異世界転生したサモナーさんは呪いの世界に行く 作:cohaku
「ハァハァ」
「ハァハァ」
呪符を破る。込められた呪力が体に巡り傷を癒す。
「残りの呪符は」
「回復が一枚、こんなことなら領域対策の呪符も買っとけばよかった」
「まさか2級でこんな任務を振られるとは思いませんでしたからね、帰ったら一番に買いに行きましょう」
「だね」
灰原と私は前を見据えた。2級の任務だったはずなのにふたを開ければ産土神信仰、土地神の1級案件だった。何とか呪符で怪我を治し耐えていたがその呪符も残り一枚ずつ。
「さて、どうやって逃げましょうか」
「その必要はないよ」
ザッ
一瞬だ、瞬きの間に一級呪霊が細切れにされて消えた。
「よく耐えたね」
「樹さん」
いつの間にか消えた呪霊の真上に特級術師である禪院樹が立っていた。
「怪我は治しているんだね、それなら高専に帰ろう」
「あの、なぜ樹さんがここに」
「近くを通った時に気になったから、様子を見に来ただけ。運がよかったと思えばいいよ」
「特級とはすごいですね、私たちが死を覚悟した呪霊をいとも簡単に祓ってしまう。もう貴方達だけでいいのでは?」
「七海!」
思わず漏れ出た本音。灰原の咎めるような声と
「それは無理だな。私も悟君も傑君も一人の人間、人間が出来る事ってのは意外に少ないものだよ。たった3人でどうやって日本全国、場合によっては海外に出張して呪霊を祓うんだい?」
その本音を意に介さず、禪院樹はそう答えた。
「どんなに個が強くともこういうことはマンパワーがものをいう。一人の五条と百人の1級術師、どちらがより多くの呪霊を倒せると思う?一か所に固まっていれば五条だ、だが全国に散らばっているなら100人の人手の方が良いに決まってる。
それに私たちを過労死させる気かい?」
「…すいません、少しナイーブになっていたみたいです」
確かにそうだ、今だってそこそこの任務が渡されるのにそれを特級術師だけで祓えなんて無茶ぶりもいい所だ。考えればわかる事なのにこんなことを言うなんて。
「構わないよ、そう思ってしまうのも無理はないからね。私たち特級は強いよ、特級がどういう基準で選ばれるかは知っているかい?」
「確か単独で国家転覆が出来る人がなるんでしたよね」
「そう、悟君はほぼ無敵のバリアに高威力広範囲の攻撃が出来るから、傑君は圧倒的な手数による数を使った殲滅が出来るから、そして私は私自身が出来る高威力広範囲の攻撃と召喚する式神による殲滅が可能だから。
結局特級ってのはいかに大量に人を殺せるかってのが大事でそれに強さがたまたまついてただけ。甚爾だって特級呪霊を祓えるけどあの子は完全に一対一特化型、特級には認定されない。国家転覆が出来る力の形じゃないからね」
「大量に…人を殺せるから特級」
「呪霊を倒せるからじゃない、人を殺せるから特級なんだよ。1級や特別1級だって術式の相性とか習得している技術とかで特級を祓える奴だっている。でもその術式が大量殺人が出来なかったら特級には任命されない。
君たちはまだ高専生、術式なんてなくても1級になる人はなるし強い術式を持ってても結局使いこなせなかったら宝の持ち腐れ。確かに君たちは1級呪霊に殺されかけた、でも生き残った。なら次は殺せるように強くなるか、生き残るすべを模索するといい」
そう言って笑うと懐から何かを取り出した。
「さしあたって領域対策に使える呪符は必要かい?」
「「売ってください!!」」
いつでも救助できるように全国に監視用の式神を配置しているサモナーさん。
ピンチになれば自動的に英霊召喚・魔王降臨が発動するみたいな感じ