異世界転生したサモナーさんは呪いの世界に行く 作:cohaku
「…?」
「あ~、兄貴。最近引き取った津美紀だ」
「引き取った?」
遊びに来た兄貴に津美紀を見せた。津美紀は、所謂俺のストーカーをしていた奴の娘だった。
まぁ、俺がモテるのは知っているのですぐに警察に相談したし接触禁止令を出してもらったし、俺の口から「お前に興味はねぇ」ってのも伝えた。そしたら逆切れして俺の妻を襲撃した。まあ、それも兄貴の式神に取り押さえられてあっけなく御用となったが、その後に問題になったのが女の娘の処遇だった。
女に親類はいないらしく、施設に行くはずだったがあまりいい扱いを受けていないことが分かる状態の津美紀に妻が「家で引き取ってあげられないかな?」と言い、恵も会わせてみたら相性が良かったのかすぐ仲良くなったので引き取る事にしたのが家に来た経緯だ。
それを兄貴に説明するとうんうんと頷いて
「じゃあ、護衛を増やそう」
すぐに津美紀専門の護衛の式神を津美紀に付けた。
「そろそろ、奥さんにこっちの事も説明しないとって思ってたけど津美紀ちゃんにも説明したいしどうしようか?」
「説明しないと駄目か?」
「私の不注意でもあるが、お前の体の事を含め説明は必要だろう」
兄貴の言葉にそういえばそれもあったかと思った。
俺は兄貴に育てられた。式神たちの補助も受けて育てられた。その時に兄貴の式神のアマルテイアの乳とそれから作られる豊穣の乳を使って育てられた。
兄貴的には、健康に育ってくれたらいいな的な感じで使ったそうだが、その乳と兄貴の領域にいる神様に何故だか気に入られ、ドラゴンたちにも気に入られ、双方の加護を授けられた俺は兄貴と同じように人の道から外れ始めていた。
俺はもう手遅れなので諦めて毎日食べる用の豊穣の乳を渡されるが、恵たちには人の道から外れず術師として成長する程度に、妻には人の道から外れず健康的に過ごせる程度に、とかなり慎重に供給しているのを見て結構俺の事について後悔というか負い目の様なものがあるらしい。こっちとしては兄貴に付き添えるから後悔なんぞしないが、人外の道に恵たちを巻き込みたくないという考えには賛成できるので何も言わないだけだ。
「あと十年もすれば流石におかしいと思うようになる」
兄貴が庭を見た。俺も目線を上げて妻と子供達が遊ぶ姿を見た。
「私も誤魔化せる範囲を超えている。お前もそろそろ誤魔化せるものじゃなくなるだろう」
「そうだな」
「彼女たちは非術師だ。本当ならこちらの事情を一生知らずにいた方が良いかもしれない、だが彼女たちは家族だ。いつまでも隠し通せることでもないし隠すべきことでもない」
「ああ」
「すまないな、甚爾」
「謝るなよ、俺は感謝してるぜ。おかげで兄貴を一人にする心配はなくなった」
「そうか」
兄貴もまた人の道を外れている。俺に加護を与えた存在達を内包しているんだ、そうなるのは当たり前だろう。というか、それがあるから俺に加護を与えた可能性もある。
「もうちょっと津美紀がデカくなったら教えようと思う」
「それが良いかもしれないな」
「ちょうど、恵も術式を自覚しているだろうしな」
術式を自覚するのは5,6歳だ。年齢的に丁度いいだろう。
「いつき、一緒に遊ぼ!」
「お父さんも!」
子供達がこちらに駆け寄ってきた。それに二人そろってまぶしそうに目を細め
「「ああ、今行くよ」」
そう言って立ち上がった。
奥さんがいても養子を引き取るのは変らなかった模様
2人は人間卒業秒読み