異世界転生したサモナーさんは呪いの世界に行く 作:cohaku
「にしてもこれって便利だよね」
そう言った悟の手には高専で売っている呪符があった。
「確かにね、私たちみたいな反転も領域も使えない術師には必需品だよ」
「おかげで私も楽できて助かる」
軽い怪我程度なら治し、重い怪我でもある程度は回復する反転術式が込められた呪符。領域対策が出来る結界を張ることが出来る呪符。
これらの呪符は、使用者の呪力を消費しない。どんなに呪力を使い果たし精魂尽き果てたとしても発動できる。
しかもこの前の手合わせの時発覚したが攻撃するための呪符もあるらしい、販売はしていないが。
「確か樹さんが作っているんだっけ?」
「そう、樹の術式の一部を込めて作ってる」
「改めて聞くと凄いよね、特級として働きながら呪符を使って他の術師の支援も出来る」
実際調べてみると呪符が売られるようになってから呪術師の死亡率は劇的に低下している。今じゃ年に一人いるかいないか。
「お値段も比較的手ごろだしね」
「高専生の間はな、卒業したら正規の値段になるよ」
「それでも使い捨てだからそんな高くねぇだろ。これ別のやつが作ったらもっと高い値段で売るだろうよ」
それはそうだ。術師でも才能がある人しか使えないものを使う呪符なんてもっと高額でもおかしくない。
「樹だからこんな良心価格なんだよ。あの人、仕事が忙しくてたまに「無能しかいないのか今の呪術界は」って文句言うけど他の呪術師の事を考えて呪符の値段はお手頃、等級違いの任務を割り振ったのを知れば上層部を締め上げる。
呪術師としてはだいぶまともよりなんだよな」
「そんなに樹さんは忙しいのかい?」
「もう一人の特級が仕事しないからね、特級が受け持つ任務ぜんーんぶ樹さんが捌いているんだよ」
「仕事をしないって、どうして?」
「えっと確か、呪力について研究しているって聞いたな。呪霊の産まれない世界を作るって」
「呪霊の産まれない世界…」
「まぁ、そんなことになったら俺たち術師家系はどうすんだって話だけどな。今更一般社会で俺達が働けると思うか?」
「無理じゃない?五条の顔ならアイドルとかも出来そうだけど性格がクズだからすぐスキャンダルで破滅しそう」
術師家系は非術師を見下している傾向がある。今更一般社会になじめる性格のやつなんてごく少数だろう。
「確か呪力を甚爾みたいに完全に捨てるか、全人類が呪力コントロールを覚えるか」
「非術師皆殺しかって所だけど、非術師皆殺しなんてしたら生活水準落ちて大変なことになるよ。私は絶対にやだね」
「呪力を完全に捨てるってのもすぐには無理だし、呪力コントロールなんてどうすればいいんだか」
「ひ、非術師皆殺しって」
「一番手っ取り早い方法ってだけで一番お勧めしないよ。非術師から術師が生まれる様に術師から非術師が産まれることなんて珍しくもない。そうなった時、赤ん坊をどうするかなんて考えたくもないね」
殺すか殺さないか無抵抗の赤ん坊を前に悩むなんて嫌な事はしたくない。
「それにそれする前に多分、樹に殺されるだろ?成功する確率なんてほとんど0じゃん、やる意味ないない」
「まぁ、それはそう」
この時の会話がのちの夏油やけっぱち事件に繋がるとは誰も予測できない事だった。
呪術師達の生命線になってそうな呪符
回復
結界
逃走
と出来ることが多すぎる