わず。

 

ガルシアは机の前で固まる。

 

「まだ何も言ってない」

 

「言わなくても分かる」

 

「なんでですか」

 

「その顔だ」

 

ひどい。

 

本当にひどい。

 

「父上」

 

「なんだ」

 

「話くらい聞いてください」

 

「聞いている」

 

「聞いてないです」

 

「今聞いた」

 

「今却下しましたよね」

 

父は笑った。

 

ガルシアは不満そうに頬を膨らませる。

 

当時八歳。

 

今より少し幼い。

 

当然だ。

 

本当に三年前なのだから。

 

「それで?」

 

父が椅子にもたれた。

 

「今回は何だ」

 

「投資です」

「却下だ」

 

「だから早いんですよ!」

 

執務室に笑い声が響いた。

当時のガルシアは真剣だった。

ロベルタを守る。

父を守る。

ラブレス家を守る。

そのためには金がいる。

前世の知識があるなら使わない理由はなかった。

 

「父上」

「うん?」

 

「絶対伸びます」

「みんなそう言う」

 

「本当に」

「みんなそう言う」

 

「信じてください」

「お前は八歳だ」

 

「ぐっ……」

 

反論できなかった。

正論だった。

父は資料を見る。

小さな会社だった。

名前を聞いたこともない。

普通なら投資対象になどならない。

ましてや勧めているのは八歳の息子だ。

常識的に考えれば却下で終わりだった。

だが。

父は資料から顔を上げる。

そこには必死な顔のガルシアがいた。

珍しいことではない。

この息子は昔から何かを守ろうとするとき、妙に頑固になる。

誰に似たのか。

いや。

自分かもしれない。

 

「ガルシア」

「はい」

 

「外れたらどうする」

「外れません」

 

「そういう話ではない」

 

父は苦笑する。

そして引き出しを開いた。

小切手を取り出す。

 

「少額だけだ」

ガルシアの目が丸くなる。

 

「本当ですか?」

「勉強代だ」

 

「やった!」

「ただし」

 

父が指を立てる。

 

「失敗したらしばらく投資の話は禁止だ」

「厳しい」

 

「当然だ」

 

それでも。

ガルシアは嬉しかった。

信じてくれた。

完全ではない。

だが。

一歩だった。

大きな一歩。

数ヶ月後。

 

「父上」

「なんだ」

 

「儲かった」

 

満面の笑みだった。

父は報告書を見る。

一度。

二度。

三度。

見間違いではない。

本当に利益が出ている。

しかも想像以上に。

 

「……」

 

父は黙る。

ガルシアは得意げだった。

 

「だから言った」

「絶対伸びるって」

 

「偶然かもしれん」

「じゃあ次も当てる」

 

「強気だな」

「当たるから」

 

父は息子を見る。

不思議だった。

この子は昔から時々こういう顔をする。

まるで。

自分の知らない未来を見ているような。

そんな顔を。

二回目。

成功。

三回目。

成功。

四回目。

成功。

さすがに父も黙らなくなった。

 

「ガルシア」

「なんですか」

 

「お前、本当に何者だ?」

「息子です」

 

即答だった。

父は吹き出した。

ガルシアも笑う。

そして。

その日からだった。

父が経営の話を聞くようになったのは。

ガルシアの提案を検討するようになったのは。

ラブレス家が少しずつ変わり始めたのは。

全部。

善意から始まった。

父を守りたかった。

ロベルタを守りたかった。

家を守りたかった。

だから未来を変えた。

変えられると信じていた。

この時はまだ。

誰も知らなかった。

その変化が。

後にどれほど大きな結果を生むのかを

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