異世界転生したサモナーさんは呪いの世界に行く   作:cohaku

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第34話

《君たちは面白いね。強くなりたくないかい?》

 

 

 

 

 

この言葉が私たちの今後を大きく変えた。

禪院家、呪術界の御三家の一つ。私たち双子はその家で生を受けた。

一卵性双生児の女。それだけで本来の呪術師の家なら虐げられ片方が殺されてもおかしくない瑕疵だった。

だから私たちは父親に存在を無視された。だけど母親は普通に私たちを育ってくれたし

「真希、真依元気か」

優しく笑ってくれるあの人がいたから何も気にしなかった。

禪院樹、禪院家の現当主にして呪術界最強の術師。元は呪術師至上主義で男尊女卑の塊だった禪院家を壊した男。

そして

「真希、真依。ちょっと一緒に来てくれないか?」

虐げられず父に愛されずとも健やかに育っていた私たちは今樹さんに抱えられてある場所に向かっていた。

「い、樹さん?」

「ゴメンね、君たちに会いたいって言われてね。まぁ多分悪い事にはならないよ」

不安そうな真依を落ち着かせるために真依の手を握る。それでも私も怖くて樹さんの服に縋りつくように手を伸ばした。真依も私の手を痛いくらいに握りしめて樹さんに手を伸ばす。

そんな様子の私たちに樹さんは苦笑してさらに強く抱きしめてくれた。

「アポロン様方、言われた通り連れてきましたよ」

《やぁ、樹。今回も我儘を聞いてもらってすまないね》

そこにいたのは私たちが目の前に立つことすら忌避するほどの呪霊とは全く違う圧を持つ複数の何か。

「「っ」」

《ごめんなさいね、樹の目から貴方達を見ててどうしても気になったから樹に連れてきてもらったのよ》

何と表現すればいいのか分からない。それらは光の塊のようなものに見えてる何か。

《同一人物と判断され、呪術的な事が全て平等に分かれてしまうか…》

「「っ」」

その言葉に私たちは息を飲んだ。

一卵性双生児の私たちは呪術的に同一人物とみなされる。何もかも半分になる、だから真依の呪力量は少ないし、真希に呪力が流れてしまい天与呪縛も甚爾さんと違って中途半端になってしまっている。

もしも二卵性双生児だったのなら真依の呪力はもっとあって、真希の天与呪縛は甚爾さんと同じ天与の肉体を持つもう一人の暴君になっていたはずだった。

「あまりこの子達に負担をかけたくない、用件は手短にお願いします」

《ああ、申し訳ない。私たちの存在が負担になるのを忘れていた》

《君たち二人に聞きたいことがあるのさ。このままならどちらかが死なない限り君たちは一人前になることはできない、だけど君たちは仲のいい姉妹だ。殺し合いなんてもっての外だろう?》

「「あ、当たり前だ/よ!!」」

その光の言葉に二人して声を上げた。

《おお、我らの威圧におびえながらも声を荒げるか。なんと肝の据わった女子達か》

《妹の方は臆病そうだったが、しっかりと立ち上がることもできるのだな》

《姉の方は流石、甚爾と同じ可能性を秘めし者。今も怯えながらも妹を守ろうとしている流石だ》

《私は賛成だ、死別のみが完成する条件などあってはならない》

()()()()/()()/()()()()()()()()》》》

「……」

《禪院の姉妹よ。我らに名を名乗ることを許そう》

「ぜ、禪院真希!」

「ぜ、禪院真依!」

《君たちは面白いね。強くなりたいかい?》

光の一つが私たちに近づく。それにさらに樹にしがみついて二人で目を合わせる。

「わ、私は強くなりたい!甚爾さんみたいに樹を支えられる強い人に!」

「わ、私は呪霊が怖くて術師になんてなりたくないけど、樹さんを支える甚爾さんと真希を支えられる呪具職人になりたい!」

真希の夢は、甚爾みたいに樹を支える人になる事。臆病な真依の夢はそんな樹を支える甚爾と真希を支える呪具を作る職人になる事。

《正直でよろしい!じゃあ、君たちに試練を与えよう。本来なら何もしないでしてあげたいところなんだけどちょっと今回は無料でやれることではないからね。君たちに試練という縛りを与えることでその奇跡は成就する》

 

 

 

 

 

帳で閉ざされた渋谷を見る。

「直昆人様、配置完了しました」

「おう、ご苦労さん」

直哉が樹の為の儀式の舞台を整えるなら直昆人の部隊は相手を逃がさないために帳を下ろすのが役割だ。

「保険だって言ってたが、さてどうなるか」

樹が拵えた帳の要石を見た。この要石を通して儀式をしている樹が帳に干渉し相手を逃がさない帳に変える、そしてもう一つ

「おい、直昆人。もう動いていいか?」

「っ!真希、お前まさか」

「ああ、つい最近試練を突破したんだ」

此方にやってきた真希にあるものが無くなっていることに気づいて目を見開いた。

「そうか、とうとう完成したのか」

「ああ、真依も呪力が上がってこれ作ってくれたよ」

真希が肩に担いでいる特級呪具・釈魂刀を指さした。

「では、行くがいい。天与の肉体を存分に試してこい」

「慣らし運転にはちょうどいいな」

呪力を遮断する布で釈魂刀を包み真希が帳の中に入っていく。

「とうとう試練を突破したか、どこまで高みに登れるか」

樹に聞いた真希と真依に与えられた奇跡。それが成就して二人は死別を経ることなく完成に至ることになった。

同じ肉体になっても甚爾と真希では完成度が違う。産まれながらに天与の肉体を持ち樹に育てられた今なお進化し続けている甚爾、試練を突破し一卵性双生児のくびきから解き放たれた真希では肉体の完成度が違いすぎる。

だがそれでもその強さは本物だ。

「まぁ、いい。今の状態でも一級以上は確実。特級とぶち当たらん限りは何の問題もないだろう」

それに樹の呪符もあれば逃げるだけならどうとにでもなる。

「俺の役割は、非術師の保護をしながら帳を守る事だ」

この要石を用いた帳は相手を逃がさないためのものだがそれ以外にも役割がある。樹が保険だと言ったもう一つ。

「これを使う事にならなきゃいいけどな」

 




双子問題は神様達の力を借りて解決した
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