異世界転生したサモナーさんは呪いの世界に行く 作:cohaku
禪院樹の背後に仙人のような老人の式神が現れる。
「すく「やっぱりもろいな」
気が付けば隣にいた裏梅の胸に大穴が開いて倒れていた。
「そう言えばお前は呪霊操術だったか、面倒だからお前は最後に殺してやる」
「っ」
裏梅を殺した禪院樹が灰色の紐を投げるとそれが生き物のように動き羂索を縛り上げた。その間にも呪力操作をしようとしたが、呪力が無くなったかのように手ごたえというものが全く感じられなかった。
「さっさと終わらせよう。あまり楽しくないしね」
「チッ」
心底つまらんという顔をしてこちらを見た禪院樹に怖気が走る。手足のように使い熟していたはずの呪力は水が氷になったように固められ全身に巡らせることすらできず沈黙している。
「呪いの王とはいえ、その力が使えなければお前はただの人だ。さて、死ぬ覚悟はできたかな?」
「舐めるなよ!」
そう吠えるが、現実は非情だった。
「やっぱりこれを使うと、何もかもがあっけなく終わるな」
呪力を纏った一撃。たった一撃で俺の全身の骨は粉々に砕かれ呪いの王と謳われた俺の命は風前の灯火になった。俺は呪力を扱えねばこれほど弱かったのか、今の俺は巨象の足元にいる蟻だった。
「だからあまり使いたくないんだ、あまりにも戦いがつまらなくなる」
俺が虫のように殺し来た連中と同じように無様に地面に倒れ、ただただ殺されるのを待つだけの弱者になり下がった俺を見下げる禪院樹の目には明確な失望の光が宿っていた。
「まぁ今回はそうしないといけないからしょうがないけど、それじゃあさようなら呪いの王…いや、今のお前はただの凡夫か」
敵だとも認識されず、俺はただただ振り下ろされる刀を抵抗も出来ずに受け入れるしかできなかった。
「うわぁ」
「こわっ!」
禪院樹の一方的な蹂躙に術師達は空いた口が塞がらなかった。
「これが樹さんの最強の切り札」
「普段は使わねぇ代物だけどな、あまりにも戦闘が簡単になるからって。兄貴はああ見えて戦闘狂だからな」
「術師が樹に勝つのはこれは無理だね。領域展延とかを使えば中和出来るかもだけど、それでも相手をするのは厳しい」
結界内に移動してからすぐに天逆鉾で解放された五条が呆れたように言った。呪力強化による接近戦だけで樹とやり合うのは大変厳しい。遠・中・近距離から攻撃でき補助も回復も出来て式神による手数もある完全なるオールラウンダー。
落花の情や簡易領域を使ってもその圧倒的な質量に押しつぶされることは想像に難しくない。
「呪いの王がこうも簡単に蹂躙されるのか」
「ほとんど防御する暇はなかったししょうがないんじゃない?最初から存在を知ってたら身を守る事は出来たかも…その後勝てるかどうかは知らないけど」
両面宿儺の首が斬り落とされ、グレイプニルで拘束された呪詛師の首も落とされる。
「やっぱりあっけない」
心底つまらなそうな樹に畏怖のような何かを感じてしまう。呪いの王すら樹にとっては取るに足らない存在なのだ。
「兄貴」
空を見上げる樹に甚爾が近寄り手を伸ばす。
「甚爾」
「お疲れさん、休むか?」
「いや、まだやることがある。それを全部終わらせてから休む」
「そっか、なら早く終わらせようぜ」
樹の表情が和らぐ、甚爾だけがためらわずに樹の傍にすぐに向かった。
仙人の式神が消える。
「まずは渋谷の後始末、さらに並行して羂索が覚醒させた術師達の把握と呪物を受肉させられた人たちの把握、あと羂索に協力していた上層部のクビを斬る。それをすぐに終わらせる。
渋谷の後始末は補助監督に任せる。さっきのテレポートで残っていた人間と呪霊は全員をこっちに転移させたから私の式神たちがすでに改造人間と呪霊は殺し終わっている。非術師の保護を頼む。監督は直哉お前が行え」
「はいな、了解したわ」
「サモンモンスター羂索」
魔法陣が一つ現れ、先ほど樹に殺された呪詛師が現れる。思わず樹と甚爾以外の全員が戦闘態勢に入ろうとしたが
「おや?これは」
「縛りの結果、お前は私の式神になった。さっそくこき使わせてもらうぞ。お前が覚醒させた術師達と呪物を受肉させられた人たちのリストを今すぐ作れ。特級以下はそのリストに基づいて捕獲または保護を。そっちの監督は直毘人が行え、人員が足りなければ言え私の式神を使う」
「成程、呪霊操術みたいなものか。わかった承ろう」
「おう、了解」
「特級は、上層部のクビをすげ替えに行くからついてこい。証拠はもう十分にそろった、そろそろご退場願わないとな」
「へぇ、了解。私も上層部は嫌いだしいなくなってくれるなら清々するわ」
「やっちゃっていいの?」
「あいつらは渋谷テロを起こした羂索に幾度も協力していた。呪詛師に協力する上などない方がマシだ。
お前ら以外は全員地球に戻した、恵影を広げるのを手伝え。シャドーゲート」
「了解」
樹さんの影の色が濃くなり広がる。それに恵が触れるとその影はさらに大きく広がった。
誰も逆転の一手を思いつかなかったので宿儺一行の負けは確定しました
始めて太公望の能力を知った術師達はその反則能力に恐れおののいてます