異世界転生したサモナーさんは呪いの世界に行く 作:cohaku
全ての始まり
「…煙晶竜様」
『キースや久しぶりじゃな』
「とりあえず飛んでもらっていいですか?流石に地球をあの世界と同じにするのは駄目です」
『そうじゃな、ではどこに』
「火星へ」
術式の全てを知った時、すぐに煙晶竜様を呼び出し宇宙に向かった。
影の中で必要な物を準備した。火星の環境下でもある程度動けるように体に強化をかけて術式を自覚したと同時に手元に出現した愚者の石板をしっかりと抱え込んだ。
『着いたぞ』
「!」
影から出るのと同時に愚者の石板を設置し起動する。
「ハァハァ」
ドンドンと体から抜けていく呪力に眩暈をしながらもよく似た風景になった地面に倒れ込んだ。
『む、いかんな。すぐに呪力を分け与えるのじゃ』
煙晶竜の言葉を聞きながら樹の意識は遠くなっていった。
『しばらくは我らで呪力の負担をするしかないな』
『まだ5歳だからな仕方ない』
『地脈を整えれば負担も少なくなろう』
『祝福と加護も必要だ。この世界を楽に維持できる程度には呪力が必要になる』
『しかし、過ぎれば人ではなくなるぞ』
『それの何が問題なのだ?この世界ならこやつも退屈せんだろうし、長く生きたとて問題ない』
『…それもそうだな、では祝福と加護を』
『『『『『『祝福と加護を』』』』』』
「呪力からの脱却だよ」
「違う、呪力の最適化だ」
「そんなのどっちも興味ねぇよ」
ザンッ
「くっ」
「返してもらったぜ、五条の坊」
「禪院甚爾!」
何時からいたのか甚爾さんが敵の後ろにいた。手には正方形の何か、アレが多分五条先生を封印した呪物だ。
「何故お前がここに!」
「舐めすぎじゃねぇか?俺達が静観すると思ったか?」
「くっ、君と九十九を同時に相手をするのは面倒だね。なら」
敵が一気に俺達から距離を取った。
「これを使う事になるなんてね、足止め頼むよ裏梅」
「早くしろ!」
敵の手には、巻物と人の死体。
巻物が広げられるとそこには大量の宿儺の指、それが死体の口に
「ケヒッ、そう来るか」
(宿儺!?)
突然宿儺に体の主導権を奪われる、そして
「がっ」
宿儺が俺の小指を嚙み千切る。
「宿儺!」
宿儺が俺の小指を敵に投げ捨てると同時に俺の体から宿儺が
「これで13本か」
「まさか予備で取っておいたこの体を使うなんてね」
死体が目を覚まし呪印が浮かび上がったそいつは
「面倒な事になったな」
「樹くんは?」
「準備中だ」
俺から移った宿儺がその場に立っていた。
「宿儺少し足止めを頼むよ。さて、禪院甚爾がいるなら禪院樹もいるさっさと終わらせよう。
無為転変」
「!?術式の遠距離発動!」
「何をした」
「マーキング済みの2種類に遠隔で「無為転変」を施した。
虎杖悠仁のように呪物を受肉させたもの、吉野順平のように術式を所持しているが脳の構造が非術師のもの。それぞれの脳の形を術師に整えたんだ。そして」
「やらせると思うか」
「禪院樹!」
敵が取り出した何かの結ばれている紐が消える。
「これが呪物たちの封印の要か」
「随分、お早い到着だね」
「宿儺の呪力が増えたからな、急いだよ」
樹さんが空に立っていた。
「禪院樹」
「成程な、その故人だから虎杖悠仁が作れたわけか。まぁ、それは後で良い」
スッと空から地面に降りる。
「貴様らを野放しにはできない」
「ほう、それではどうすると」
「保険を使う。貴様らを逃がさないための檻にぶち込む。
テレポート」
光があたり一面を包み込む。それが晴れると
「ようこそ、私の世界へ」
地平線が見えるほど続く草原に移動していた。
「まずは全員の治癒と避難か」
パンッ
禪院樹が手を叩くと式神たちがその場にいた術師達を全員一か所に集めて結界を展開する。
「これで心置きなく戦えるな、甚爾も九十九も下がっていていいよ。どうせすぐに終わるし」
「それじゃ、お言葉に甘えて」
「随分と余裕だな」
九十九と甚爾が決壊の中に入っていく、私たちを相手に一人で戦うつもりか。
「勝ちが決まった勝負なんだから余裕なのは当たり前だと思うよ」
「宿儺様がお前ごときに負けるわけがない!」
「主人を信じるのはいいけど、ここに転移させられた以上君たちは逃げる事は出来なくなった。その時点で君たちは詰みだ」
「詰み、ね」
此方を冷めた目線で見る禪院樹の言葉の真意を探ろうと周りを確認するが何もわからない。
「そうだな、呪いの王両面宿儺。軽い説明が必要かな?それとも何もわからずに私と戦う?」
「…説明を求めれば説明をすると?」
「勿論、出なければ問答無用に襲い掛かっている」
「成程な、ならば説明して見せろ」
「まずは私の術式の説明が必要だ。宿儺の器の製造者…名前は?」
「…羂索」
「そうか、では羂索。お前は私の術式についてどれほど知っている?」
「術式開示もしない君の術式が分かるわけがないだろう、分かっているのは無数の式神を召喚し、その式神は倒されても再召喚可能でそれ以外にも攻撃・回復・補助などの拡張術式がある凡庸性に優れすぎている万能で強力な術式だってことだけだよ」
「確かに何も知らなければそう見えるだろう」
「普通に考えてあり得んことだがな。だが知れば知るほどお前の術式は規格外だ」
「お褒めにあずかり光栄だ。さて、それが知られている私の術式だ。しかしそれが本質ではないな」
「どういうことだ?」
訝し気に禪院樹を見る。本質とは?なんだ。
「本来なら私の術式は常人では使いこなせない外れ術式。たまたま私が使いこなせただけの、まぁ無下限術式のような代物だと思う方が良いだろう」
「それほど扱いづらい術式だとは思わないけど?」
六眼がなければまともに使いこなせない無下限と同じような術式?どういう事だ、私の知っている情報だとそこまで扱いづらい術式ではないはず。
「私の術式の名は現実侵食術式、簡単にいえば世界を自分の使いやすいように改変する術式だ」
「「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」」」」」
「現実世界の法則すら書き換える超常の術式。本来なら扱いきれずにすぐに死んでしまう外れ術式さ」
「あり得ない、そんなの呪力がいくらあっても」
「そう普通なら呪力が足りない。それを解決する方法が私にはあったってだけ。さてここで問題です、君たちが今いる場所は何処でしょう?」
「…!?地球ではないのか!」
「正解!答えは、私の術式で存在そのものを書き換えられている火星でした!」
宿儺の言葉に、周りに漂っているはずの呪力が極端に薄い事に気が付いた。呪力が殆どない海外でもこんなことはなかった、そして樹の言葉の通り樹の術式が現実を書き換えるものならおのずと答えは出た。
「私の術式の対象に地球を選ぶと色々面倒だからね、術式を自覚した次の日には火星に飛んでもらって術式の対象にさせてもらったのさ。地球で使うのは私の周りだけを書き換えられている火星と同じ状態にしているって感じかな?
これでお前ら逃げられないよな」
威圧感のある笑みを浮かべた樹の言葉に、私たちが袋小路に追い詰められたネズミになっていることに気が付いた。私たちにこの星から出る手段は存在しない。
「そして書き換えられた法則に従って私は力を得る。この世界はそうだな、分かりやすく言えばRPGの世界だ。ゲームは知っているよね?
そのゲームの登場人物たちの力を私が使えると思うといい」
「げ、ゲームってそれじゃあ」
「式神を召喚する力は召喚師の力、攻撃・回復・補助の拡張術式は魔法使いの力、身体能力は確か剣聖の力だったかな?凡庸性が高い?当たり前だ、複数の職業の力が適用されているからね」
その言葉に戦慄した。ゲームは空想の代物だから気軽に明らかに現実にあったらヤバいと思えるものが普通に出てくる。
「死者の蘇生もそれ関連か!」
「そういう事だね。だってゲームの闘技場って同じキャラクターが出てくるの多いだろ?」
噂になっていた禪院家などに施される死の訓練。眉唾だと思っていたが真実だったか。
「勿論デメリットというかそう言うのはある。RPGだからレベル上げが必要だし、この世界を維持するのに呪力の大半を使うから普段使える呪力は少なくなるし、この星が破壊されたら私は全力が出せなくなる」
「レベル上げが必要?あり合えない、お前は術師になってからすぐに頭角を現したはずだ!」
「そこは私だからスキップしたというか、産まれながらに高レベルだからとしか言いようがないな」
「使える呪力が少ないだと…その呪力量でか!」
「そう、この呪力量で…おや、丁度いいタイミングだ。あちらを見るといい」
愉快そうに笑い私たちの後ろを指さす樹に言われた通り後ろを見ると白い筋が一本生えていた。
「術式開示による術式の底上げで結実した。世界は全て私の物」
その線がさらに細くなり、消えると同時に樹から先ほどの呪力が赤ん坊のものに思えるほどの呪力が噴き出した。
「これが、私本来の呪力量だ」
「は、はは。なんて、ありえない」
元からの呪力量でも両面宿儺10本分はあった呪力量をはるかに超える呪力量。呪力量だけで強さは計れないとはいえその呪力量は脅威以外の何物でもない。
「この星は私の領域そのもの、常に領域展開をしている状態と言っても過言じゃない。君たちが何処に逃れようと私は手に取るようにわかるし、君たちの領域では星一つを包めない以上私と領域勝負をしても無駄だろう。
そして君たちはこの星から出る手段もない。完全な詰みというわけだ」
「くっ」
樹の言葉に舌打ちをした。もはや打つ手はない、この星から逃げる方法がない以上私たちは
「貴様に決闘を申し込む」
「へぇ」
「縛りだ、俺達が勝てば俺達を地球に戻せ、俺達が負ければ俺たちの全てを貴様にくれてやろう。欲しくないか平安最強の術師の力と1000年生きた此奴の知識を」
「成程、それは面白い提案だ。確かに一考の価値がある」
宿儺の言葉に興味深そうな顔をした樹。確かにその方法しかない、縛りを結び唯一地球とここを行き来できる術を持つ樹に
地球に戻してもらうしか方法がない。
「君たち二人はどうだい?この縛りによって負けた君たちがどうなるかは分からないが、賛成するのかな」
「宿儺様が負ける前提で話すのだな」
「これがゲームなら多少遊んでもいいが、流石に一般市民に被害が出かねない存在を解き放つわけにはいかないからね。禁じ手中の禁じ手を使わせてもらうからまぁ9割は君たちの負けだよ」
「禁じ手中の禁じ手?」
「それに宿儺、君は今13本分の力しかないだろう?それでどうやって私と戦うつもりだ?」
「6本はこの星にあるな」
「分かるんだ、結構隠蔽にも力を入れていたんだけど…そうだね、6本は私が保管している。ただ取り戻せないと思うけど。だって君の指が保管されている拠点は星の裏側にあるからね。海や谷を越えて星を回ってみるかい?
ただし」
すっと樹が指を滑らせる。
「「「ギャオォォォ!」」」
「当然、RPGなんだからモンスターもいる人外魔境を旅する事になるけど」
現れたのは三つ首の蛇や山の様な体躯を持った亀など様々なモンスターがこちらを睨みつけている光景だった。
「しかもここは最後に領域にした場所に近い、まぁいわゆる魔王城的な場所か最後のやり込み要素の場所だからもっとも危ない奴らが闊歩しているというわけだ」
「……随分な歓迎だね」
「両面宿儺とその従者に1000年暗躍していた羂索、君たちを放置していては無関係な一般人たちに被害が及ぶ。私はそれを容認する事は出来ない。
私は君たちを確実に殺せる手段を持っている。確かに平安最強と謳われた両面宿儺、君の実力は気になる事ではあるがその私情を優先するつもりは私にはない。やるなら徹底的に完膚なきまでに叩き潰して殺す」
「では、縛りを結ばないと?」
「そんなに結びたいの?君たちを確実に殺すって言っているのに?」
「……」
「いいね、諦めてない目だ。しょうがないね、じゃあ君が納得するために縛りを結んであげよう。私が負けたら君たちを地球に戻す、かわりに私が勝ったら君たちの全てを私に渡す。これで良いんだよね?」
「ああ、構わん」
「「私たちもそれでいい」」
「ただし私は手加減しないよ?遊びもなく君たちを殺しにかかる、そして君たちは私に負ける」
「何故そこまで自分の勝利が確実だと言い切れる」
自分が勝つのは当然であるという顔をしている禪院樹。アレほどの自信、どんな切り札を持っているのか。
「私の天敵は禪院甚爾、それはなぜだと思う?」
「呪力0のフィジカルギフデット…」
「私の切り札、禁じ手中の禁じ手それは、相手だけ呪力を使用不可にする力を持った式神を召喚する力。呪力を使えなくなった君たちは呪力強化も出来ない純粋な身体能力のみで私と戦う事になる。
呪力が無くなれば君たちはただの人間。それが私に勝てるとでも?
英霊召喚 太公釣魚」
ちょっと読みづらいかなって話数を分けてみました。
英霊召喚ってチートだよね